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第519話・現代最強の自衛官VS史上最強の魔導士②

この戦いの勝敗は、2年前から決めてました。

なので、変えるつもりはありません。

 

侵略者(インベーダー)?」


 両腕を再生し終わったイヴは、それを軽く回しながら話を続けた。

 現代最強の奥義、その直撃。


 ダメージはかなり与えたはずだが、これだけで底を見せる相手ではなかった。

 錠前の本気を食らって無事な存在は、この世に数人といない。


 その限りある者こそ、眼前のイヴだった。


「ダンジョンの外から不意打ちを決めれたのが、そんなに嬉しかったか?」


「”最初の一手”で全てが決まる。それは君だって十分承知してるでしょ」


「そうだな、では始めよう。錠前勉――――貴様は生まれたてのドラゴンだ。皮も柔らかく、思考も青い。多少他より動くだけの鳥」


 戦闘態勢を取ったイヴは、その両手にバカバカしいほどの青い魔力を纏った。

 完全復活した彼女にテオドールが一撃で殺されかけたというのも、うなずける出力だ。

 地面が揺れ動き、ビルから砂煙が落ちる。


「まずはその鎧から剥がしていこうぞ」


「見た目は美人なのに勿体ないねぇ、もう少しおしとやかにできない?」


 同じく両拳を握った錠前も、イヴと同等――――もしくはそれ以上の紅い魔力を纏った。


「お前が見た目を変えないのは、元カレのためともう一つ……僕にわずかながらの躊躇を生もうって感じかな? 残念」


 二ッと笑った錠前は、さらに出力を上げた。


「僕は男女平等主義者なんでね、美人だろうが本気で殴れる」


 数瞬の間が場を支配した後、両者は動いた。

 互いに地を蹴り、一気に肉薄。

 正面から拳をぶつけ合った。


 凄まじい衝撃波が発生し、第5エリア全体が振動する。

 ここに、最強VS最強の頂上決戦が幕を開けた。


「良いパンチだ、雄二を思い出すよ」


「…………」


 攻撃をぶつけ合ったのは間違いない。

 しかし、イヴの拳は錠前の体の手前で止められていた。


「魔導防壁の数段上位、『次元防壁』か」


 錠前勉は、プランク長に畳まれた高次元空間を自身の周囲にバリアとして展開できる。

 これは耐圧限界が事実上存在しない、無敵の防壁。

 あらゆる物理攻撃をシャットダウンする技だが、イヴの対処は早かった。


「凡庸だが厄介、しかしそれ故に対策も容易いな」


 格闘の応酬の中で、徐々にイヴの攻撃が錠前の肌に近づいて行った。

 それを察した錠前は、すぐさま側面へ回り込み――――


「『(ひゃく)』」


 向けた人差し指から、強烈な斬撃を放った。

 ガードしながらも吹っ飛んだイヴに追撃を行うが、彼女もすぐさま反撃。


「見せてやろう、これが”神眼”の権能だ」


 肉薄してきた錠前に、右手を向けた。


「『(ひゃく)』」


「ッ!!」


 錠前を掠って放たれたのは、ついさっき自分が撃ったものと全く同じ技。

 適応と同時に、”コピー”されたのだ。


 ギリギリで回避。

 彼の背後で、巨大なビルがバターのようにスライスされた。


「器用だね」


「おぬしが雑すぎるのだ」


 再びの衝突。

 錠前の次元防壁に、イヴが拳をぶつけたのだ。

 通常なら全く効かないそれだが、


 ――――ギャリギャリギャリッ――――!!!!!


「…………」


 魔力が火花のように弾ける。

 イヴの拳が、次元防壁をとんでもない勢いで削っていたのだ。

 このままでは破られる、錠前は即断した。


「なに?」


 イヴの拳が空を切る。

 防壁を破る寸前で、錠前があえてバリアを解除したのだ。

 生じた隙を見逃さず、錠前は彼女の顔面を掴み――――


「そぉらっ!!」


 ――――ドッゴゴゴォオオッ――――!!!!!


 もみじおろしの要領で、落下しながらビルの側壁に擦り付けた。

 地面へ落着したと同時、衝撃で150メートルはあるビルが崩落。

 またも巨大な砂煙が辺りを飲み込み。


「宇宙船以外は更地にしても良かったんだっけ?」


 砂塵から歩いて出る錠前。


「できるものならな」


 少し離れた場所から、イヴも歩いて出てくる。

 これにて互いに、様子見が終わった格好だった。


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― 新着の感想 ―
意味深ですね… 戦術面(個人の勝負の結果)じゃなくて戦略面(物語の大筋、主人公の最終目標到達に繋がる何か)に「最初の一手」が繋がりそう
イヴの土俵で戦うとなると如何に錠前と言えど…って不安は拭えないんだよなぁ…。
更新乙です。 前哨戦だけで既に異次元w このままだと周囲が更地どころか蒸発しても不思議じゃないわw
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