第19章:誘惑
文法や構文に不備がございましたら、平にご容赦いただけますと幸いです。
「佐藤春樹、ついて来い。話がある」
ヴァルディス将軍が威厳のある声で言った。
「はい、将軍」
「ハルキ……」
セラが心配そうに私を見つめながら呟いた。
「ここで待っていてくれ、セラ。すぐに戻るから」
俺は将軍の後を追い、人目や邪推の耳から離れた別室へと向かった。彼は俺の方を振り向くと、たくましい腕を胸の前で組んだ。
「さて……万能職のお前が、なぜ闇の召喚術を使えるのか説明してもらおうか? そして何より……コバリンだと? 何世紀も前に絶滅したはずの魔物ではないか。まさか、最近王国各地に出現している異変ダンジョンのひとつに入ったわけではあるまいな……」
「俺は……万能職のスキルのおかげで、通常とは異なる方法でアビリティを習得できるんです」
俺は言葉を選びながら説明した。
「確かに、あの手の魔物で溢れかえったダンジョンに行きました。セラでさえ、なぜあんな場所に奴らがいたのか分かっていませんでした。その日の夜、俺のステータス画面にあのスキルが解放されていたんです……」
「むぅ……最近、王国では古代の絶滅種が棲みつく謎のダンジョンが次々と出現している」
ヴァルディスは思索にふけるように頷いた。
「恐ろしい問題だ。騎士団を何隊も派遣して封印を進めているが、増え続ける一方なのだ。ザルド第一宰相によれば、ノクターン帝国による工作活動とのことだ。お前が本当にそんな場所から生還したというのなら、見かけよりも遥かに強いということになる。奴らは完全にお前の評価を誤っていたな。ここで他の者たちと待っていろ。第一宰相ザルドと、エルゼアティア女王陛下に直々にお知らせしてくる」
ヴァルディスは訓練場を後にした。俺はうつむきながらセラとチョーローのもとへ戻った。
「まったく、羽目を外しすぎじゃぞ、小僧……」
セラの肩からチョーローが愚痴をこぼした。
「黒魔法など使いおって……先にわしらに相談すればよかったではないか」
「その通りだよ、チョーロー」
俺は苦々しくため息をついた。
「今後は二度と繰り返さない。一番大切なものに誓って約束するよ。何かしらの形で絶対に罪滅ぼしをする」
遠くから、クラスメイトたちの怯えたささやき声がはっきりと聞こえてきた。
「あいつ、化け物になっちゃったのか……見たかよ、何を召喚したか?」
「復讐のために俺たちを殺す気だったんだ! でもまあ、あんな奴に何を期待してんだ? クラスでもずっと一人ぼっちだったろ……」
「ハルキ、あんな奴らの言うことを聞いちゃ駄目よ」
セラが俺の肩に手を置き、静かに囁いた。
「重大な過ちを犯したのは事実だけど、あなたが誰も傷つけるつもりなんてなかったこと、私はちゃんと分かっているわ」
「ありがとう、セラ……」
俺は弱々しく微笑んだ。
「君がどう思ってくれるかだけが、俺にとって本当に大切なことなんだ」
「ああん!?『だけ』だと!? 吐いたな小僧!」
トカゲが足をバタバタさせながら怒鳴り散らした。
「もちろんチョーローの意見もだよ……お前の意見もな!」
俺は口元に微かな笑みを浮かべて答えた。
「佐藤春樹とその一行、ついて参れ!」
王宮の小姓が会話を割り込むように告げた。
「女王陛下と第一宰相閣下が、直ちにお目にかかりたいとのことだ」
俺たちは兵士に導かれ、磨き上げられた白い大理石と銀の装飾で飾られた荘厳な廊下を進んだ。王国の紋章が繊細に刻まれた重厚な扉の前に到着すると、門衛たちが玉座の間の扉を観音開きにした。
部屋の中央、王座に鎮座していたのはエルゼアティアだった。息をのむほど美しく、気高く、そして氷のように冷ややかだった。その数段下には、頭の光る第一宰相ザルドが控えていた。
「おや、若き勇者よ!」
エルゼアティアがうっとりさせるような艶やかな声で切り出した。
「ヴァルディス将軍から、錬武場での出来事を聞いたばかりです。私と第一宰相は、あなたに深くお詫び申し上げなければなりません……私たちはあなたを見誤っていました。どうか許してくださいね」
「女王陛下の仰る通りでございます」
ザルドが芝居がかったお辞儀をしながら追従した。
「取り返しのつかない過ちを犯してしまいました。どうやら万能職とは、真に素晴らしい才能であったようですな!」
「おいで、少年……もっと私の近くへ」
エルゼアティアが手招きしながらささやいた。
ゆっくりと頼りない足取りで、俺は王座の階段を登った)。エルゼアティアは青空色と黄金色のドレスを纏っており、深々と入ったスリットからはすらりとした脚が覗き、豊満な胸元が惜しげもなく露わになっていた。彼女の紫色の瞳には、妖しく怪しい光が宿っていた。
「照れなくてもいいのですよ、勇者様……」
俺が反応する間もなく、彼女は俺の手を優しく掴むと、予想外の力でぐっと自分の方へ引き寄せた。そして俺を自分の膝の上に直接座らせ、吐息がかかるほどの至近距離で顔を近づけてきた。
階段の麓で、セラとチョーローがショックのあまり目を丸くした。
エルゼアティアは尖った指先で俺の頬を撫で、温かい吐息を耳元に吹きかけながら囁いた。
「ねえ……私と二人きりで、じっくりお話ししましょう? そうね……私の執務室(私室)でどうかしら?」
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