第29話 情報収集と分析はプロに任せます。
さて、ギルドの騒ぎを横目に一応依頼掲示板も見てみたけど、すぐに依頼を受けるという気にはどうしてもならなかった。
なので、ギルド内の雰囲気や会話である程度の情報収集をしつつ、もうすぐ集合予定時刻になるリラレグと合流することにした。
ギルド内の一角にある資料閲覧室で、周辺の地理や魔物の出現情報などをチェックしつつ、4人で待機。
程なく、リラ・レグが来た。
このまま此処で話をしてもいいけど、どうしようか。
「場所は移しますか?」
「そうね。」
「で、収穫はあったかの?」
「えっと、はい「それは楽しみじゃな!」「それはまた後で」「むう」」
「とりあえず移動しましょうか。」
ということで、一旦ギルドを出て、個室のある食堂に移動してみた。
別に聞かれてまずい話をするわけでもないけど、一応ね。
食堂に着いて、各自それぞれ注文した料理を受け取ると、
「どうやら、流行り病ではないようだ。」
「呪いというか…悪意を持った何か、という感覚です。」
と、リラ・レグが話を切り出した。
「毒とかでもなくて?」
「はい。」
うーん、と軽く唸るシトラス。
「ベッシュの人口ってどのくらいかしら?」
「10万とも15万とも言われているみたいだよ。」
「そのベッシュで、交易や防衛に支障が出かねない現状で、領主がやることは毒消しのストック?」
「しかも、毒が原因ではないのに?」
リラが「毒ではない」と断言するのは、実際に色々試してみたからなのだろう。
レグも異論を挟む気配は無い。
「でもまあ、原因がはっきりしない以上、将来を考えて念のため解毒剤を備蓄、ならありかもよ。」
とは言ってみたものの、ちょっとしっくりこないかも。
「ところで、リラでも回復させることはできなかったの?」
「いえ、できました。ただ…。」
「ただ?」
「直ぐにまた体調が悪化しました。」
「なるほど…。」
「力が及ばず…すいません。」
「あやまることじゃないわ。仕掛けた側だって対策はしているだろうし。」
まあ、回復が簡単にできるならそこまで騒ぎにはならないはずだ。
「とすると、外部から何かしらの影響を継続的に受けている、とかなのかな?」
「可能性としてはあるわね。」
「呪いかあ。ウィスは何か知ってる?」
「呪いと言われるような類のものは魔界にもあるぞ。」
「そうなの?」
へー。
「ただ、効率は悪いし対象も限定的じゃ。」
「街全体を広範囲にカバーする呪い、は考えにくい?」
「魔界の常識ならありえんの。」
まあ、そうだよね。それは魔界だけじゃなくて人間界でも通用する常識だと思う。
「これって、僕らが首を突っ込む案件でしょうか?」
「誰かが調べたり解決に向けて動いているかもね。どうするシトラス?」
「そうねえ。私はもう少し考えをまとめたいところだけど…。」
「だけど?」
「どうもさっきから、レグが色々分析しているようなのよね。」
ん?
「そうじゃない?」
するとレグが、
「街中をざっと見た限りだが、領主は体調不良の正体を知っているかもしれない。」
と話し始めた。




