07 正しい魔法の使い方
午前中は自室に戻って本当に寝直した。いくらかは頭がスッキリとして、午後からはユマと戦災孤児達のいる教会に向かった。
敷地は広く、その中に修道女達が暮らす建物と教会がある。だが、戦時中に強奪目的の襲撃を受けて建物は一部が破損していた。今はそこに、2人の修道女と13人の孤児達が暮らしている。
挨拶を交わして中に入ると、予想通りに酷い有様だった。
そもそもが2人暮らし用でしかないのだ。何もかもが足りていない。食器や食べ物、衣類や毛布や寝る場所そのもの。
急ピッチで取りかかっても孤児院は、建設完了し使えるようにするのに2ヶ月はかかる。
とりあえず持ってきた食料品と毛布を配給した。砂糖菓子やキャンディもあったので、子供達はとても喜んでいる。
「引き続き配給を届けますし、建物の修繕についても軍の方にお願いしてみます。どうか2ヶ月間子供達をお願いします」
と僕は頭を下げた。年老いた白髪の修道女が
「こちらこそなんとか修繕をお願い致します。入り口をハンマーで壊されたものだから、風が入り込んで夜はとても寒いので」
と言った。見ると両開きのとても大きい木の扉が取り払われて木片に変わっていた。どうにかしてやりたいが、今は変わりになるような材料も人手もない。
「ベッドが足りないから男の子は床で寝ているんだ。風がピューって来ると、ブルブルして起きちゃうんだ」
榛色の瞳の男の子が言った。僕は
「──分かるよ。寒いね」
と言って彼の痩せてゴツゴツした肩に手をおいた。男の子は僕を見上げてさらに言う。
「でもいいよ。みんなで固まっているし今夜からは毛布もあるし」
本当だ。僕はそれも無かった────両方とも
「でも修道女のお二人も何かと大変でしょう。せめて手伝いを置いて参ります」
僕は召喚呪文で風の精霊と火の精霊を呼び出した。
何も無かった空間に光り出した水色と赤の光に子供達はわぁっ…と声を上げた。
見る見るうちにそれは人の形に近づき、跳ねた髪のスカイブルーの瞳の若い男と 燃えるような赤い瞳の女の姿に変わった。
「2人共、呼びかけに応じてくれて感謝する。
風よ、夜の間は家の中では大人しくして、もしも外から悪者や獣が来そうなら入り口で暴れてやってくれ。
火よ、この家を温かく見守ってくれ。出来れば台所も助けてくれれば、修道女達も助かるだろう」
風の精霊と火の精霊は、シスターの作るシチューとパン、それに子供達の歌声で契約──協力してくれることになった。
その場にいた みんなが笑顔になった。




