第七話 出発は、めんどくさい
ゆりの実験は成功?……ということで
・・・・
どこかへ行くらしい
馬車で2日? これって、近いの?
あれ?魔術師さん達、
もしかして、めっちゃ急いで来てた?
……なんか、ごめん!
アルも行くし
魔術師さんも行くなら
まぁ、仕方ない…か…
飢饉は人が死ぬからね
人助け大事!
・・・・ ほんとは、おばあちゃんとこで
折り紙してたいけどなぁ~
転生前も、旅行なんて修学旅行だけだったし
その修学旅行も地震で船に閉じ込められたり
火山噴火したりして
散々だったもんなぁ~
いいイメージゼロ、ほんとゼロ!
・・・・
ところで、馬車って…
荷馬車?
それとも豪華な方?
結構、重要じゃない?
寝心地、雲泥の差!
◇
出発の朝
おばあちゃんが
小さな布包みを渡してくれた。
「たいしたものは…ないけどね」
開ける
着替えが一枚。
それから
パンとお芋茹でたの、果物!
えっ、なに?
……お菓子!!!!
この家に来た日のご飯って…
めっちゃ質素だったのに
きっと余裕なんかなかったのに
それでも
私に食べさせてくれた
旅に出るってなったら
お菓子まで焼いてくれた!
もう、おばあちゃん!
大好き!
心があったかくなる
なんにもしてないし
なんにもできてないのに
こんなにこんなに気にしてくれてる
うれしい!
頑張れそうな気がしてきた!
「途中で、お腹がすいたら、
これを食べるんだよ」
うん!
・・・・
大事に食べよう
「着るものなんかは、
向こうで用意してもらいなさい。
あんたは、村のために行くんだから」
セドリックさんが頷く。
「必要なものはこちらで用意します」
そっか…
じゃあ、紙も?
洋服は、もう2つあるから大丈夫!
魔術師さんをじっと見つめてみる
「……なんですか?」
・・・・
「紙」
「普通の紙も使用済み術式紙も、用意はあります
普通紙は、使っていただいて問題ありません」
うひょー!
脳内サンバカーニバル again!
ふふっ……私の勝ち!
◇
出発までは
まだ少しだけ、時間があるらしい。
荷物もない。
やることもない。
おばあちゃんの家の椅子に座る。
そういえば、ゆりの時に切った
残りの紙、ポケットに入れっぱなし…
これで、小さな正方形作って
手で紙を切るの得意なんだよね~
なに折ろうかな~
奴さんとか?
人型だから、アルにもわかりやすいかも!
うんうん、ちょうど2枚同じ大きさで取れたし
いいかも~!
三角に折って、もう一度、三角
ひらいて、角を真ん中まで折って、座布団折りっと
ひっくり返して座布団 again
ひっくり返して座布団 again…っと
隙間をひろげて、手と胴を作って
もう1枚も、同じに…っと
最後は引っ張って袴にするっと!
あっ、カメラにしてもおもしろいかも!
……カメラないか(汗)
で、奴さんに袴を差し込んだら
できあがりっと!
ふふっ、かわいい~
兜もかぶせてあげたいけど
もう、紙なくなっちゃった……
馬車に乗ったらもらえるかなぁ~
楽しみだなぁ~
・・・・
◇
「チョコ、起きろ」
・・・・
あれ? 寝ちゃてた?
「出るぞ」
・・・・
もう?
「お前、よくこんな時に寝られるな」
寝られる時に寝る!
これ大事!
電車の中でも、バスのなかでも
移動中は睡眠時間だったなぁ~w
◇
おばあちゃんが私を抱きしめる
「無理しなくていいからね」
こく
「嫌だったら、嫌って言うんだよ」
こくこく
「ご飯、ちゃんと食べるんだよ」
こくこくこく
もちろん!
「眠い時は寝なさい」
こくこくこくこく!
完璧!
「紙ばっかり折ってないで」
・・・・
おばあちゃん、
それは…… 無理!!!
アルが笑った。
「そこだけ頷かねぇのな」
うるさい!
◇
馬車へ乗る
……幌付きの荷馬車だった…_| ̄|○…
セドリックさん
アル
私
護衛の人たちは、外で馬に乗ってる
昨日の偉そうな人は?
・・・・
いない!
やった!ヤッホー!
ニヤっと笑った私を見た魔術師さんが
「彼は領都へ戻りました」と一言
怖っ!読心術???
・・・・
あやつが、いい馬車持っていったんだ、きっと!
やっぱり、やさしくない!
馬車が動く
おばあちゃんに、いっぱい手を振った
おばあちゃんが小さくなる
村が遠くなる
・・・・
帰ってこれるよね?
魔術師さんを見る
「どうしました?」
「……帰れる?」
「もちろん。この仕事が終われば戻れます」
こく
よし!
帰る場所があるって、なんかしあわせ
アルが窓の外を見てる
なにを考えてるのかな…
村を出る時、
おばあちゃん以外
誰もアルに声をかけなかった
・・・・
想定内、想定内っと
それにしても、馬車、揺れ過ぎじゃない?
ちょっと酔いそう。
・・・・
寝よ




