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~マンション(共同住宅)の物語 其の1 「モンスターと怪人の板挟み。」

必死に電車に駆け込んだ井川の姿は、PCを盗み、逃亡している

人間のように映った。

恐ろしい形相で、PCを抱き、汗だくになって荒い息を吐いている。


男子高校生が、その姿を動画に録り始めた。

「きっと犯罪者だぜ。テレビ局に売れるぞ。」と言う声が聞こえ、

横に居たOLが隣の車両に逃げた。


それだけでも充分怪しい姿なのに、駆け込むことに必死で、今漸く

脚の痛みに気づいた。


「痛いっ!」思わず声が出た。


準備運動も無い中、いきなり革靴でアスファルトを全力疾走した

ため、右足の靭帯を伸ばしてしまった。脹脛も痛い。肉離れである。


この後、乗り換えにビル8階分の高低差を歩かなければならない。

駅につき、歩き出す。


「痛い!」

傷む足を引きずるように乗り換えのホームへ。


そんなとき、8時15分、江川からの電話が鳴った。

しかし出ていると遅刻する。

留守電に江川からの「依頼ごとの履行具合は大丈夫でしょうね?」

との声が留守電に吹き込まれるのを聴きながら、井川は左手で

手摺を掴み、右手にはPCを抱いたまま、懸命にエスカレーターを

駆け上がって行った。


その姿は、傍から見ればアンデッド(ゾンビ)に近い異様さで、

またもや高校生が動画で撮り始めた。


8時25分、8時35分、江川からの電話が鳴る。

そこで止まった。8時40分以降は上司に電話をしていること

だろう。


そう思っていたのに8時40分、また携帯が鳴った。

留守電の声を聴くと管理員であった。

「朝早くにすみません。安仁屋さんが江川さんの郵便受けを

壊しました。私は何をすれば良いか、指示ください。」と。


井川は、もう、何もかも投げ出したかった。

心身ぼろぼろを全身で表現していた。



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