第十二話 ゆりは、再び咲く
…………
うるさい。
外が、なんか、うるさい。
「チョコ! 起きろ!」
アル?
「……眠い」
「外すごいぞ!」
…………寝る。
「セド! ダメだ、こいつ起きない!」
聞こえてる
でも、眠い。
セドの声。
「アル、村の確認にいきましょう。
チョコ様は、寝かしておいてかまいません」
◇
アルの村と同じことが起きていた
村中が大騒ぎだ
みんな、大喜び
ルルが嬉しそうだ
木からもいだばかりの
りんごみたいな果物にかぶりついてる
甘いものも久しぶりだよね
よかった、よかった
◇
準備を整えたら出発らしい
まだ、ルルと遊びたかったなぁ~
ルルがね、今朝咲いていた花の汁で
昨日、一緒に折ったハートを赤く染めて
ちょっと照れながら、プレゼントしてくれた
HU~~~~~~~~~
私のハート撃ち抜かれた~~~
かわいすぎ
他の子ども達も、色々もってるw
私が寝てる間に
ルルとアルが教えたみたい
いいねぇ~~~~~~~
広がってるね、折り紙の輪!!
うれしいなぁ~~~~~
折り紙、楽しいんだよ~って叫びたい
叫ばないけどwww
◇
お見送りしてくれた村の人たちは
みんな、笑顔だった
普段、しかめっ面の御者さんの口元が
ほんの少し上がったのを、私は見逃さなかった
◇
セドがメモを見直している
「食事、ゆり、睡眠・・・
次回は、この順序で実施すべきか・・・」
研究熱心だなぁ~~~~~
アルは、まだ手を振ってる
同年齢の子と、敷居なく遊んだの
もしかしたら、すごく久しぶりなのかも…
楽しかったなら、よかった!
・・・・ということで
連鶴の続きを折ろうっと!
呉竹、風車・・・どっちにしようかなぁ~
ヤッコもポケットから出てきて興味津々だ
それにしても、ヤッコってさ
自分の意思で動くよね? なんで???
まっ、かわいいから許す!
◇
「チョコ様!!!!!」
もっていた紙を捨てて、両手をあげる
セドが叫ぶ時は、これが一番
でも、なにもしてないよ~~~~
「失礼しました、チョコ様、これはなんですか?」と
連羽鶴をそっと持ち上げた
「れんばつる」
「レンバツル?
鳥が繋がっているのですね。
なぜ、繋がっているのですか
切込みが入っているのでしょうか?」
「いもせやま、折る?」
「レンバツルではないのですか?」
「これ、いもせやま
こっち、えひろい
二つとも、れんばつる」
わかんないよね~~~~~~
同じ、日本人でも知らない人が多い作品だもの
なんでつながってるのかなんて
魯縞庵義道先生に聞いてほしい
端的に答えるなら・・・
「きれいだから」
・・・ということで
もう一度、妹背山と餌拾いを折ることに
・・・・
折るのはいいの!
なん百枚って同じの折るのなんて日常茶飯事だったし
かなり好きな作業だから
でも、この観察されてる感・・・
疲れる~~~~
でも、気に入ったよね、セドwww
この精密な感じ好きだよね!
折ってみたいっていうかなぁ~
セドなら、丁寧で繊細に折るから、折れるんじゃないかな
まずは、折り鶴を教えて
その後、羽に折り筋のない鶴の折り方を教えて
切込み方法を教えて・・・っと
うんうん、いけるな!
でも、忙しいって、なかなか折ってくれないんだよなぁ~
◇
これ以上の「おりがみ」はないと思っていた私の落ち度だ
ゆり、かみひこうき、やっこ、ユニットなどなど
既に30種類以上の「おりがみ」をチョコ様は折っていた
もう手に負えないほどの種類なのだ
これを検証することを考えるだけで頭が痛くなる
だから、待っていていただくために、
それらを折っていいという意味で紙を渡した
安全なのも、確認済みだから問題ないと。
まさか、切込みと折りで高度な繋がった鳥をつくるとは・・・
普通紙だからよかったものの
これが術式紙だったら、
いったいどのようなことが起こるのか
恐ろしい・・・
・・・・
しかし、鳥が繋がっている・・・といっていたか
使うとしたら、風の術式紙がよいのだろうか
どのような効果があるのだろうか・・・
こんな、なにもないところでは検証すらできない!!
まずは、報告だ
毎日10枚以上の報告書を領主様に届けているのに
報告することがなくならない
・・・・
セドが、連羽鶴を二つ並べて考え込んでいる
なんか凹んでるんだよね~
理由はわかんないけど
まぁ、いいつけは
ちゃんと守ってたんだから
私の勝ち!
「後世の魔術史」
《第三・四次豊穣実験》
新たな村で白百合を再現するも、効果は局所的。これにより単純な「白百合=広域豊穣」という仮説が否定された。なお、同日・同一村・同一折り手・同系統術式紙・同一折形にもかかわらず、出力の劇的な変化が記録されている。変化の要因については、確定されていない。




