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異世界折り紙物語  作者: Chieko


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第三十六話 チョコだけがいない国

五か国会談では、静かに話が進んだ。


北以外の隣国からは、陛下への礼の言葉があった。

北の隣国からは、礼と共に、勝手に魔術を発動したことへの苦言もあった。


そこは、苦言には、アルベルトが、

意図したことではなかったが、

自身の魔力制御が足りず申し訳なかったと謝罪した。


その後、このユリについての質問が多くやり取りされた

そもそも、誰が折ったのか・・・

本当は聖女がいるのではとうかがうような質問だ


ここは、陛下と決めた設定で説明をした


「最初の奇跡が起きた翌々日に現地に入った際、

 こちらのアルベルト殿と友人の女の子が、

 使用済みの術式紙で遊んでいたことが、

 アルベルトの祖母への聴取で確認できました。


 この友人の女の子は、魔力がほとんどない子どもです。

 一緒に遊んでいた流れで、ユリができたようです。

 この経緯については、子どもの説明なので明確になっておりません。


 その後、聖女ではと私も考え、

 彼女を中心に再現実験を行いましたが、安定した再現には至りませんでした。

 一方、アルベルト殿が関与した実験では、

 複数回にわたり明確な発動が確認されております。


 その後、様々な実験を重ねた結果、

 アルベルト殿の魔力がなくても、

 国民の魔力で発動する可能性がみつかり、

 ある村で検証したところ、

 皆さまの国にお伝えした、使用済み術式紙の扱いが確定いたしました。


 なお、新品の術式紙を使った実験をアルベルト殿が行ったのですが、

 想定以上の出力になってしまったこと、

 また、魔術が必要な土地に向かうことが予測できなかったことが、

 今回の事象の発生原因と確認できております。」


チョコ様については、一切合切伏せる方向になっている。

実際、今回は、アルベルトの魔力によるものだから、

大きく虚偽の事実を伝えているわけではない。


「ユリ以外にも、術式紙を使ったこのような魔術は、あるのですか?」

「もし、ほかのオリガミが開発された場合、貴国から情報提供いただけるのでしょうか?」


これは、陛下が懸念されていたところだ。

情報を隠せば、恐れを生むだろうと。


魔術は私たちの生活の中に浸透しているが、

このような広域のものは、魔術師数人でなければ扱えないものだ。

それが、そこここの村人で発動できてしまうのだから、

攻撃に使われたら、なにもできないうちに結果が出てしまう。


しかしながら、この100年、ほとんど戦争は起きていない。

今回の飢饉は、かなり切迫した事態になっていたが、

チョコ様のおかげで、平和に解決できた。


なので、陛下の決断は、

出せるものは、出してしまおう・・・だ。


因果関係不明で表に出せないもの

表に出すとチョコ様が特定されるもの

表に出すと面倒なことになりそうなもの

こういったもの以外は、情報提供することにした。


「はい、こちらで確認がとれたものから、

 順に、お伝えできればと考えておりますが、

 なにしろ、紙をどう折るかをまとめるだけでも、

 かなりの作業となってしまうため、お時間をいただくことになります。

 ご理解ください。」


「アルベルト様、どのように、形を考え出されているのですか?」


・・・・


「とくに、これをと考えているわけではないのです。

 紙で遊んでいるうちに、形ができてくるので、

 意味のない形も多くできてしまいます。」


すばらしい、アルベルト!

想定問答練習を頑張ってもらった甲斐があった。


「それでは、今後、定期的に魔術勉強会をこの五か国で行いませんか?」

「1回ずつ、各国の持ち回りはいかがですか?」

「持ち回りはいいですな!そうしましょう。」


「皆様、魔術会議については、私共も考えておりました。

 しかしながら、我が国での開催とさせていただきたく存じます。

 アルベルト殿も、まだ幼く、祖母殿を置いて他国へという訳にはまいりません。」


「そ・・そうか、それならしかたなかろう」

「ま、しかたないな、祖母殿まで来ていただくには遠すぎるか。」


「ご賛同いただき、ありがとうございます。

 では、初回の魔術会議は、二か月後でいかがでしょうか。

 そのころには、資料も整えられるかと。」


「おぉ~、いいですな、では二か月後に!」


・・・・


「皆様には、飢饉を乗り越えた記念と

 友好の印としてこちらを」と陛下が手をあげた。


各国にひとつずつ、ユリが咲く小さな額が手渡された。

チョコ様に作っていただいたものだ。


使者達も、お互いの作品を見せ合っている。


「これもアルベルト様が?」


「いえ、これは、幼い姫様が作ったものです。

 こういった芸術に才のある方なのです。」


「なるほど・・・魔術の面だけに注目していましたが

 こういった芸術としてのオリガミもいいものですな。」


「それぞれが少しずつ違っていて

 全部並べて飾りたいほどです!」


「気に入っていただけたら、なによりだ」と陛下。


いい感じに、チョコ様の存在が消えたのではないだろうか。


◇


セドったら、急に4つの額にユリ作ってって

めずらしいこともあるなぁ~


正方形の額だったから。

ひとつは左下から放射状に

ひとつは、中心から円を描くように

ひとつは大きなゆり一輪に、小さなゆりをたくさん配置

そして、最後のひとつは右上からユリが下向きに咲くように


ちょっとずつ色も変えて

うん、いい感じ!


最近、同じのたくさんつくる時は

サナとリリが手伝ってくれるんだよね


みんなで作れるから、しあわせ!


たのしかったから

わたしの勝ち!





「後世の魔術史」

《芸術オリガミの始まり》

王家の庇護下にあった身体の弱い貴族の姫君がオリガミを用いた数々の芸術作品を残したとされている。人前に姿を見せることはほぼなく、『異国の空』『ユリの奇跡』などが代表作として、王家が保管している。

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