第三十一話 折り紙が歌い出す
ヤッコ!
「ヤッコ、ごめん!」
下敷きにしちゃった
大丈夫?
ヤッコは、キングファイルの下から這い出して
ペコリ!
大丈夫だったみたい、ホッ・・・
・・・・
それよりも、これ
私のファイル!
ほおずりしちゃう
実物!!!
中も、ちゃんと私のファイル!
一気に、肩から力が抜けた
もうね、ここがどこでも構わない
もう、大丈夫
私の本がある!
本があるから
私の勝ち!
◇
「チョコ様、お夕飯でございます」と部屋に入ると、
ベッドの上に、大きな書物を前に、
紙に埋もれるチョコ様がいた。
書物?
・・・・・?
チョコ様には、書物を渡していない。
文字が読めるかもわからなかったからだ。
なぜ、書物をお持ちなのだ?
しかも、とても元気そうだ、
いや、それはよいことなのだが、
「チョコ様、その書物は?」
「わかんない」
・・・・・・・・・・・・・
ヤッコ殿が、ペコリ。
いや、そうじゃなく、
だれか、説明を!
◇
これ、セドにどう説明する?
いや、わかんないで通そう!
実際、わかんないしね。
でも、セドが顔面蒼白になってるから
もう一度、ネックレスをギュッとしてみた
本の部屋に入って、ファイルを戻して
伝承折り紙が載ってる
昭和の幼児用の折り紙の本を持った
グルんっと部屋に戻る・・・酔いそう
ヤッコがペコリ
セドが失神
ドンマイ!
◇
チョコ様が、ネックレスを握るとふわっと光り、
チョコ様が消えた。
ヤッコ殿がペコリ
叫びそうになったが、
ヤッコ殿が大丈夫と言っているようだったので飲み込んだ。
しばらくして、なにもないところから、
チョコ様が書物を持って戻られた。
気を失ってしまった。
しばらくして目を覚ましてから
「これはいったい・・・」とつぶやいたら、
「わかんない!」と楽しそうなチョコ様。
聖女の奇跡と受け入れるしかないのだろうか・・・
チョコ様が元気になったのだから…よかったと思うべきか。
これを、いったいどのように陛下に報告すればいいのだ?
・・・
まずは、書物を見せていただこう。
先ほどとは違う書物だ。
「チョコ様、その書物を見せていただいてもよろしいですか?」
コクン
その書物は、オリガミについて記されたものであった。
あれほど苦労したオリガミの記録が、素晴らしく整った形で記載されている
「オリガミの書物ですか?」
「伝承の折り紙の本」
「デンショウノオリガミノホンですか・・・」
デンショウとはなんだ?
図以外の文字は、見知らぬ文字で読むことができない。
説明が書いてあるのだと思われるが・・・
チョコ様は読むことができるのだろうか。
これを書き写させていただけないだろうか、
そうすれば、オリガミの記録がとても進むに違いない。
「チョコ様、こちらの書物、貸していただけないでしょうか?」
「絶対ダメ!」
私から書物を奪い取り、抱きしめて離さないチョコ様。
やはり、とても貴重な書物であり、聖女の奇跡だからお貸しいただけないのか。
「失礼しました。書物は結構です。
けれど、お夕飯は召し上がってください。」
・・・・
そのあと、セドは食事をもう一度持ってきた
さっきのは、落っことしちゃったからねw
ちゃんとおいしくご飯をいただきました!
お風呂も入って、あとは寝るだけ
もう、これは本を満喫するしかないでしょう!!!
ヤッコ、行ってくるね!
ネックレスを握って、本の部屋に入る
ん~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
やっぱりちゃんとある!
しあわせ~~~~
セドがいる時にも、ここに来たけど
キングファイルも一緒に戻ってきちゃった
手に持ったものは一緒に出れるけど
それ以外はダメなのかも
一冊ずつでも、持って出られるのはうれしい!
それに、この部屋にいれば、何冊でも読めるし
うれしいなぁ~~~~
本が読める!
折り方はもちろんだけど
前書きとか、あとがき、
本文の途中のちょっとした作者の思いなんかを読むのも大好き!
【一枚の四角い紙は、何かを歌いだそうとしています。
それが、あなたの手から、
いろいろな形として歌い出すのが、折り紙遊びです。】
『折り紙―古典から新作まで』という本の中で、
内山興正先生が書かれたこの言葉は、
折り紙を美しく表現されていて、本当に、大好き!
改めて、本を手に取って読んだら
涙があふれて止まらなくなった
異世界という訳のわからない世界に来ても
こうやって、本と共にあれるなら大丈夫!
生きていける
※本文中の【】内の折り紙に関する文章は、内山興正著『カッパ版 折り紙―古典から新作まで』(光文社・昭和51年8月15日刊行)より引用しています。




