002 まずは、温かいスープから
リゼロッテに案内されて、俺は倉庫を出た。
廊下に出た瞬間、思った。
寒い。
いや、少し肌寒いとか、そういう上品な話じゃない。普通に寒い。冬の早朝に、暖房のついていないコンビニのバックヤードへ入った時の感じに近い。
石造りの廊下は薄暗く、壁に掛けられたランプの火も弱々しい。窓の隙間からは風が入ってきて、古いカーテンがひらひら揺れていた。
「ここ、本当に寮なのか?」
思わず聞いてしまった。
リゼロッテは気まずそうに視線を逸らす。
「一応、寮です」
「一応って言ったな、今」
「……灰羽寮は、少し古い建物なので」
「少し?」
天井から水が落ちた。
ぽたん、と音を立てて、廊下の床に水滴が広がる。
俺とリゼロッテは同時にそれを見た。
「……少し、古い建物なので」
「言い直しても無理があるぞ」
リゼロッテは何も言わなかった。
まあ、本人が一番分かっているのだろう。
廊下の奥から、誰かが小さく咳き込む音が聞こえた。別の部屋からは、何かが崩れるような音もした。
王立魔法学院。
その響きから想像していたものとは、だいぶ違う。
俺の中の魔法学院は、もっとこう、綺麗な中庭があって、制服姿の生徒たちが本を抱えて歩いていて、食堂では湯気の立つ料理が並んでいるような場所だった。
でも、目の前にある灰羽寮は、どう見ても「予算が最後に回される建物」だった。
俺はリゼロッテの後ろを歩きながら、さっき見えた半透明の文字を思い出す。
【生活改善図鑑】
【対象:灰羽寮】
【快適度:3/100】
【現在の問題:空腹/冷え/睡眠不足/衛生環境の悪化】
【最優先改善案:温かい食事】
あれは何だったのか。
魔法なのか。
俺だけに見えているのか。
考えたいことは山ほどある。
でも、今はそれより先にやることがある。
腹が鳴っている女の子を前にして、システム考察を始めるほど、俺も薄情ではない。
「厨房はこっちです」
リゼロッテが小さな扉の前で立ち止まった。
扉を開ける。
その瞬間、俺は言葉を失った。
「……おお」
厨房は、想像以上だった。
悪い意味で。
まず、暗い。
窓はあるが、外側に伸びた蔦が光を遮っている。作業台には薄く埃が積もり、棚には欠けた皿が並んでいた。
かまどは二つ。
片方は完全に割れていて、もう片方だけが辛うじて使えそうだ。その横には、小さな赤い石が置かれている。リゼロッテが言っていた火の魔石だろう。
鍋は一つ。
底が少し歪んでいるが、穴は空いていない。
包丁らしきものはある。
ただし、刃が鈍すぎて、包丁というより薄い鉄板に近い。
俺は無言で厨房を見回した。
コンビニの廃棄棚のほうが、まだ夢があった。
「食材は?」
「こちらに」
リゼロッテが戸棚を開ける。
中には、黒っぽいパンがいくつか。
袋に入った乾燥豆が少し。
しなびた野菜が数本。
それから、何かの根菜らしきものが二つ。
「これだけ?」
「今日は、あります」
「今日は、あるほうなのか」
「はい」
胸が少し重くなった。
日本にいた時、俺は廃棄弁当を見ながらよく思っていた。
もったいないな、と。
食べられるのに、時間が過ぎただけで捨てられる。
でも、ここには捨てるほどの食べ物がない。
あるのは、固くなったパンと、乾いた豆と、食べられる部分を探したほうが早そうな野菜だけだ。
「ユーマさん」
リゼロッテが不安そうに俺を見上げた。
「やっぱり、無理でしょうか」
「いや」
俺は袖をまくった。
「これなら、何とかなる」
高級料理は作れない。
調味料もない。
肉も卵もない。
けど、温かいスープくらいなら作れる。
問題は、道具と火力だ。
俺は鍋を手に取り、中を確認した。
「水は?」
「そこの桶に」
桶の中の水を覗き込む。
少し濁っている。
飲めなくはないのかもしれないが、そのまま使うのは不安だった。
俺は一度、桶の底を見てから言った。
「これ、普段はそのまま飲んでるのか?」
「はい。沸かすこともありますけど、火の魔石がもったいないので……」
「なるほど」
水も問題あり。
食事、寒さ、睡眠、衛生。
あの図鑑、わりと正確だ。
俺がそう思った瞬間、視界の端にまた淡い光が浮かんだ。
【生活改善図鑑】
【改善対象:夕食】
【現在使用可能な食材】
・乾燥豆
・黒パン
・根菜
・野菜くず
・水
【推奨:豆と根菜の温スープ】
【注意:水は必ず加熱してください】
「親切だな……」
「え?」
「いや、こっちの話」
やっぱり、俺にしか見えていないらしい。
リゼロッテは首をかしげていたが、それ以上は聞いてこなかった。
俺はまず水を鍋に入れ、火の魔石を使ってかまどに火をつけてもらった。
小さな赤い石にリゼロッテが指を近づけると、石がぽうっと光り、かまどの奥に火が灯る。
魔法だ。
普通に魔法だ。
ちょっと感動した。
ただ、その火はすぐ弱くなった。
「魔石、だいぶ弱ってないか?」
「はい。新しいものは高いので」
「節約しないといけないわけだ」
「……はい」
リゼロッテは申し訳なさそうに頷いた。
俺は鍋の位置を少し動かし、火が一番当たる場所を探した。
それから、しなびた野菜を手に取る。
外側の傷んだ葉を取り除き、まだ使えそうな部分だけを集める。根菜は皮の汚れを落とし、小さめに切る。
包丁は本当に切れなかった。
途中から、切るというより押し潰している感じになった。
「この包丁、あとで研いだほうがいいな」
「包丁って、研げるんですか?」
「研げる。というか、研がないと切れない」
「そうなんですね……」
リゼロッテが真面目な顔で頷いた。
もしかして、ここでは包丁を研ぐという発想すらあまりないのか。
いや、他の寮にはあるのかもしれない。
灰羽寮にないだけで。
乾燥豆は本来ならもっと時間をかけて戻したい。
でも、今はそんな余裕がない。
俺は豆を軽く洗い、鍋に入れた。根菜も入れる。野菜の切れ端も細かくして足す。
塩が欲しい。
せめて塩だけでも欲しい。
「リゼロッテ、塩はあるか?」
「少しだけなら」
彼女は戸棚の奥から、小さな木の容器を取り出した。
中には白い粒がほんの少しだけ入っている。
「貴重なのか?」
「はい。調理に使うより、体調を崩した時のために残しておくことが多いです」
「じゃあ、ほんの少しだけ使う」
俺は指先で少量つまみ、鍋に入れた。
本当に少し。
味がつくかどうかも怪しい。
でも、温かいだけでだいぶ違うはずだ。
スープが煮立つまでの間、俺は黒パンを手に取った。
固い。
冗談抜きで固い。
これ、投げたら武器になる。
「これ、いつのパン?」
「三日前です」
「三日前でこの固さ?」
「灰羽寮のパンは、最初から少し固いので」
「少し?」
「……かなり」
リゼロッテが小さく訂正した。
俺はそのパンを薄く切り、かまどの端で軽く炙ることにした。
そのまま食べるより、焼いてスープに浸したほうがいい。
作業しているうちに、厨房の外で足音がした。
ひとつではない。
何人かいる。
リゼロッテがびくっと肩を震わせた。
「リゼロッテ。厨房から匂いがします」
扉の向こうから、静かな声がした。
リゼロッテは俺を見る。
俺も彼女を見る。
隠れるか?
いや、もう遅い。
扉が開いた。
まず入ってきたのは、白い髪の少女だった。
肌も白い。瞳は薄い水色。制服の上に厚手のケープを羽織っている。無表情で、どこか人形みたいな印象があった。
彼女が入ってきた瞬間、厨房の温度が少し下がった気がした。
「……誰ですか、その人」
声も冷たい。
比喩ではなく、近くの空気まで冷たい。
続いて、小柄な少女が顔を出した。
茶色の髪はぼさぼさで、丸い眼鏡をかけている。ローブの袖には焦げ跡がいくつもついていた。手には工具らしきものを持っている。
「え、人? 男? なにそれ、リゼ、また変なの拾った?」
「拾っていません。召喚しました」
「もっとだめじゃん」
最後に、眠そうな金髪の少女が入ってきた。
目元がとろんとしていて、歩き方もふわふわしている。肩には、縫いかけの布をかけていた。
「いい匂いがします……夢ですか……?」
「夢じゃないです、フィリア」
リゼロッテが小さくため息をついた。
白い髪の少女が俺をじっと見つめる。
「説明を」
短い。
でも、圧がある。
リゼロッテは慌てて三人に事情を説明した。
召喚試験に失敗したこと。
俺が異世界から来たらしいこと。
先生にはまだ知られていないこと。
そして、今はとりあえず夕食を作っていること。
説明が終わると、眼鏡の少女が俺を見た。
「つまり、使い魔の代わりに出てきた人間が、厨房でスープ作ってるってこと?」
「そうなるな」
「情報量が多いね」
それは俺も思う。
白い髪の少女はまだ警戒を解いていない。
「危険は?」
「たぶんない」
「たぶん」
「少なくとも、今のところ俺にできる攻撃は、固いパンを投げるくらいだ」
眼鏡の少女が少し笑った。
白い髪の少女は笑わなかった。
でも、視線だけは鍋に向いた。
眠そうな金髪の少女は、もう完全に鍋を見ていた。
「リゼロッテ。この人、料理人ですか?」
「違うそうです」
「でも、いい匂いがします」
金髪の少女が小さく呟いた。
俺は鍋をかき混ぜた。
豆はまだ少し固いが、根菜には火が通ってきた。野菜の甘い匂いが、ゆっくり湯気に混じって広がっていく。
正直、たいした料理ではない。
日本でこれを出したら、「節約料理」とか「冷蔵庫整理メニュー」とか、そんな扱いだろう。
でも、この厨房では違った。
湯気が立つだけで、空気が変わった。
寒かった厨房に、少しだけ人のいる場所の匂いが戻ってくる。
「名前を聞いてもいいか?」
俺が言うと、眼鏡の少女が先に手を上げた。
「ミア。錬金術科。だいたい爆発するけど、わざとじゃないよ」
「わざと爆発してたら怖いな」
「たまにわざとの時もある」
「あるのかよ」
ミアはにっと笑った。
次に、白い髪の少女が静かに言う。
「ノエル。氷結魔法科」
「よろしく、ノエル」
「近づきすぎないでください。凍ります」
「物理的に?」
「物理的に」
「分かった。気をつける」
最後に、金髪の少女が眠そうに頭を下げた。
「フィリアです。治癒魔法科……の、候補生です」
「候補生?」
「よく寝落ちするので、まだ正式ではありません……」
言いながら、フィリアは本当に立ったまま目を閉じかけていた。
リゼロッテが慌てて支える。
「フィリア、寝ないでください」
「スープができたら起きます……」
「今も起きていてください」
なるほど。
灰羽寮。
落ちこぼれ寮。
この短時間だけでも、だいぶ個性が強い。
でも、不思議と嫌な感じはしなかった。
みんな、疲れている。
警戒している。
それでも、鍋から立ち上る湯気を見ている目だけは、少しだけ柔らかかった。
俺は炙ったパンを皿に並べ、スープの味を見る。
薄い。
かなり薄い。
でも、飲めないほどではない。
野菜の甘みと豆の香りが少し出ている。塩は足りないが、温かさはある。
「よし」
俺は木の器にスープをよそった。
「熱いから気をつけて」
最初の器をリゼロッテに渡す。
彼女は両手で受け取った。
その指先が、少し震えている。
「ありがとうございます」
「礼は食べてからでいい」
次にノエル、ミア、フィリアの分をよそう。
最後に自分の分。
全員が、厨房の小さなテーブルを囲んだ。
少し前まで埃っぽかった場所に、湯気の立つ器が並んでいる。
それだけで、さっきよりずっと寮らしく見えた。
リゼロッテがスプーンを持ち、恐る恐るスープを口に運ぶ。
ノエルは無表情のまま一口飲んだ。
ミアは最初から疑うような顔をしていたくせに、口に入れた瞬間、少しだけ目を丸くした。
フィリアは両手で器を包み込んで、ゆっくり湯気を吸い込んだ。
「……あったかいです」
最初に言ったのは、フィリアだった。
その声が、妙に静かだった。
ただの感想なのに、胸の奥に引っかかった。
ノエルは何も言わない。
けれど、彼女の周りに漂っていた冷気が、ほんの少し弱まったように見えた。
ミアは炙ったパンをスープに浸して、ぱくりと食べる。
「パン、噛める」
「そこからなのか」
「灰羽寮のパン、基本的に戦闘向けだから」
「食事向けにしてくれ」
ミアは小さく笑い、またパンを浸した。
リゼロッテは黙ってスープを飲んでいた。
一口。
もう一口。
それから、器を両手で持ったまま、ぽつりと言った。
「……おいしいです」
「味は薄いけどな」
「でも、温かいです」
その言い方で、俺は何も返せなくなった。
うまい、じゃなくて。
温かい。
この寮では、それが一番大事だったのかもしれない。
リゼロッテは少しだけ顔を伏せた。
「ユーマさん」
「ん?」
「これ……明日も作れますか?」
俺は鍋を見た。
残ったスープは少ない。
食材も多くはない。
火の魔石も弱っている。
問題だらけだ。
けれど。
「作れる」
俺はそう答えた。
「食材が少なくても、やり方はある。鍋も包丁も直したほうがいいし、水も一回ちゃんと沸かしたい。厨房も掃除したい。やることは多いけど」
俺が言うと、ミアがスプーンをくわえたまま首をかしげた。
「ユーマ、寮母さんみたいだね」
「せめて管理人って言ってくれ」
「じゃあ、灰羽寮の管理人さん?」
「勝手に就職させるな」
そう言いつつ、悪い気はしなかった。
管理人。
勇者よりは、だいぶ俺に向いている気がする。
食事が終わる頃には、鍋は空になっていた。
器の底まで綺麗にすくわれている。
フィリアはいつの間にか椅子に座ったまま眠っていた。器は両手で抱えたままだ。
ノエルは無言で立ち上がり、自分の器を流し台まで持っていった。
「ごちそうさまでした」
短い一言。
でも、さっきより声が柔らかかった。
ミアは鍋を覗き込みながら言った。
「明日はもっと作れる?」
「食材があればな」
「じゃあ、倉庫漁ろう。たぶん何かあるよ。食べられるかは別だけど」
「そこは食べられるものを探してくれ」
リゼロッテは、空になった自分の器をじっと見つめていた。
何かを言いたそうで、でも言葉を選んでいるようだった。
その時、また視界に淡い光が浮かんだ。
【改善達成:温かい食事】
【灰羽寮 快適度:3 → 7】
【報酬:簡易保温鍋の設計図を解放しました】
【追加情報:厨房設備の劣化が深刻です】
【次の改善候補】
・浴室の修復
・寝具の乾燥
・厨房の衛生改善
快適度が上がった。
たった四ポイント。
でも、上がった。
俺が作った、薄い豆のスープで。
俺は少しだけ息を吐いた。
どうやら、この図鑑は本当に灰羽寮を改善すると反応するらしい。
つまり、俺がこの寮でやるべきことは、かなりはっきりしている。
食べさせる。
温める。
寝かせる。
綺麗にする。
それだけで、この子たちの状況は変わる。
少なくとも、今よりは。
「ユーマさん?」
リゼロッテが俺の顔を覗き込んだ。
「また、何か見えているんですか?」
「え?」
「さっきも、少し遠くを見るような顔をしていました」
鋭い。
意外と見ている。
「まあ、少しな」
「それは、ユーマさんの世界の魔法ですか?」
「たぶん違う。俺の世界に魔法はない」
「では……」
「正直、俺にも分からない。ただ、この寮を良くするためのヒントみたいなものは見える」
リゼロッテは驚いたように目を見開いた。
「灰羽寮を……?」
「ああ」
俺は次の改善候補を思い出す。
浴室の修復。
寝具の乾燥。
厨房の衛生改善。
どれも大事だ。
けど、優先順位をつけるなら。
「リゼロッテ。風呂はあるか?」
聞いた瞬間、厨房の空気が止まった。
ミアが目を逸らした。
ノエルが黙った。
リゼロッテの顔が、さっきとは別の意味で赤くなる。
「お風呂は……」
「あるにはあるんだな」
「はい。あります。灰羽寮にも、浴室はあります」
「じゃあ、使えるのか?」
リゼロッテは小さな声で言った。
「今は、使えません」
「いつから?」
「三ヶ月前からです」
「三ヶ月」
「給湯用の魔石回路が壊れてしまって。修理申請は出したんですけど、灰羽寮は後回しでいいと言われて……」
俺は額に手を当てた。
三ヶ月。
この寒さで。
風呂なし。
「じゃあ、体はどうしてるんだ?」
「水で拭いています」
「この寒さで?」
「はい」
リゼロッテは恥ずかしそうに俯いた。
ノエルが静かに補足する。
「私は、冷たさには慣れています」
「慣れていい話じゃない」
ミアが苦笑した。
「フィリアはよく水拭き中に寝るよ」
「それは危ないだろ」
「だからみんなで起こす」
「そういう問題でもない」
俺は厨房の窓を見た。
隙間風で、薄いカーテンが揺れている。
外はもう暗い。
廊下も寒い。
この寮の子たちは、まともな食事もなく、温かい風呂もなく、冷えた部屋で眠っている。
それで魔法を安定させろとか、考査で結果を出せとか。
無茶だ。
俺は空になった鍋を見た。
今日、スープは作れた。
でも、飯だけじゃ足りない。
「明日、浴室を見せてくれ」
俺が言うと、リゼロッテが顔を上げた。
「ユーマさんが、ですか?」
「直せるかどうかは見てみないと分からない。でも、何もしないよりはマシだろ」
「でも、給湯回路は魔法設備で……」
「俺は魔法設備は分からない」
「では、どうやって」
「分からないから見るんだよ」
リゼロッテはぽかんとした。
ミアが小さく吹き出す。
「いいね。ユーマ、けっこう変だ」
「君に言われると、かなり複雑だな」
「褒めてるよ」
「本当に?」
「半分くらい」
「残り半分は?」
「観察対象として面白い」
「やっぱり褒めてないだろ」
少しだけ、厨房に笑いが起きた。
本当に少しだけ。
でも、この寮で初めて聞いた、普通の笑い声だった。
俺は鍋を流し台に置き、水を入れた。
食器洗いも必要だ。
厨房の掃除も必要だ。
包丁も研ぎたい。
食材の管理も考えたい。
保温鍋の設計図とかいうものも、あとで確認しないといけない。
やることが多すぎる。
コンビニ夜勤明けの身体には、正直きつい。
でも、不思議と嫌ではなかった。
俺は、空っぽになった鍋を見下ろしながら思った。
この寮、飯だけじゃ足りない。
まずは風呂だ。




