第四十四話 乗れる?
アルベルト様から預かったのは、2種類のヒコウキ。
一つは、とても早く飛ぶもの。
一つは、早くはないが、長く空にあるもの。
水の中ではどうなるのか、
今日は、湖での実験だ。
早いものから、実験することになった。
水の上で押してみる。
水の中に潜った!
波が立った!
進んだ!
早い!!!!
湖の反対側から狼煙があがったのは、ほんの数分後だった。
早い!
しかも、潜る。
・・・・魔術師達が顔を見合わせた。
「なにに使うんだ?」
と話している間に、戻ってきた。
まだ、いけそうだ。
みんなで、ヒコウキを折ってみた。
アルベルト様のものと、なにか違いがあるだろうか。
一斉に、発進させたが・・・
一つは、沈んだ。
一つは、右に曲がって、戻ってきた。
一つは、左に曲がって、戻ってきた。
残り二つは、まっすぐ進んだが、アルベルト様のものには追いつかない。
なにが違うんだ???
沈んだものは、ほとんど折りがほどけて、紙になっていた。
「折り筋がきちんとついていることが大切だと、
アルベルト様はおっしゃっていました。
折りがやさしすぎるのかもしれません。」
右に曲がったもの、左に曲がったものは、
それぞれ、少し隙間があいていたし、
少し、めくれているところもあった。
まっすぐ進んだ二つと、アルベルト様のヒコウキが戻ってきた。
一番早く戻ってきたアルベルト様のヒコウキは
しっかり折り筋があって左右対称になっている。
次に早かったものは、遅かったものに比べて、
やはり、折り筋がしっかりしているように思う。
これで導きだせることは、
1:折り筋がしっかりしていること
2:左右対称であること
3:隙間やめくれがないこと だろうか。
あぁ、そうだ!アルベルト様はヒコウキができあがってから、
いろんな方向から見て、まっすぐになっているかを確認していた。
あれは、きっと歪みがないかを確認されていたに違いない!
ここからは、皆で何度も折って、折って、折りまくった。
まっすぐ進まないものはなくなったが、
それでも速さには違いがあった。
これが、おもしろい!
最後まで水中を飛んでくるので、波しか見えない。
でも、自分のヒコウキの場所に波があると、
もしかして・・・と期待してドキドキする。
「これは、大会にしたら
おもしろいのではないでしょうか?」と誰かが言った。
そうだ!そうだ!と大いに盛り上がった。
・・・・
「あの・・・、ヒコウキは一つでしたっけ?」と
誰かが、小さくつぶやいた。
そうだ、もうひとつヒコウキが残っている。
すっかり忘れていた。
もう一つのヒコウキは、飛んでいる時間が長いと聞いている。
水の中だとどうなるのか、たらいの水には浮いたと聞いているが。
そっと、水の上にのせて押してみる。
スーっとまっすぐに進む。
さすが、アルベルト様のヒコウキだ。
先ほどのヒコウキと比べると早くはないが、水面を安定して進んでいく。
人が舟を漕ぐよりは早いかもしれない。
向こう岸から戻ってきても、ヒコウキの上の部分は濡れていなかった。
「これ、物を載せられるんじゃないですか?」という一言で、
その辺の小石を載せてみることにした。
小さなものから徐々に大きくしていった。
沈まないギリギリの小石を載せて発進。
速度は変わらず、スーと滑るように進んでいく。
「板を載せたら、もっと荷物が載せられますかね?」
「ヒコウキを増やしてみるのはどうだ?」
「では、さっそくヒコウキを増やしてみましょう。」
戻ってくるのを待つ間に、ヒコウキが6つ出来上がった。
ちょうどいい板も見つけてきて
板の四つ角、前と後ろの真ん中にヒコウキをくっつけた。
水に浮かべて、押してみる。
進んだ!!!!
・・・が、左側の角が沈んだ。
「誰だ!」
「すみません、私です。折り筋がよくなかったかもしれません。」
「もう一度だ!」
何度か繰り返して、板にものを載せて往復もできた。
載せられる重さは、ヒコウキの数が増えると増えた。
控えていた文官が、
「これは、荷運びによいのではないでしょうか。
人は、押すだけですし。
右左への向きは、折り筋を工夫すれば曲がりますし。」
まだまだ、実験は必要だが、確かに荷運びに使えそうだ。
「あの・・・、人は乗れないのでしょうか?
私、乗ってみたくて。」と魔術師の一人が言った。
!!!!!!!!!
全員が、ヒコウキを作り始めたのは言うまでもない。
アルベルト様に次の会議で報告しなくては!




