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第18章:煙と鏡(第三編)

文法や構文に不備がございましたら、平にご容赦いただけますと幸いです。

「あはは! 見ていなさい、落ちこぼれ……あなたとそのババアを存分に楽しませてもらうわ!」


九条が呪文の準備をしながらニヤリと笑った。


「オッホ、佐藤、準備運動代わりにパンチを数発ぶち込んでやるぜ!」


巨漢の権田が同調し、拳の関節をぽきぽきと鳴らした。


「こんなこと避けられたはずだぞ、佐藤……」


白石が聖剣を抜きながらため息をついた。


「佐藤、学級委員長として正直手加減はしたくないんだが」


橘が眼鏡の位置を直しながら割り込んだ。


「やり過ぎだと判断したら、俺が止める」


「心配いらないよ橘、根は悪い奴らじゃないだろ」


俺は悪戯っぽく微笑み、それから隣のパートナーの方を向いた。


「そうだよね、セラ?」


「ええ、全くその通りです」


彼女が答えた。


模擬戦が始まる直前、セラが歩み寄ってきて、俺の頬に優しくキスを落とした。


室内には、他の生徒たちから驚きのざわめきと憤慨の呟きが巻き起こった。


「な、なんだよ……佐藤の奴、あの女とそういう関係なのか!?」


「四十代くらいだろ!? いやまあ、見ろよあのスタイル……でも母親でもおかしくないぞ!」


個人的には、あいつらがどう思おうと知ったことではなかった。今の俺には、必要なエネルギーとモチベーションがフル充電されていた。


橘は固有スキル【完全ライブラリ】を駆使し、即座に完璧な戦略を指揮した。九条が遠距離から結晶魔法で爆撃を開始し、権田が鋼の体を活かして猪突猛進し、そして「イケメン」白石が俺に向かって真っ直ぐ突き進んできた。


「気をつけてハルキ、私の後ろへ! 結晶に当たらないで!」


セラが盾を掲げて叫んだ。


「分かってる、セラ!」


俺は素早く叫んだ。


「聞け、チョーロー! こっそり足元を這って行け、あの金髪の背後に回り込んで……それから胸に飛び込め!」


「なにぃ!?」


竜は目を丸くして悲鳴を上げた。


「我は古代竜ぞ、そんな変態じみた真似ができるか!」


「チョーロー、いいからやれ!」


「ええい、分かったわい! だが後で気を失うまで飯を食わせろよ!」


その間、権田はセラの雫型の盾に向かって破壊的なパンチの雨を繰り出していた。


「オッホ! 強い淑女だなぁ! 俺と一緒にいた方がいいんじゃないか、あんなチビじゃなくてよ!」


セラは表情一つ変えなかった。


【スキルシステム:ガーディアン Lv.78 ―― 敵撃退】


不可視の衝撃波が盾から炸裂し、巨漢を十メートルも吹き飛ばした。


「あなたと一緒に?」


立ち位置を直し、セラがあざ笑った。


「自分の足で立つことすらできていないのに?」


ああセラ、そういう時の君が大好きだ! あ、そうだ……戦闘中だった、すまん。


「佐藤! 出てきて私の結晶に当たりなさいよ、卑怯者! 私は……きゃあぁぁぁ! トカゲ!? 離れて! 離れなさぁぁい! こいつをどけてぇ!」


チョーローが服をかき乱す中、九条は完全なヒステリー状態で狂ったように暴れ回った。


「チッ……一食のために何をやっているのやら……」


チョーローが愚痴をこぼした。


「でかしたチョーロー!」


俺はその隙を逃さなかった。万能職の不可視の糸を即座に使用し、橘の動きを封じた。


「えっ? 何だこの糸は!? 私のスカートが、やめて!」


委員長は胸元と裾を押さえるために完全に集中力を欠いた。


「ハルキ!」


遠くからセラが俺を窘めた。


「女の子にそんなことをしてはダメよ!」


「ごめんセラ! 背に腹は代えられないんだ!」


うまくいったかに思えた。即興の戦略は完璧に機能していた……だが、まだあいつが残っていた。


白石はただの気取り屋ではなかった。本当に強いからこそ、誰よりも上に立っている気でいたのだ。レベルは「まだ」40だったにもかかわらず、彼の斬撃はセラの防御すら極限まで追い詰めていた。


「佐藤、女に守らせながら安っぽい小細工を使うのか?」


黄金のオーラを纏わせた剣を構え、白石が嘲笑しながら歩を進めた。


「ハルキ気をつけて、彼は本物よ!」


【スキルシステム:ガーディアン Lv.78 ―― エーテルバリア】


銀色の光の板が、セラと白石の大剣の間に割り込んだ。


「ふん、そうかい」


勇者がニヤリと笑った。


【スキルシステム:聖剣 Lv.40 ―― 結界破り】


蒼く巨大な斬撃がセラの超結界に激突し、それを千々に砕き散らした。その反動で彼女は後方へ倒れ込んだ。


「くそっ! これでも食らえ!」


俺は持っている低級の攻撃魔法を矢継ぎ早に放ったが、彼の聖剣の一振りによって易々と打ち消された。万能職の複数のスキルを組み合わせてあらゆる手を尽くしたが、レベル1の俺のスキルは、あの伝説の武器の前には完全に無力だった。


「佐藤……あの女がいなければ、お前は本当に何の価値もないな」


バシッ!


みぞおちへの直撃パンチが俺の息を止め、続く烈烈たる蹴りが俺を闘技場の地面へと何メートルも転がした。


「ゴホッ……ゴホッ……やるな白石……見かけ倒しじゃないってわけだ」


俺は血の糸を吐き出しながら、なんとか立ち上がって呟いた。


「俺はな」


彼は冷ややかに答えた。


「価値がないのはお前だ」


ドカッ!


顔面への右フックが炸裂し、視界の前に黒い点々が明滅した。


「ハルキ、やめて!」


立ち上がろうとしながら、セラが絶望的な声を上げた。


「将軍、もう十分です! あなたたちの勝ちです!」


「よし白石、そこまでだ」


ヴァルディス将軍が一歩前に出て割り込んだ。


「これで終わりに――」


「駄目だ!」


俺はかすむ視界の中、なんとか立ち上がり、手の甲で口元を拭った。


「こんなところで終わってたまるか……確かに俺は近接戦闘は得意じゃない。小細工や卑怯な手段、変則的な戦略ばかり使う……だがな、セラのような女性の前で不格好な姿を晒すつもりは毛頭ないんだよ!」


白石は蔑むようにくすくす笑った。


「『女性』だと? あの女をそう呼ぶのか? 哀れだな佐藤……あれはお前の母親世代だぞ」


「ふざけたことを抜かすな!」


俺は咆哮し、その瞳に暗い火花が灯った。


「年齢なんてただのクソみたいな数字だ……お前ら全員束になったって、彼女の価値の百分の一にも届かないんだよ! 今から本当の恐怖ってやつを教えてやる……見せたくはなかったが、お前らには良い薬だ!」


俺はダンジョンで習得した闇の魔法を練り上げた。


【スキルシステム:黒魔法 Lv.1 ―― コバリン召喚】

ご覧いただきありがとうございます!毎日21時50分に更新していきますので、よろしくお願いします。

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