第四話 新しい紙は、折りやすい
次の日。
朝ご飯を食べ終わって。
おばあちゃんと一緒に豆をむいていたら。
村の向こうから馬車が来るのが見えた。
昨日の馬車。
…………
来た~
豆をむく手を止めて
そっと椅子から降り、家へ入る。
寝室→ベッド→布団
よし!私はいません!
わかってる~
対応すべき案件なのはわかってるのよ~
昨日の百合→畑→豊作!!!
たぶん、その話。
わかってるけど、知ってる?
これ、果てしなくめんどくさい流れの最初の1コマ
・・・めんどくさい
自慢じゃないけど
元々、人見知りの引きこもり体質の私
子どもと動物以外は、苦手以外の何ものでもない!
元の世界では、めいっぱい背伸びして頑張ってたけど
ここではしないことに決めたんだから!
・・・こどもだし
できれば、おばあちゃんに全部任せたい
「チョコ!」
あ、アルが怒ってる。
布団の奥へ潜る
私はいない
・・・消えました
「チョコ!」
・・・いません
「いるだろ!」
・・・いません
「布団動いてるぞ!」
・・・だよね
結局、アルにベッドから引っ張り出された
あぁ~、私の負け(涙)
◇
外へ出る。
…………?
あれ?人、増えてる?
昨日の人たちに加えて、知らない人が何人もいる。
あぁ~、無理
しかも、ヤな感じばっかり
ここは、こども特権発動!
おばあちゃんとアルの後ろに避難
よし!
大人たちがおばあちゃんと話し始めた。
ふふっ、私の勝ち!
◇
「昨日の件について――」
「再現性を――」
「領主様より――」
うん、おまかせっと!
ぼんやり馬車を見る。
箱、袋、木箱…
・・・・・・
ん?
あれ? あれ?! あれ~!!!!!
紙!
馬車の荷台の大きな箱に
新品の紙がいっぱい!
折ってって言ってたよね
・・・ってことは、折っていいんだよね!
そぉ~っと、アル達から離れて馬車に
紙に吸い寄せられたw
一枚触る
いい紙!!!!
しかも、きれいな模様が色々!
振り返ると、みんな、まだ真剣に話してる。
私のことには、気が付いてない… うふっw
…………。
折ってもいいよね。
折ってって言ってたし!
一枚、そっと抜いてくすねる
ふふっ・・・
なに折ろうかなぁ~
「チョコ! やめろ!」
!!!!! ……見つかった _| ̄|○
大人たちの視線が、一気に私へ集まった
手には綺麗な紙
そして、満面の笑みの私
「何をしている!」
偉そうな人が飛んできた。
「触るな! 折るな! なんにもするな!
お前などが、触れていい品ではないぞ!」
・・・・・
怖い!
固まった。
怒鳴り声は、無理!
反射的に、身体も頭も固まって、動けなくなる
こっちの私にも、引き継がれてるみたい…
固まった私の手から紙が抜き取られた。
「これは遊びに使う紙ではない!
まったく… 〇✕◇…◇◇xxxxx」
なんか、めっちゃ怒ってる
術式紙? 高価? 弁償????
怖ッ!
・・・・
おばあちゃんの後ろに逃げ込んだ
折ってって、頼みに来たくせに
……ケチ。
1枚くらい折ってもいいじゃん。
◇
「そんな怒鳴んなよ」
アルが私の前に出た。
「チョコ、なんにもしてないだろ」
偉そうな人が眉をひそめる。
魔術師が冷静に落ち着いた声で話す
「まだ、何が起きるか分からないのだ。起きてからでは困る」
「だからって――」
「昨日、村ひとつの作物が一晩で育ったのだぞ」
「…………」
アルが黙った…
・・・アルの負け
おばあちゃんの後ろから、大人達を眺めた
なんなの?
私、爆弾扱い?
紙、触んなきゃ、折れないよ!
意味わかんない~
ん~~。
ここは、子どもパワーで泣く!
こどもだもん! 使えるものは使う
えっと、悲しいこと・・・
紙取られた
怒鳴られた
折りたかった
……ぅ… うぅ
あ~
なんか普通に悲しくなってきた
やっぱ、泣き虫だ(汗)
「えっ」アルが振り返る。
うっ……ぅ… うぅ…
うわぁ~ん!
あれ?
こんなに泣く予定じゃなかったけど
まっ、いっか
泣けるって、こんなに楽になるんだ!
大人たちが固まる。
「いや、私は別に、泣かせるつもりでは……」
知らない・・・ 泣いてやる!
「……かみ……」
「紙?」
「折りたかった……」
「そこ!?」 アルの声がひっくり返った。
おばあちゃんが、私の頭を撫でた。
「まあまあ。そんな大きな声を出したら怖いでしょう。
この子はまだ小さいんですから」
「しかし――」
「だったら、最初から子どもの手が届くところに置いちゃいけませんよ」
「…………」
偉そうな人が黙った。
おばあちゃん、強い!
「それに」 おばあちゃんが続ける。
「この子に、紙を折ってもらいに来たんじゃないんですか?」
「はい」魔術師が応えた
「それなのに、紙を触って、怒鳴られたんじゃ、
この子だって分からないでしょう」
そう!
私はこくこく頷いた。
アルが見る。
「お前、急に元気になったな」
・・・・・・・・
まだ泣いてる
―――――― セーフ ――――――
少し離れたところで
魔術師がメモを取っていた手を止めて
頭を抱えていたのは、見てないことにする
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