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~マンション(共同住宅)の物語 其の1 「眼球の乾き」
マンション内では、安仁屋さんの話題は2段階に
広まって行った。
一点目は、あの鼻持ちならない副理事長江川の
鼻を明かした武勇伝。
そして、二点目は、「FBIめ!」って叫んでいた
ことについてであった。
安仁屋さんは、周囲の目が少し自分寄りになって
きたことを感じながら、あらたなインベーダーの
接近に、神経がピリピリし始めていた。
電話が鳴った。
セールスの電話だった。
しかし、安仁屋さんは、電話をかけてきた男性に
「あなた、私の何を探っているの?」
「けっしてそんなことはございません。
セールスのお電話です。お気になさらないで
下さい。」
そう男性が言っても、安仁屋さんはどんどん
エスカレートしてきた。
「FBIでしょ!私を捕えようとしているのでしょ!
世の中、悪い奴がいっぱいいるのに何故私なの!
もうやめてぇ、あたいを苦しめるのは!ヤメぃ!
ぎゃぁぁぁっ!」
相手の男性は思わず電話を切ってしまった。
それほど、安仁屋さんのパワーはすごかった。
電話が切れても、受話器をもったまま、荒い
息で目は、映画リングの貞子のように白目を
剥き、眼球が乾燥し、瞬きするまで続いていた。




