第三十四話 ユリの厄難
またね、別邸のそばに住む子たちが増えたんだ!
みんな研究棟に行く子たちで、あんまり会わないんだけどね。
トト、最近テンプレートもってるの!
基本形のできあがりとか、よくある形とか
自分で作ったんだって!
わたしも欲しいなぁ~って、お願いしてるんだ
それに、トトは、最近よく、お部屋に遊びに来てくれるの
本を見せてあげると、めちゃくちゃ喜んでくれて
一緒に折り図を見ながら、折ってくれる
結構、難しめのものまで挑戦するんだよね~
江戸時代から伝わる古典折り紙かやらぐさに出てくる
カニとかカタツムリ、タコなんかは習得済みw
連羽鶴も好きなんだよね!
だから、時々、本を読んであげるの
そうすると、メモを取りながら集中して聞いてくれるんだ
トトも、前書き・あとがき好きなタイプなのかも!
なんかうれしいから
わたしの勝ち!
◇
「トトは? あっ、チョコのところか
ここの実験結果、見てほしかったのに」
「アル、こちらでまとめて、
あとで確認するようにします」
「そう? ありがと!」
「それより、今日のユリ実験ですが
ここで実施でいいですかね?」
「ん~、いいんじゃね?
もう、この国に痩せた土地はないから
そんなに変わんないだろうし」
「そうですね!
じゃあ、今日は、新しい術式紙で
アルが魔力込めるパターンでいきましょう」
「だな、じゃ昼ごはん終わったらで」
・・・・
いままで使用済みの術式紙を使っていたユリ、
新しい術式紙でユリを折って、
魔力を通したらどうなるのかっていう、
実験をすることになったんだ。
今まで、紙飛行機とかユニットとかでバタバタだったから、
やっと、最初の確認作業に戻ってきたって感じ。
いまさら・・・だけど、一応やっとこか、みたいなw
で、やってみた
術式紙でユリを折って、魔力を流す
えっ・・・
俺が引っ張られるくらい魔力が持ってかれるって
大丈夫か、この実験・・・
・・・
気を失ったらしい
◇
アルが倒れたと、研究棟から呼び出された
ユリの実験中のこととか
いぞぎ、研究棟に行ったら
ちょうど、アルが目を覚ました
「大丈夫ですか?」
「うん、初めて魔力がなくなるって思った」
・・・・・・・・
「確認します」
すぐに、研究棟を飛び出した。
別邸付近は、特段変化はなかった。
王宮に連絡し、確認してもらったが、
国内には特段の変化がなかったようだ。
強いて言えば、育成のよくなかった地域の緑が濃くなったとか。
多くの報告は1週間くらいで集まった。
問題は・・・
国の北側の隣国だ。
西・南・東に位置する隣国には、
陛下がユリの奇跡を伝え、
この三か国では、飢饉の問題が解決している。
ただ、ほとんど交流のなかった北側の隣国には伝えていなかった。
今回、多くの人が、別邸辺りから、
光が北に向かって走ったのを見ていた。
北の辺境伯に連絡を取ると、
国境の向こうの畑が急激に実り、
豊作になっている様子が観測されていた。
・・・
アルベルト、国一つ豊作にさせた可能性がある。
辺境伯からは、隣国の王子が感謝の意を示すために、
我が国を訪問したいという申し出があったとの連絡もあった。
その際には、聖女様にお目にかかりたいと・・・
かの三か国からの申し出は、やり方を伝えただけだと、
陛下が止めてくださったが、
今回は、そういう訳にもいかないだろうし、
これを機に、すべての国が訪問を希望するに違いない。
だが、しかし・・・
今回の件は、
「聖女」・・・ではないな、
アルのしでかしだ。
そして、
チョコ様は、あいさつ・・・絶対拒否であろうな。
・・・・
セドが妙にチョコを理解してるから
なんにも知らないけど
チョコの勝ち!
◇
「陛下と相談した結果、
アル、いや・・・アルベルト殿
あなたに、5か国会談に出席してもらうことになった」
「はぁ~~~~~~~
なんで、俺?」
「まず、チョコ様は、そういう場に出たがらない。
そして、国はチョコ様の存在を秘匿したい。
存在自体が、戦争の火種になる可能性すらあります。
最後に、今回の件、アルベルト、あなたのやらかしです。」
「・・・・・」
「アルベルト、設定はこうです。
飢饉の最中、たまたま紙を折っていてできた花に、
大量の魔力が注がれ、
魔力が植物を成長させるという方向に暴走した…ということにします。
今回の件は、再現実験中に発現したとします。
会談は、隣国4国がすべて集う、五か国会談になります。」
「・・・・・へっ」
「幼いながらに、大魔術を繰り出した魔術師見習いとして出席いただきます」
「はぁ~~~~~~~~~~!」
「拒否権は、ありません。」
「それから、会見までの一か月間は、
実験は休んでいただき、所作やマナー、言葉遣いを学んでいただきます。」
・・・・・・・・ 「ムリ」
「無理でも、やっていただくしかありません。」
研究棟の魔術師たち、トト、ロン、リリが
同情のまなざしでアルを見ていたが、致し方ない。




