第十一話 ゆりは、不調?
「……見えてきたぞ!」
外を覗いていたアルが叫んだ
ヤッコとわたしも
御者さんの横から、馬車の外を見る
遠くに、家が見えた
古い、手入れがされていない家
そして、やっぱり枯れている畑
人も見えてきた
アルの村より、みんなガリガリだ
状況は、こっちの方がよくないってことかな…
プレッシャー & 人見知りで
布の中に逃げ込んだ
ヤッコが布の前に立ちふさがってるのが見えた
えらい!!!
さすが、ヤッコ!
「チョコ様」
「チョコ・・・」
聞こえない。
「到着しますよ。
すぐには降りなくて大丈夫です。
護衛が先に確認いたします。」
ん?
ちょこっと布から顔をだしてみた
「ちゃんと時間はありますから
心の準備をしていてください
普通の紙なら、折っていてかまいません」
ひゃっほ~!
折り紙許可でた!!!
私の勝ち!
そのあと、護衛さんが一人残って
御者さんと、護衛さんと、ヤッコと私でお留守番
セドとアルは、他の護衛さんと一緒に村の話を聞きに行った
・・・・
そんなことは、おまかせ~
なに折ろうかな?
ヤッコも楽しそうに見てる
ん~
最近は、アルが折れるものを折っていたから
ちょっとめんどうなの折ろうかな…
妹背山とか?
餌拾いに、呉竹・・・風車、
このあたりにしよう!
江戸時代から伝わる桑名の連羽鶴
子どもの時に本で見て、すぐにとりつかれたんだよね!
まずは、妹背山
ちょっと怖い、ラブラブ鶴
それぞれの片羽がくっついていて離れられない二羽
しあわせな時はいいかもだけどね~
正方形を半分に切って
半分に折ったら、真ん中の筋を真ん中まで切る
そして、二つの繋がった正方形で鶴を折る・・・っと
子供の頃は、羽と頭が繋がったり
頭と頭が繋がって折り直しをしたりしたなぁ~
頭と頭は、切込みをながくすると
キスしてるみたいに見えるんだよね
うん!やっぱりかわいい!
餌拾いは、親子の鶴
大きい正方形と小さい正方形を角で合わせて折る
お母さんが子どもに餌をあげてるように見えるんだよね
安定のかわいさ!
あったかい気持ちになる
「チョコ様、確認が終わりました」
・・・時間切れ
ヤッコが、私の前に立ってる
きっと、守ってくれているんだろうなぁ~
ヤッコ、やさしい!
立ち上がって、服を整える
しかたない、することしないと
紙、もらえないもんね!
ヤッコに、大丈夫って伝えたら、
よじ登ってきて、胸ポケットに入っていった
どうやら、ここがヤッコの防衛ポジションらしいw
セドは、馬車の端で待っていてくれる
移動してるときに、一回落ちてるからね・・・
わかるよ、ケガして折れないと困るよね
セドの近くまでいって、両手を差し出す
・・・羞恥心で凹む
抱っこなのよ!!!
抱っこしてもらわないと降りられない
しかたないのはわかっているが
はぁ~~~~~~~
私の負け・・・
◇
村の人は、みんな頭を下げている
長いご挨拶だなって思っていたけど・・・
セドがしびれを切らして
「面をあげよ」と言った
ん?私の仕事だった???
すごくすごく小さな声で
「聖女様、ちっちゃい・・・」って聞こえてきた
なんか、女の子がお母さんに頭コツンってされてる
なんか、台に乗せられてるから見えちゃうんだよね~
で、そのまま畑に連行された
用意された椅子に座って、机でゆりを折る
セドが畑の真ん中に置く
ゆりが光る
・・・
・・・
・・・
ん?どうした?
ゆりの周りだけは、豊作になったけど
畑全体は、ぜんぜん変化がない
セド、アル、そして村人達の視線が痛い!
え~~~~~~~~~~~~
私じゃないって!!!
冤罪!!!!!!!!!!!
ブルブルと首を激しく振った
「チョコ様は、移動でお疲れです。
まずは、部屋で休んでいただきましょう。」とセド。
みんな、ほっとしたようにはけていった
村長?が残って、今日泊まる家に案内してくれた
・・・
知ってる、セドの頭の中がフル回転していること
アルもなんか考えてる
やっぱり、他の村でも飢饉から救ってあげたいのかな
やさしいなぁ~、アルは
私は・・・
無関係な人のことまで心配するほど余裕ないんだよね
やさしくないな・・・
◇
きれいに掃除された家に案内された
さっき、コツンてしてたお母さんがお茶を出してくれた
小さな女の子が、お母さんの後ろからこっそりのぞいてる
この辺の仕切りは、ぜんぶセドまかせ
美味しくお茶をいただいて
ポケットに入れて持ってきた紙を出す
・・・小さな女の子か・・・
ハートってわかるかな?
かわいいから、いいよね!
三角に折って、もう一度、三角
ひとつもどして、
頂点を底辺まで折って
左右の角を上まで折って
裏返したら、左右の角を下に折る
指で開いて、ひろげて四角にたたんだら
ちょっと角をなくして、完成!
じっと見てたぁ~w
ちょいちょいって、手招きして
ちょこちょこ寄ってきた女の子にハートを渡した
めちゃ、よろこんでる~~~~
よかった!
「一緒に折ろうか?」って声を掛けたら
「俺も折る!」とアルwwww
しっかり、折り紙にはまってるね!
私の勝ち!
◇
三人で、ハートを折った
お家も折ったし、動かない奴さんも折った
兜も折って、頭に乗せてた ――― 小さすぎw ―――
もちろん、セドは全部、メモしていたし
折ったものひとつずつ回収していった
お仕事?研究? ・・・熱心ですね(遠い目)
そうこうしているうちに、お夕飯に
固いパンに、お芋のスープを出してくれた
おばあちゃんが作ってくれたのと同じ
この辺の一般的なご飯なのかな・・・
小さな女の子は、ルルらしい。
ルルとお母さんは、部屋の隅で控えてる
なんか、偉い人になったような
背筋がぞわぞわして嫌な気分
「イヤ」 っと声が出ちゃった
セドとアルが、私の視線の先に気が付く
アルが
「一緒に食べたいのか?」と聞く
コクン
さすが、アル!!!
すばらしい
ちょっとすったもんだあったけど
みんなでご飯を食べることになった
ルル、この時、初めてヤッコに気が付いたみたい
今まで、ほとんど動かなかったからねw
出てきたヤッコが、ルルにペコ
ルルもヤッコにペコ
これで二人も仲良し!
ヤッコは、アルが作ってくれてあった
二枚組をおなかに乗せて寝てる
エネルギー補給中らしい
でも、セドはケチだよね
ヤッコが2枚組で、一日過ごせそうだってわかったら
もう、2枚組しかくれないんだから
ヤッコ、あんなに12枚組よろこんでたのになぁ~
ケチ!セド!
ちょっと、睨んでたら、首をかしげるセド
・・・悩んでて!お仕置きw
◇
お腹もいっぱいになって、少し眠くなったころ
セドが、術式紙を出してきた
「これで、ゆりをお願いします」
ん~~~~
あれか、再現実験か
最初に折ったのと同じ状況を作ると
さすが、研究者だね~~~~
いいですよ、何枚でも~
ということで、
ヤッコと、アルとルル、セドとルルママに見守られながら
ゆりを折った
ルルの村かぁ
ルルがお腹いっぱい食べられるようになるといいね
セドがゆりを暖炉の上に置く
????
ちょっと光った?
へぇ~、同じこと起きるんだ・・・と思ったところで
エネルギー切れ・・・寝落ちしました




