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異世界折り紙物語  作者: Chieko
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2/11

第二話 ゆりは、育てる?



…………


うるさい。


外が、なんか、うるさい。


「チョコ! 起きろ!」


アル?


「……眠い」


「外すごいぞ!」


…………寝る。


「ばあちゃん! ダメだ、こいつ起きない!」


聞こえてる

でも、眠い。


おばあちゃんの声。


「じゃあアル。ちょっと外を見てきておくれ。

 この家の周りだけなのか、村中なのか」


「分かった!」



扉が閉まる。

静かになった。


よし!寝よう。



「なんだよ……これ」


アルは、道の真ん中で立ち止まった。


昨日まで、村の畑は……枯れてた。


畑の麦は細く、倒れてた。

野菜は小さく、乾いてた。

果樹の葉も、茶色くなって落ちてた。


それが。


全部。

育っている。


麦は穂を垂らし。

野菜は大きく。

木には、果実が鈴なりだ!


村人たちが走り回っている。


「収穫しろ!」


「急げ!」


「こんなことあるのか!」


「夜中、あの家が白く光ってたぞ!」


あの家・・・

ばあちゃん家?


アルは振り返った。


チョコ・・・ あいつか?


なにしたんだ?



「ばあちゃん!」アルが戻ってきた。


「家だけじゃなかった!」


「そうかい」


おばあちゃんは鍋をかき混ぜている。


「村中だ! 畑も木も全部!」


「じゃあ、これで村中困らないね。よかったよ」


「よかったって……」


「アル。そこの野菜を洗っておくれ」


「ばあちゃん!そうじゃなくて…」


「朝ごはんは、ごちそうだよ」


その言葉だけは、布団の中にも届いた。


「…………ご飯?」


私は、もぞもぞと起きだした。



昨日の夜ごはんより豪華な朝ごはん


???


緑のサラダに、果物。


お芋も煮てある。


パンが焼きたてだ!!!


「食べていいの?」


「もちろんだよ」


いただきます。


ん~、やっぱりおいしい!

ふかふか~

新鮮な食材って、それだけでおいしい!


しあわせ!


「チョコ」


向かいに座っているアルが、じっと見ながら言う


「お前、なにしたんだ?」



?????



なにって?


昨日、異世界転生して、アルに会って

紙飛行機折って、遊んで、転んだ

おばあちゃんのご飯食べて、

ゆりをプレゼントして

寝た…


なんだろう、特別なことはしてないけど

強いて言うなら


「折り紙?」


「それだよ!」


アルが暖炉の上のゆりを指さした。



「夜、家が光ってて

 朝になったら、村中の畑が実ってるんだ!」


…………


ゆりを見る。


外を見る。


昨日の綺麗な模様を思い出した


もしかして、この世界って魔法ある?


「……異世界、怖っ」


「なんて言った?」


………


口を押えた

秘密だ、言わない!


私は、おばあちゃんに、ゆりを折っただけだもん。



村では、原因究明より。収穫が優先だった。

当たり前だ、せっかく育ったものを放っておく理由はない。


大人も子供もみんな忙しく働いてる。


このお芋のかごくらい運べるよね

なんにもしないのも心苦しいし


持ち上げる。


……重い。


一歩、、、


進む前に転んだ。



おばあちゃんが笑った。

「チョコには、こっちをお願いしようかね」


豆を座ってむく。


これならできる! っていうか、得意!


ぱき。


むく。


ぱき。


むく。


こういう単純作業は好き。

ずっとやっていられる。

時間が解けるやつw



少し離れたところではアルも働いていた。


大人に言われて籠を運んでいる。

でも、なんとなく、ほかの子とは違う。

仕事は頼まれる。

でも、頭を撫でられたり、褒められたり、一緒に笑ったり、

そういうのがない。


目の端で、追っかけて見てたけど

アルは、あんまり気にしてないみたい


…ならいっか


それより、豆!


ぱき。


むく。



お昼ごはんが終わって、

こどもの特権「お昼寝」しようと思ったら


村の偉い大人たちが訪ねてきた

アルに聞いて、ゆりを見にきたらしい。


「チョコというのか」


コクン


「これは魔法なのか?」


ブルブル、首をふる


「では何なんだ?」


「折り紙」


「なぜ紙を折ると作物が育つ?」


「わからない」


…それは、私が知りたい…

そもそも、ゆりのせいじゃないかもだし

なんか、決めつけすぎな気もする…

変わったことが、これだけだって知ってはいるけど

でもねぇ~


「誰に教わった?」


…………


誰?


伝承の百合。ゆりは、作者不明

知ってても、この世界の人じゃないことは間違いない


「なぜ折れる?」


………


なぜ?

どうやってなら答えやすいんだけど

なぜかぁ~

それは、やっぱり…


「いっぱい折ったから」


部屋を静寂が包む


・・・


欲しい答えがひとつも返ってこないからって

そんなに黙り込まなくてもよくない?

嘘はついてないし

転生なんて話、してもしかたないでしょ…


それに、ゆりのせいじゃないかも

・・・しつこいか(汗)



だれでも、いっぱい折れば、折れるようになる

それが折り紙なんだけど、

それと、魔法が、どうつながってるのかなんて

私が知ってるわけない!


ひっそり、一番驚いてるんだから!




村長の家では、村の男たちが集まっていた。


「領主様に知らせないわけにはいかん。

 明日の朝、使いを出そう」


私の知らないところで、色々決まった夜だった。

うすうす、気がついてはいた。

このパターンは、領主的な人が登場するって。


でも、いまは、眠いから気が付かないふりをしよう。

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