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第22章:最後の挨拶

文法や構文に不備がございましたら、平にご容赦いただけますと幸いです。

俺たちが城の出口に向かって歩いていると、ヴァルディス将軍の雄々しい巨躯が立ちふさがった。


「おい、これを持っていけ」


そう言って、彼は王家の蝋印が押された羊皮紙の巻物を差し出してきた。


「この書状があれば、お前たちは正式にオーラリス王国の大使だ。道中、数々の特権が得られるだろう。……だが警告しておく。国境地帯に近づくにつれ、王権の威光など気休めに過ぎなくなる。常に目を光らせておけよ」


「へいへい……これで文字通り、鬼に金棒ってわけですね」


俺が皮肉交じりの苦笑いを浮かべると、ヴァルディスは豪快に腹を揺らして笑い飛ばした。


「ガハハハ! それほどのパーティーを率いておきながら、何を気弱なことを言っておるか!」


将軍は笑い声をあげると、隣に立つ俺の仲間に視線を向けた。


「そうだろ、『揺るぎなき城塞』の異名で知られるセラ・ストーンモー? 考えたら……数年前、お前はあの無駄に人懐っこい男のパーティーにおったな。名前は何と言ったか……そうそう、カエル・ルークだ」


セラは視線を少し落とし、瞬時にその表情を曇らせた。


「……ええ。彼のパーティーにいました」


「おいおい! 昔話はそこまでじゃ!」


チョーローがすかさず割って入った。


「どうせ語るなら、わしの輝かしい過去について話そうではないか!」


俺は思わず微笑んだ。重苦しくなりかけた空気を立ち切ってくれたトカゲに感謝しかない。


「チョーロー、近いうちに丸一日お前の話だけを聞く日を約束するよ」


「当然じゃ! 楽しみにしておるぞ!」


チョーローは誇らしげに胸を張った。


「良い仲間に恵まれたな、ハルキ。健闘を祈るぞ」


ヴァルディスは満足そうに頷いた。


「わしはここに残り、お前のクラスメイトどもを鍛え上げる。近いうちに城を出て、本格的な実戦訓練に入る予定だ」


城の巨大な門へと向かって進んでいくと、元クラスメイトの小グループ――橘、森川、天野の三人に行き当たった。


「もう行ってしまうのか、佐藤?」


橘が腕組みをしながら尋ねてきた。


「学級委員長としては、全員で団結して乗り越えたいと思っているんだ。いろいろあったが、お前が本当に強いことは証明された……今からでも、俺たちと一緒に残らないか?」


「そうだよ、佐藤くん、残ってよ!」


天野美香が上目遣いで甘えるような声を上げた。


「そうすれば、私またあの可愛い魔法のトカゲちゃんと遊べるし!」


「あ……あのね……佐藤くん……」


森川結衣が顔を真っ赤にしながら、どぎまぎと口を開いた。


「も、もしよかったら、私たちのへ、部屋に移動してもらうよう頼んであげる! そうすれば……他の男子たちとギクシャクすることもないと思うし……」


「森川!?」


橘が目を見開いて叫んだ。


「ウフフ、結衣ったら本当に大胆なんだから!」


美香がニヤニヤしながら結衣をつつつき始めた。


「ひゃあっ! ちょっと美香、変なところ触らないでよ!」


「みんな、本当にありがとう……」


俺は気まずい苦笑いを浮かべながら彼女たちの戯れを制した。


「でも俺とセラとチョーローは、王国の任務ですぐに出発しなきゃいけないんだ」


「任務……?」


「具体的に何をするの?」


「教えてよ、佐藤くん!」


「ごめん、国家機密なんだ」


俺は言葉を濁しながら手を振った。


「でも、少なくとも君たちがそうやって声をかけてくれて……本当に嬉しいよ」


「よお兄弟ぃぃぃっ! またどこへ行くつもりだぁ!?」


背後から巨大な腕が俺の首に巻きつき、万力のような力で締め上げてきた。


「ぐはっ……如月……離せ、窒息する……!」


俺は必死にもがきながら喘いだ。


「ここに残れよ!」


如月は俺の肩をバシバシと叩きながら手を離した。


「お前があんなバケモノ見せたおかげでクラス中が腰抜かしてんだ。もう誰もお前に文句なんか言えねえよ!」


「いや、本当に無理なんだ。行かなきゃならない……またすぐに会えるといいな」


俺は手を振ってみんなに別れを告げた。


「本当に良いクラスメイトたちね、ハルキ」


隣を歩くセラが微笑みながら言った。


「帰ってきたら、みんなでお茶でも飲みましょう」


「ああ、無事に帰ってきたら、ぜひそうしよう」


だが残念ながら、穏やかな時間は長く続かなかった。中庭の正門前で、白石と九条の二人が立ちふさがるように待っていたのだ。


「佐藤……お前の身に一体何が起きたのかは知らんがな」


白石が吐き捨てるように蔑みの視線を投げてきた。


「次に戻ってきた時、覚えておけよ。お前の安っぽい小細工も、あの忌々しい召喚獣どもも、二度とお前を救えやしないからな」


「はいはい、分かった分かった。すごーい白石くん。じゃ、そこ通してくれる?」


「見なさいよこの態度!」


九条がキンキン声で甲高い叫び声を上げ、完璧にセットされた髪をいじくった。


「偉そうにしちゃってさ、佐藤! 頭の上の生意気なトカゲさえいなかったら、この前だってアタシがアンタを完膚なきまでに叩きのめしてあげてたんだからね!」


「おい! わしはトカゲではない、古代竜じゃ!」


チョーローが鋭い犬歯を剥き出しにして威嚇した。


「おい九条」


俺は声を潜めて忠告した。


「チョーローはお前のその自慢の縦ロールを一瞬で黒こげにできるんだぞ。無駄に煽るな」


「はぁ!? 最悪なんですけど! 本当に気持ちわ――」


「そこまでにしなさい、お嬢さん!」


突然、セラが一歩前に踏み出し、鋭い眼差しで会話を遮った。その声は威厳に満ち、刃物のように冷たかった。


「少し調子に乗りすぎではないかしら? ハルキはあなたに何も害を与えていないわ。なぜそこまで意地悪くあり続けられるの? 恥を知りなさい!」


「セラ……いいんだ、そこまで言わなくても……」


突然の介入に圧倒され、俺は思わず制止しようとした。


「それともう一つ、言っておきたいことがあるわ!」


セラは腰に手を当て、誇らしげな笑みを浮かべながら九条を睨み据えた。


「あなたのクラスメイト全員を見渡した上で、はっきりと断言させて戴くわ……ハルキが一番格好良くて、一番素敵よ!」


――瞬間、俺の顔は熟しきったトマト以上に真っ赤になった。頭から湯気が出そうなほど熱い。


「せ、セラ、行こう! もう行こう!?」


俺は彼女の腕を引っ張りながら裏返った声で叫んだ。


「チョーローも九条を脅すのはやめろ!」


恥ずかしさでショック死する前に、俺は二人を引っ張るようにして早足で走り去った。


……だが、胸の奥底では、その無条件の味方が温かく広がっていた。


自分のために堂々と立ち上がり、全力で庇ってくれる仲間がいる――それは俺にとって、初めて味わうかけがえのない感覚だった。


自由と冒険を胸に、俺たちは王都ルナベルの門を出た。


遥かなる国境が、俺たちを待っている。

ご覧いただきありがとうございます!毎日21時50分に更新していきますので、よろしくお願いします。

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