閑話 領主邸にて ~聖女ではなかった~
豊穣の奇跡が起きてから数日、
領主邸は、上から下への大騒動だ。
日々届く、魔術師セドリックからの報告の意味が不明過ぎるのだ。
朝から、晩まで領主と魔術師が議論を重ねている。
そもそも、なぜ使用済み術式紙を使用したのだ。
なぜ、「ゆり」なる花なのだ。
・・・
それらは、セドリックの聴取により明らかになるが、
明らかになったと思えば、
その前提が覆る。
3日目以降は、王都からも魔術師が到来し、議論に加わった。
・・・
そして、ついに
「誰でもよいと!!!!!!!!!!!!!!」
領主邸に多くの叫び声が上がった。
◇
緊急会議が開かれた。
魔術師たちによる、「ゆり」発動実験。
領主邸近隣の村で行われたそれは、
セドリックが送った詳細な実施方法と折り方を元に実施された。
・・・光った
・・・実った
これは、一気に飢饉の対策が広げられると、
領主邸は浮足立った。
領主邸だけではない、
魔術で報告を受けた王都でも会議が開かれた。
国全体にも一気に対策が広められる。
また、同じ飢饉があったとしても、
国民自身が使用済みの術式紙で対応できるのだ!
国民が国民の生命を守ることができる術式。
一人が行う奇跡の術よりも、
何万倍もの価値がそこにはある。
しかしながら、わからないことが多いのも事実。
一介の領主が対応できる案件ではすでにない。
◇
セドリックともやり取りをしながら、
今後の方針が決まった。
チョコ様は、最初の村 ボスカに一度戻す。
2~3日の休暇の後、王都へ移動いただく。
王都では、山沿いにある、都から離れた別邸にて、
ご滞在いただくことになった。
別邸は、魔術師により、爆発などへの対策が施される。
また、魔術師の実験場も近くに設置。
過去に、チョコ様がお示しになった様々なオリガミを術式紙で折る予定だ。
効果不明なため、厳重な保護対応を必要とすることになった。
同行者は、セドリック。
ここは、議論のある所だった。
小さな領地のお抱え魔術師に過ぎないセドリックだ。
王都への同行者として適しているのかと。
「セドリック以外ではならぬのか」と王都の魔術師。
「これまでの報告書をすべて読まれた上で、
そうお考えになりますか」と領主。
・・・
他の者では、マイナスからの出発になりかねないと全員一致の決定だ。
そして、アルベルトとヤッコ殿。
アルベルトの祖母殿については、チョコ様の意見を伺ってから決めることになった。
一緒に来ていただいた方が、チョコ様の精神安定にはよいという見解が多いが…
移動は、大掛かりにはなってしまうが、魔術を使用。
祖母殿とチョコ様の体力を鑑みての決定だ。
これからなにが起きるのか・・・
予測できるものが一人もいないこの状況で、
なんとか、ここまでの方針が決まったのだった。
なんにもしらないけど
チョコの勝ち!




