第30話 引き続き、プロに任せます。
「知っているというか…ほぼ当事者ではないかと推測しているが。」
と、話すレグは、推測というよりも確信に近い雰囲気だ。
「あの…どういう経緯で、そういう結論に?」
うん。
トープの疑問は正しいと思う。
するとレグが、それに答える形で話を続けた。
「リラの見立てでは、毒や病気の類いではないとのことだった。」
「あ、はい。」
完全に回復はできませんでしたが…、とリラ。
「リラのスキルですら完全に回復ができずに、直ぐまた悪化、普通ならありえないだろう。」
「まあ、そうよね。」
シトラスも、そこについては疑問があったのだろう。
「ざっと見た限りだが、影響は広く薄く、街全体に広がっていた。この規模でこの影響力、街の外から仕掛けるというのは、相当に考えにくい。」
「なるほど。それなりに大掛かりな仕掛けというか装置が、街の中にあるのでは、と?」
「恐らく。」
周りを見ると、ウィス以外は「まあ、そうだよね」という雰囲気を出している。
ウィスは…興味が無さそうだ。
というかリラが持っているであろうお土産のことしか頭にないな、これは。
「街中だとすると、なるべく目立たないところでしょうか?探すのが大変そうです。」
と、トープがレグに問いかける。
「いや、逆なんじゃないかと思っている。」
「逆ですか?」
「人の出入りが多い場所に設置すれば目立つかも、そう考えるのが一般的だが、ざっと街中を見た限り、むしろ中心部に仕掛けがないと、此処まで広範囲に影響を与えるのは難しい。例えば…冒険者ギルドのあたりだと条件はかなり良い。」
それは…口ぶり的にも、かなりの高確率で冒険者ギルドが【黒】だと言っているのかな。
「冒険者ギルド…ところで、ベッシュの冒険者もパーティ離れが加速しているのかしら。」
「ざっと見た限り、王都と似たような状況だな。」
「冒険者の活動量が低下するのは、多少なりとも影響がありますから、それこそギルドや領主が対応を考えてもおかしくはない。」
「でも現状、何もしていない。」
「王都と同じね。」
少しづつ、話が繋がってきた。
「此処まで影響が広がっているのに、領主が何もしないと、いろいろ怪しまれるだろう。」
「この規模の街を任される領主が、無能と評判なら静観しててもおかしくないけど、そうではなさそう。」
「原因を探る、治療薬を見つける、症状が酷い人を隔離する、色々やれるはずなのに効果の判然としない薬を集めているだけ、という風に見える。」
なるほど。
「色々考えていると思われるように、幾つか動きを見せて、実際には何もしていないと同じ、ということね。」
ふんふんとレグの話を聞いていたシトラスが言うと、
「そうだ。それから、ざっと見た限り、冒険者ギルドの建物の構造的に、どうも地下で別の建物と繋がっている気がする。ギルド周辺で領主とよく似た背格好の人物が目撃されているという情報もあった。」
「この短時間で、よく情報集まりましたね…。」
同感だ。
「首謀者は不明だが、ざっと見た限り、本当の黒幕は街中にはいないかもしれないな。」
「そうなんですか?」
「ああ。それにギルド以外にも関わっている団体がいる可能性が高い。中には脅されてやむなく手伝っている、というパターンもあるだろう。」
「首謀者なんてとっ捕まえてぶん殴ればわかるじゃろ。」
「そういう単純さが成立する事件ならね。」
「ざっと街中を見た限りだが、治療院や教会なんかも、何らかの事情を知っている可能性があるな。」
うーん。
情報収集と分析が早すぎる。
あと、【ざっと見た限り】のパワー凄すぎぃ!
「まあ、暗殺するよりも情報集めるほうが楽だからな。」
暗殺するより…じゃなくて!
でも「元凶の首はこれだ」とかいって生首が出てくるよりはよっぽどいいか…。
と思っていたら、
「中々情報が早いが、これからどうするんじゃ?」
と、お土産に意識を奪われているウィスが、奪われつつ問いかけてきた。
「そうねえ。私達が首を突っ込む案件かどうか、とりあえず多数決。」
と言ってシトラスが、ぐるっと周りを見渡す。
「私は、どちらでも。」
「僕もです。」
「いつでも大丈夫だ。」
「正面から乗り込んで、全員殴り飛ばせば解決するじゃろ?」
武闘派と中立派がいるのに穏健派がいない…。
今後は穏健派のパーティメンバーを増やすべきなのか…?
「殴り飛ばすかどうかはさておき、じゃあ、もう少し深めに首を突っ込んでみましょうか。」
「そうだね。せっかく調べてもらったし、いいんじゃないかな。」
もちろん、僕らの強さが前提にあるんだけどね。




