第25章:チョーローの炎
文法や構文に不備がございましたら、平にご容赦いただけますと幸いです。
「聞け、セリア! 俺たちはノイラの村の人間じゃない!」
風の切る音に負けないよう、俺は声を張り上げた。
「頼む、何があったのか説明してくれ!」
「お前たちの言うことなんて信じない!」
少女の姿をした異形は歪んだ声で叫んだ。
「どうせあの農民どものグルだろ! 私を殺そうとして……二十年前と同じように騙す気なんだろ! だが二度と騙されはしないぞ!」
「小僧、気をつけろ!」
チョーローが警戒の声を上げた。
セリアの手の指の枝が人外の速度で伸び、空気を切り裂いた。俺は間一髪で回避したが、鋭い先端が顔をかすめ、頬が切れて血が吹き出した。
「ハルキ! 大丈夫!?」
セラは顔をこわばらせ、盾を構えて即座に俺とセリアの間に割り込んだ。
「攻撃を目で追うことすらできなかったわ……信じられない速さよ!」
「ああ……身をもって知ったよ」
俺は手の甲で頬の血を拭いながら呟いた。
「セラ、殺さずに抑え込むぞ。何としても彼女と話し合って、この森で本当に何が起きたのか突き止めなきゃならない!」
「おいおい、誰が戻ってきたか見てみろ……」
チョーローが身を乗り出して呟いた。
「ハルキ、セラ……また包囲されたぞ」
背後の木々の影から、先ほどの魔物たちが再び姿を現した。巨大スライム、シャドウウルフ、そしてスヴェントラウオミニ(裂人鬼)。俺たちの逃げ道は完全に塞がれていた。
「今度は逃げ切れそうにないな」
俺は歯を食いしばって悪態をついた。
「セリアの攻撃をかわしながら、この大群をまとめて相手にするなんて無理だ……くそっ、最悪の状況だな!」
「ハルキ、魔物の軍勢は私が食い止めるわ!」
セラは身構えながら言った。
「あなたとチョーローでセリアちゃんを止めて!」
「ダメだセラ! 君のやり方は知ってる、いつも無理をして自分を危険に晒すだろ!」
俺は抗議した。
「そんなことしちゃダメだ、ダンジョンの中で何があったか思い出せよ!」
「ハルキ、他に選択肢はないのよ! 私たちが――」
「あー! 黙らんか、人間ども!」
二人の会話を遮るように、チョーローが突然重厚な声で言い放った。
「わしがやる」
「チョーロー???」
「力を温存しておきたかったのだが、どうやら背に腹は代えられんようじゃな」
トカゲは俺の肩からすべり降りると、魔物の群れに向かってゆっくりと歩き出した。
「あの忌々しい大図書館を出て以来、この瞬間を待っておったのだよ!」
「チョーロー、何する気だ!? 狂ったのか!?」
「ハッ! そこでおとなしく、本物のドラゴンの姿を見ておるがいい!」
突如として凄まじい熱気が森全体を包み込み、足元の落ち葉がパチパチと音を立てて爆ぜた。
真紅の炎の柱がチョーローの周囲に燃え上がり、天に向かって立ち上った。
数秒後、炎が晴れると、そこには圧巻の生物が立ち尽くしていた。軍馬ほどもある巨体、気高き角、そして燃えさかる琥珀色の目を備えた、正真正銘のドラゴンの姿だった。
俺は口をぐうの音も出ないほど開けた。
「チョーロー!? お前……本当にチョーローなのか!?」
「当たり前じゃろ!」
ドラゴンは大地を揺らすほどの雄叫びを上げた。
「まあ、まだ万全の体調ではないゆえ、今のところこれが限界じゃがな。とはいえ、この程度の羽虫どもを片付けるにはお釣りがくるわ!」
巨体からは想像もつかない俊敏さで、チョーローは前方に疾走した。
一筋の爪の一撃で、二頭のスヴェントラウオミニが一瞬で粉砕された。
続いて大きな皮膜の翼を広げると、広場の上空へと飛び立った。
「これでも喰らうがいいっ!」
巨大な口から純粋な灼熱のブレスが噴き出し、巨大スライムとシャドウウルフの群れを一瞬で焼き尽くした。
わずか三秒足らずで、魔物の大軍勢は灰燼に帰したのだった。
「私の森になにをしてくれているのよ、狂った悪魔どもが!?」
セリアが怒り狂って叫んだ。
「セラ、俺を援護してくれ!」
好機と見た俺は叫んだ。
セリアの腕から無数の歪んだ枝が芽吹き、槍のように俺に向かって伸びてきた。
「任せて、ハルキ! 急いで!」
セラは俺の隣に飛び込み、重厚な盾で木の突進を弾き返した。
「【スピードスターLv1:瞬足】! 【武具創造Lv1:戦斧】!」
両手に大きな両刃斧が出現した。
俺は狂った木こりのように枝を叩き切り、粉砕しながら進む隙間を作り、セラがより危険な一撃を防御した。
「うわっ、くそっ! 足首が!」
「ハルキ!」
地面から突き出た太い枝が俺の左足首を掴み、空中に持ち上げると、大木の幹に向かって激しく叩きつけようとした。
「わしに任せろ!」
チョーローが俺たちの頭上に急降下し、凝縮された火炎弾を吐き出した。火炎弾は瞬時に枝を焼き払い、叩きつけられる前に俺を束縛から解放した。
「後ろの蠢くゴミどもは綺麗に丸焼きにしてやったぞ!」
チョーローは重い音を立てて俺たちの隣に着地した。
「残るはあやつだけじゃ!」
「ナイス仕事だ、チョーロー!」
俺は必死に立ち上がりながら叫んだ。
「誓うよ、もう二度とお前をバカにしたりしない……本当にお前が古代ドラゴンだって信じるよ!」
「最初の章からずっとそう言っておるじゃろ!」
チョーローは尻尾を振りながら抗議した。
「ふたりとも、いい加減にしなさい!」
セラが俺たちを一蹴した。
「今は集中するときよ!」
セリアは凄まじい憎悪を瞳に宿し、顔を悪魔のような凶相に歪ませて俺たちを睨みつけた。
「呪わしい奴らめ……思い知らせてやる! お前たち全員に! 森の本当の怒りを見せてやるわ!」
セリアは歪んだ人工の指を地面の中に深く突き立てた。
次の瞬間、血に染まり異臭を放つ巨大な根が地面から噴き出し、彼女を繭のように完全に包み込んだ。
数秒の長く感じられる静寂の後、植物の構造物が裂けた。腐った木、棘、そして脈打つ内臓で構成された高さ三メートルの異形が、俺たちの前に姿を現したのだった。
その生物からは、純粋で濃縮された邪悪なオーラが漂っていた。俺たちはついに確信した。この狂気の本当の元凶を、今まさに目の当たりにしたのだと。
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