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~マンション(共同住宅)の物語 其の1 「(血)祭りの後」

部屋に母親と共に戻った安仁屋さんは、興奮状態が続いていた。

「許さん!許さぬ!江川ぁ、八つ裂きにしてやる!」

そう言って、玄関に走る安仁屋さんを実母が身を挺して止めた。


「あんた、警察に次、つかまったら刑務所なんやで。解ってるの!」

その言葉に漸く安仁屋さんは我に返った。


時間が経つに従って、冷静さと共に、自分が行った大立ち回りに

気づき、取り乱した。

混乱した安仁屋さんは、思わず子供の頃身についた沖縄の踊を

舞っていた。

自分也にクールダウンを計ったのであろう。


そのあと、憑りつかようにルームバイクを2時間こぎ続け、

疲れて寝てしまった。


翌朝、恐る恐る集合郵便受けに朝刊を取りに行くと、タイミング

悪く江川の糞餓鬼に遭遇した。


いつもなら「メンヘラばばぁ」と言って走って逃げるが、今朝は

違った。

昨日の「八つ裂きにして、血祭りにしてやる!」も効いていたが

糞餓鬼の心に深く残ったのは「お前にはバチがあたるから。」と

断定的に言われたことで、餓鬼はこの先悪いことが起きそうな

不安に駆られていた。

そのため、糞餓鬼江川は、その場から逃げた。


そして餓鬼は異変に気付いた。


いつもの待ち合わせ場所に友達の姿がない…。


周囲を見ると、800mほど先にいつものメンバーが江川を

おいて先に登校していた。


「バチかぁ。」

糞餓鬼は、そう一言呟き歩き出した。


この餓鬼も、ある意味、馬鹿親の被害者である。


江川の母親は腕を組み、管理員の近くで立ち、安仁屋さんを

睨んでいた。

管理員は気配を読んでいた。

「もう、江川にかかわらないでおこう。」と。

風向きは変わっていた。


江川は昨日午前中までの、自警団たる金魚の糞のような

主婦群が歩いて来たのを確認し、スマートフォンの録音

を再生して、安仁屋に聞こえるようにした。

「待て!」

「血祭にしてやる!」

それらの言葉が一部不鮮明ながら録音されていた。


その再生する姿をみた自警団おばはん連中は、

江川の予想外の言葉を放った。


「安仁屋さん、この人がその録音であなたに何か

しようとしたら、私ら、江川親子があなたにして

来たことを警察にでも何処にでも話してあげるから

ビビらなくて良いよ。」と副リーダーが言い放った。


江川は「えっ!」と一言漏れたあと、再生をやめて

部屋に戻ろうとした。

その背中に向かって副リーダーは言った。

「もう、たった今、ここで、自警団は解散しま。

もうリーダーも何もないからね。解ったな!」

と。


江川は毅然とした態度で部屋に戻ろうとしたが

その姿は小さかった。


部屋に入る前に、江川に向かって男子中学生

が3人、マンションの中庭から「江川天誅!」

と叫ぶのが聞こえた。


江川の糞餓鬼は、昨日迄従えていた友人の

鞄を持たされ、尻を蹴られていた。


安仁屋さんは、少しだけ微笑んだが、イジメ

の辛さを知っているので江川親子とはいえ、

イジメを垣間見て、いい気はしなかった。


祭りの後は、

世界が変わっていた。


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