新しい未来へと足を踏み出す
「ユリア…あっ…」
(寝ているのか…)
ユリアは俺に身を寄せ、俺の肩に頭を乗せている。
ユリアの肩に腕を回せば、元々細いのにも関わらずさらに細くなっていると感じた。それに、ユリアの顔を眺めれば目の下に薄らと出来た隈。寝ていない何よりの証拠だ。俺もユリアが心配でろくに睡眠が取れなかったが、ユリアはもっと眠れなかったはずだ…。
(ユリアの辛さに比べれば俺なんてどうってことない。)
馬車はどんどんフェルナリア王国へ向かっていく。
やっと、帰れるんだな…
ユリアと共に…
ユリアの寝顔はどこか幸せそうで、微笑んでいた。
どんな夢を見ているのだろうか。
その夢に俺はいるのだろうか。
それは分からない。
だが、ユリアが幸せならそれでいいんだ。
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屋敷へ到着したが、ユリアは起きそうにないなぁ…
馬車の扉が開き、俺の使用人が迎える。
「おかえりなさいませ、レオン様。」
「静かにしてくれ…。ユリアが眠っているんだ…。ユリアを部屋に連れて行ったら俺は一度王都へ向かう。それをアンナに伝えておいてくれ。アンナにもしユリアが起きたら説明するようにと。」
「「かしこまりました。」」
俺はユリアを抱えて屋敷の中へ入り、寝室へ向かう。
ベッドにユリアを寝かせれば、額にキスをする。
そうすれば微笑んでいるユリア。
寝ているのに起きているのではないかと勘違いしてしまいそうになる。
「ユリア、すぐ戻るから待っていてくれ。」
俺は寝室を出て急いで王都へ向かった。
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「陛下、レオンです。」
「…入れ。」
扉を開けばそこにはお父様とお母様の姿が。
「ただいまヴァルグア王国から帰還いたしました。」
「ユリアさんは無事か。」
「はい。今は屋敷の方で眠っています。ただ、食事もあまり摂っていなかったのでしょう。以前より痩せていて、そして眠ていなかったようです。」
「…そうか…」
「でも、ユリアさんが無事に帰ってきてくれて本当によかったわ…!」
お父様もお母様もそっと胸を撫で下ろしていた。
「今回のリューク王子とアリス嬢の行動は我が息子の妃、次期王太子妃の誘拐。それはまさに、フェルナリア王国への宣戦布告と受け取っていいだろう。」
「どうしますか。」
「ヴァルグア王国との国交断絶…とまではやり過ぎかもしれないが…当面のすべての貿易は停止する。」
(国交断絶でも良いぐらいだが…)
だが、それではヴァルグア王国の国民が可哀想だ。
国民は何一つ関係ないのだからな。
「ところで、レオン。お前はどうする。」
「…?」
「ユリアさんにきちんと伝えたのか?正式に婚約したいと。」
「それは…まだです…」
「何をやってるの!ほんと、行動しないのは一体、誰に似たのかしら!」
ああ…そういえば、お父様はお母様に婚約を申し込むのを先延ばしにし過ぎたせいでお母様が待てなくなって逆に言ったと言っていたなぁ…
(いや、俺は違うぞ…)
ただ…タイミングが無かっただけで…
「早く言いなさい。」
「そうだぞ、レオン。いつだって即刻婚約発表が出来るように準備は整えてあるんだ。ユリアさんを生涯の伴侶として迎えるのなら覚悟を決めろ。」
「誰が言ってるのよ…」
「エリー…」
「ありがとうございます、お父様、お母様。」
「そして、あいつらはどうする。」
「国王陛下にすべてお任せします。」
「分かった。ユリアさんが気になるだろう。早く行きなさい。」
「はい…!」
俺は急いで執務室を出た。
屋敷へ向かい中へ入れば一番最初に目に入るユリアの姿。
「おかえりなさいませ、レオン様!」
「ただいま、ユリア。身体は大丈夫か?」
「はい!この通り…!」
まだ少しフラフラとしているが、長く眠ったお陰で割と回復したらしい。
「ユリア、あとで話があるんだが…」
「話ですか?」
「ああ、大事な話だ。聞いてくれるか?」
「はい、もちろんです!」
「ありがとう…」
俺は今日、一歩新しい未来へと足を踏み出すんだ。
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