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第26話 冒険者って「職業」なんですか?

ブリトン王国の王都アバーフロウには、概ね50万人ほどが、何らかの形で滞在していると見られている。

見られている、というのは出入りが激しいので中々正確に把握することが難しいのだ。


定住する人。

商売で立ち寄る人。

どこにも行く宛が無い人。

とある木の実で大幅にパワーアップした人。

最強な人。

召喚された人。

突然記憶が戻った人。

猫…ではなく人。


様々である。


そんな、坩堝のような街には、当然様々な職業があり、冒険者も一応「職業」と認識されている。


さて、その冒険者、王都に何人くらいいるのか。


「冒険者ギルドに登録している冒険者は、実質的に引退している人も入れると約1万人です。」

「そうなんですね。」

「はい。ただ、周辺の町や村で暮らす人や、遠距離の依頼を受ける人もいますので、王都人口として数えて問題ないのは、恐らく2千人くらいだと思います。」


冒険者ギルドの受付に座っている人に聞くと、このような答えが返ってくる。


この数字は何を意味するのか。


農業を生業とする町や村であれば、人口の5%が農業従事者ということも珍しくはないだろう。

漁業を生業とするのも、同じようなものだ。


つまり、王都の冒険者ギルドがそれなりの規模を保っているのは、冒険者という職業に一定程度の需要があるからだが、だからと言って冒険者に何かがあると王都が揺らぐ、なんてことはない。


そもそも冒険者に頼るような運営をする街は、その時点で終わっているというのが施政者の思考だろう。


しかも王都の人口や職業分布、周辺の街や村の状況、魔物や意図しない外敵の動向などによって、職業冒険者として自立出来る数は、自ずから決まってくる。


一時的に増えても減っても、そのうち元に戻る。


「ということで、冒険者の動きが多少変でも、じゃあ今すぐ王都に何か危機が迫っているかというと…。」

「そうではないわよね。」

「でも、高ランク帯の冒険者の動向は気になりますね。」



夕方。


パーティメンバー揃っての夕食、かつ、得た情報の共有とすり合わせの時間である。


シトラスは、どうやら冒険者の揉め事に首を突っ込んでいたようだ。

トープが「シトラスさんって、ダンスとか踊りとか上手なんでしょうか?」と小声で聞いてきた理由はよく分からないが。


それから、リラはどうやら病気・怪我・疲労・毒・麻痺などは一通り回復させられるらしい。

何気にとんでもない能力、っていうか普通に「聖女」認定されそう。

もうされてたりして。


ちなみに僕とウィスは「こっちの世界の甘味が食べたい」というウィスに付き合っていたら、今日が終わっていた。

まあ、親睦を深めたということで勘弁してもらおう。



「じゃあ、Aランク以上の高ランク冒険者は、数が足りなくなっているかも?」


最近のパーティ解散の余波としては、それが一番かな?


「強い魔物を呼び出した一方、対処できる高ランク冒険者は不足。」

「分かりやすいね。」

「分かりやすいというか、ちょっと計画が雑だけど、目的の一つではあるかもしれないわね。」

「召喚陣自体が切り札ではないのかの?」

「それなりに大掛かりな仕掛けだけど…やっぱり手段の一つってとこかしら。」


僕らも王都に来て数日しか経っていないから、街中が多少騒がしいとして、普段の様子との違いはそこまで分からない。


それに、水面下で何かが動いていたとして、じゃあ積極的に悪を探し出して駆逐、といった行動を取るつもりは、今のところない。


将来的には、まあ、何かあるかもしれないけど、余計なフラグは立てないようにしないとね。


「じゃあ、明日からどうしようか。」

「そうねえ。南の方に行ってみる?」

「さっきの解毒剤の話?」

「そうそう。」

「俺は悪くないと思う。」


僕も、依頼本数の急増とかには違和感を感じるけど、かといって、そこまで深刻な事態という雰囲気は、今のところない、という点で悪くないと思う。


するとシトラスが、話をまとめるように、

「まあ、あんまり王都でウロウロしていてもしょうがないし、そうしましょうか。」

と、皆をぐるっと見回すように話しかけた。


問題なし、という皆の表情。

じゃあ、明日から少し王都を離れて、遠征といきましょうか。





そして、また一つ、企みが潰される。

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