第16話 報告です。
「休み?」
「はい。急用ということでしたが。」
「3人とも?」
「はい。」
数刻前に僕らの案内をしてくれた3人が、揃っていなくなってしまった。
それは流石にタイミングが良すぎるような…と思いシトラスを見ると、僕と似たような表情をしている。
ウィスを除く3人も似たような感じ。
ウィスは…特に興味が無いようだ。
ギルドの中をキョロキョロしている。
「どういうことでしょうか?」
「うーん。逃げられたかも。」
絶対に怪しい、とまでは行かなかった僕たちの意識とは裏腹に、さっさと姿を消した3人。
動きが早い。
「じゃあ、やっぱり何かを計画しているということですか?」
「推測だけど、王都に何かしらの混乱を起こすつもりなのかもね。」
「王都壊滅とか?」
「あの召喚陣程度なら、それはないわね。」
とすると…。
「召喚陣の研究とか?」
「他にもあるとか?」
「両方ありそうね。」
「ウィスのことは?」
「起きた事実は把握しつつ…詳しいことは分かっていないだろう。」
「僕たちも本人から話を聞かないと分かりませんでしたしね。」
「いずれにしても用心深いのは確かね。」
今のところは、どちらかというと後手に回っている感じ。
「とりあえず報告しましょう。」
「いなくなった3人はどうしましょう?」
「探してみるか?」
「うーん…難しいところね。」
探せば見つかるかもしれないけど、見つけたところで「休暇中」と言われてしまえばそれまでだ。
それに、探しているという事実を知られるのも良くないかもしれない。
ということで、そっちはいったん保留。
受付の方に報告を済ませてしまおう。
「とりあえず現状を報告するわね。一部は既に報告済みの内容も入っているかもしれないけど。」というシトラスに対して、「お願いします」と丁寧に対応してくれるギルドの受付のお兄さん。
魔物の気配が感じられなかったこと、召喚陣のこと、召喚された魔物は不完全な状態だったのか、崩れ落ちてしまったので戦闘は回避したこと、などを報告しつつ、ウィスのことは伏せておいた。
そんな報告を聞いたお兄さんは、かなり難しい表情を浮かべていた。
「これは…ちょっと内部で検討します。ご報告ありがとうございます。」
と、丁寧に対応してくれるのは、他のパーティの報告と、頭の中ですり合わせているのかも。
「ちなみに現場はどのような状態ですか?」
「召喚陣は消えているけど、崩れた魔物は、私達は、そのままにしておいたわ。」
私達は、の所を強調したが、意図はきちんと伝わったようだ。
すると受付のお兄さんが、
「えっと、また何か伺うことがあるかもしれませんので、出来れば所在を明らかにしていただけると助かります。」
と提案してきた。
あまり動き回るのも疲れるしね。
近場の宿に滞在して、状況を整理してみてもいいかもしれない。
よくよく考えれば僕たちもまだ知り合ったばかりだったし。
「じゃあ、近場の宿を紹介してもらう、でいいかな?」
「ええ。ついでに、多少高くてもいいから落ち着けるところがいいわ。」
要はなるべく秘密が守られそうなところが良い、という意味だろう。
シトラスがそう言うと、受付のお兄さんも承知のうえで、とある宿を紹介してもらった。
ちなみに流石に王都だけあって、街を上げてのお祭りでもない限りは、当日急に探しても大体は泊まれるようだ。
「じゃあ、行きましょう。」
「そうだね。」
ちょっと情報が多めだからね。
皆で話を整理することにしよう。
「お気をつけて。予定外に森の奥に行ったことは、なるべく穏便にしますよ。」
「あははは…お願いします。」
やっぱりそこは言われるか…。




