換え難き日常 下
まず、ゆうすけと、瞳が向かったのは、都内でも有数のショッピングモールだった。大きさは、サッカーコート六つ分ぐらいの大きさだった。ショッピングモールの中は、たくさんの人でごった返していた。中には、家族連れ、カップル、ボッチなどが、いた。
「うわ~人が多いなぁしかもカップルたくさんと、おまけつきだぁ。はは、みんな、みんな死ねばいいのに」
ゆうすけが、ショッピングモールの中に入って、声にした第一声だった。瞳は、ゆうすけの顔を覗きこみながら、不服そうに聞いた。
「どうしたんです?そんなに、周りにカップルが多い事が不満ですか?」
ゆうすけは、瞳の顔を見ながら、答えた。
「いやぁだってさぁ何かむかつくし、暑苦しい。何か自分が惨めになるし……あ~誰か付き合ってくれないかな」
瞳は、頬を膨らませて小声でつぶやいた。
「ここにちゃんと、いるのに付き合ってもいい人が」
そのつぶやきを聞いたゆうすけが瞳に聞き直した。
「どうした?何か言ったか?」
「なんでもないです」
と言って瞳は、顔を逸らした。
「にしてもまた広いなぁ何処に行くんだ?」
「そうですね、まずゆうすけさんの服なんかは、どうでしょうか?」
「良いのか?俺の買い物は最後でもいいからさお前の買い物を先にしろよ。」
「本当ですか?ならお言葉に甘えて先に買い物をさせてもらいます。」
上機嫌になった瞳は、鼻歌交じりでスキップしながら、モール内を進んでいった。道が分からないゆうすけは、小走りで瞳の後ろについて行った。まず、最初に服屋に向かった。
「さぁ入りましょう」
「ああ、良いけれど此処って女物だけしか、売ってねーんじゃねぇか?そんな所に俺が、いたら不味いんじゃないのか?外で待っとこうか?」
「大丈夫ですよ、私がいれば不自然じゃないです」
「いや、でもそれじゃあ、何かカップルに見えるんじゃないか?それじゃあお前の気を悪くするんじゃないのか?」
瞳は、ゆうすけの腕に自分の腕を組ませて、
「大丈夫です。私は気にしませんから」
瞳は、満面の笑みを浮かべてゆうすけを引っ張って中に入っていった。
そこからは、瞳が行きたいところに、約二時間連れまわされた。服屋の次は、CDショップ、本屋、ゲームセンターへ、行った。散々連れまわされ荷物持ちをさせられた、ゆうすけは、息を荒げて椅子に座った。
「ふぅ疲れた。女子の買い物って大変なんだな」
ゆうすけが、座った隣の椅子の上には、様々な包装紙で包まれた箱が1m程積み上げてあった。椅子にもたれて、座っていた目の前に、チョコパフェが差し出された。
「はい、どうぞ」
ゆうすけが、上を向いてみるとそこには、両手にソフトクリームを持った瞳が立っていた。
「ああ、ありがとう」
そう言って、ゆうすけは、ソフトクリームを受け取って食べ始めた。その味は何とも、美味しく、懐かしい味だった。そこで、あいつの顔がフラッシュバックした。
「まただ、また、あいつの顔だ」
ゆうすけは、あいつの顔がフラッシュバックするたびに、何故か懐かしい思いが、胸の中に広がった。
あいつの事は、分かるでも…顔が分からない、いや分からないというよりかは、思い出せないという感じだ。
長いこと生きていると、記憶が少し混濁することがあるが、ここまで記憶が混濁した事は無い。
しかし、あいつの事になると、何かが思い出せない自分にとって大切だった人だったという事、その人のために、自分が激怒する事も、知っている。
でも、なぜか思い出せない顔以外に何か、他に本当に大切な事を忘れているような気がした。でも、どうしても思い出せない。
「ゆ……さん…ゆうす…さん……ゆうすけさんってば!」
「ああ、すまない少しボーっとしていた。考え事をしていてな」
「大丈夫ですか?何の考え事をしていたんですか?」
「いやそれが、何というか…分からないんだ」
「分からないって何ですか?」
瞳は、微笑を浮かべながら笑った。不覚にもゆうすけは、その笑顔に少しドッキと、してしまった。ソフトクリームを食べ終えたら、席を立って、
「そんじゃまぁ行きますか」
そう言ってゆうすけは、椅子の上にある箱の山を持った。
「次は、何処に行くんだ?」
「何を言っているんです?次は、ゆうすけさんの買い物ですよ?後何でずっとその箱を、手で持っているんですか?あそこの、浮遊カートに乗せれば良いんじゃないんですか?」
「そんな物があるなら早く教えてくれよ!!」
「え!?知らなかったんですか?普通の、人は知ってますよ。本当にゆうすけさん今まで何をしていたんですか?」
「何をしていたと言われてもなぁ答えようがなぁ無いんだよなぁ……」
「まぁ答えようがないならいいですよ」
前を歩いていた瞳はゆうすけにくるりと、振り向いてにこやかに笑った。ゆうすけはその顔を見てまたしても少しドキッとしてしまった。
「ま、まぁそれよりも早く買い物に行こうぜ。その浮遊カートを採ってくるから先に、行っといてくれ」
そう言ってゆうすけは、浮遊カートを取りに行った。
「買い物っていっても何を買うんだ?俺のもの何だけど……」
「ゆうすけさんは、何が欲しいんですか?」
「俺が欲しいものかぁ……特にないかな」
と、ゆうすけが答えると瞳は、ゆうすけの姿を見て、
「それなら服を見に行きませんか?」
ゆうすけは、理解できない風に「何で?」と聞くと瞳は、少し言い辛そうに、答えた。
「いやぁだってゆうすけさんの服装お世辞にも、センスがあるとは、言えないですから」
確かにゆうすけの服装は、お世辞にもセンスがあるとは言えなかった。
「う、確かにそうかもしれないが、な?ほら俺そんなのあまり気にしないし、だから良いんじゃね?」
「ゆうすけさんが良くても、私は嫌です。だって隣にいる人の服がそこまでセンスがないと私まで恥ずかしくなってきます」
ゆうすけは、その言葉を聞いて頭を、面倒臭そうにポリポリとかいて言った。
「なら、行きましょうか」
そう言ってゆうすけは、浮遊カートを押しながら、瞳は、何も持たずに店に向かって歩みを進めて行った。
約三時間前ゆうすけ達をつけているりょうきチーム
「おっと移動したな、早くつけないとな」
りょうきがそう言うと、ユナとショウも着いて行った。後ろをつけていると、ショッピングモールに着いた。それを見てりょうきが言った。
「うひょ~デートの定番スポットに、来たものだな」
ユナは、「はぁ」とため息をつきながら
「あの、少しは自重してくださいもう少し威厳のある喋り方にしてください。周りの視線が物凄く痛いです。止めてください見た目は、かなりのご老体なんですから、あくまで見た目は、見た目はです!精神面は、ガキなんですから」
「そう言うユナも、敬語使うか使わないかはっきりしたらどうなんだ」
ユナはあきれ返りながら
「はぁ私は原則敬語です。会長が、ふざけると敬語じゃなくなります。そして、早くその口調を直してください無理なら喋らないで下さい」
「なら、無理だから喋らない」
「諦めはや!」
ユナは、素早く突っ込みを入れた。そうしたら、りょうきは、隅でぶつぶつとすねだした。
「はぁもういいです。あっ向こうも移動しましたよ、つけないんで良いんですか?」
いつもは、食いついてくるりょうきだが、今回はずっとすねたまま動かなかった。
「もう、早くそこのすねている人を抱えてショウ」
そう言って、ユナがショウに命令するとショウは、りょうきを抱えた。
「早く行くよ」
そう言って、約二時間ユナとショウそして荷物は、ゆうすけ達をつけた。
「はぁやっと休憩か疲れた。」
ずっとすねていたりょうきが口にした。
「あなたは、何もしてないじゃ無いですか」
りょうきはいきなり真剣な顔つきになった。
「すまん連絡だ。少し静かにしてくれ、コールオン」
そう言って、りょうきは電話にでた。電話をしながら、りょうきが右手を上げると、ホロウインドウが起動した。りょうきは起動したホロウインドウに何かメモを取り始めた。
「ああ、うん、ああ分かった。コールオフ」
そう言ってりょうきは電話を切った。電話を切るとりょうきはより一層真剣な顔つきをして、ユナたちに言った。
「すまんがここまでだ、今昨日のデータの解析が終了したと連絡があった。だから早く基地に変えるぞ」
そう言うとりょうきは急いで、ショッピングモールを後にした。
ゆうすけと瞳は、その頃買い物を楽しんでいた。それから約一時間買い物をした。
「ふぅやっと買い物が終わった。えっと、買ったものは服に食器、文房具か……これくらいあればなんとかなるだろう」
ゆうすけは、ドカッと椅子に座った。隣に瞳が歩み寄って来た。
「そうですね。もうそろそろ帰りましょうか?」
「そうだな、それじゃぁ帰るとするか」
そう言って、ゆうすけと瞳は席を立った。
ゆうすけと瞳がショッピングモールを出ようした。しかし、外は豪雪で1m前も見えない程になっていた。
「やば、なんだよ…今日は一日中晴じゃなかったか?」
「そうですねちょっと待ってくださいね」
そう言って瞳は、鞄の中から何か丁度耳に掛けられる様なインカムに似た機械を取り出して、スイッチを入れて耳にかけた。瞳が右手を上げると、ホロウインドウが起動した。瞳は、ホロウインドウを見ながら言った。
「そうですね電車は……はい全部止まっていますね」
「そうか、どうしようか今から…そうだここ新宿だよな?」
「はい、そうですけどそれがどうしたんですか?」
「そうかここ新宿だったんだよな、そしたらあそこがすぐじゃねぇか」
「どうしたんですか?何かあるんですか?」
「いや、俺の家が近くにあるから今日はそこに泊まらないか」
「ゆ、ゆうすけさんの家ですか?と、泊まるって、一緒の部屋にですか?」
「そう言うことになるかな、だって俺の家マンションだしな。寝室一部屋しかないしベットも一つしかないし、考えてもしょうがない早速行くぞ」
そう言ってゆうすけは、瞳を抱きかかえた。
「わ、何するんですか!」
「能力全開 モード1 少し揺れるからしっかりつかまっといてくれよっ」
そう言って、雪が降りしきる街に瞳を抱きかかえながら、ビルとビルの上を飛んだ。
約二分後、ゆうすけはあるマンションの屋上に着地した。瞳は声を荒げながら、文句を言った。
「何ですかもう!跳ぶなら跳ぶって言ってください」
ゆうすけは、面倒臭そうに耳を押さえながら
「はい、はい文句は後で聞くから、早く中に入ろうぜ」
と言って、屋上にある扉を開け階段を降りて行った。少ししたら扉に、『山中』と書かれた部屋の目でゆうすけがカードキーを取り出して、扉を開けた。
「すまない少し散らかっているが、気にしないでくれ」
確かに部屋の中は、様々なものが散乱していた。瞳は部屋の惨状を見て、ため息をつきながら
「少しは片づけたらどうですか?」
と言った。
「まあ大丈夫だ。もうこの部屋売るし、今から寝る準備をするから風呂沸かしといてくんね?」
と言いながら片づけるのが面倒臭いゆうすけは、話をはぐらかした。
「はい、わかりました」
と言った後に、よくよく考えてみると新婚夫婦の様な会話だと思い、顔を赤く染めた。
「多分一分ぐらいで、風呂が沸くだろうから先に入っといてくれ」
「わかりましたでも、絶対に覗かないで下さいよ!」
ちゃぽんと、音を立てて瞳は湯船に顔を半分ほど沈めた。
「はぁ~~今日は疲れた。にしても鈍感すぎだよね、ゆうすけは何であんなに気づかないんだろう。こんなにアプローチしているのに……」
瞳は、初めてゆうすけにあった時の事を思い出していた。
あれは、約八年前のアメリカ合衆国で起きた出来事だったその年のアメリカでは、その時点での政府に対する反政府デモが、頻発していた。
瞳の両親は、政府資金援助をしていた企業の幹部だった。その娘であった瞳は当然人質の価値として十分だった。案の定瞳は反政府派の過激派に拉致された。
瞳が拉致され車で、移送されている時にゆうすけに瞳は出会った。猛スピードで走っている車の前に、ゆうすけは飛び出した。車がゆうすけの体に当たった瞬間ゆうすけの体が飛び散らなかった。代わりに車に大きな穴が開いていた。
ゆうすけは、フロントガラスをにらんで能力を発動させた。過激派の実行犯の三人は、銃をもって外に出た。三人はゆうすけに狙いを定めると、銃を撃った。ゆうすけは、放たれた弾をすべて避け三人組のうちの一人の懐に飛び込み渾身の掌打を浴びせた。掌打を浴びた男は、呻き声をあげながら三十メートル後ろに吹きとばされ、壁に叩きつけられた。ほかの二人は、その惨状を見て逃げ出した。ゆうすけは、
「所詮寄せ集めの内のごく一部か…」
と吐き捨てると、地面を蹴り逃げていた二人の間に回り込むと、片方の頭を掴むと、もう一人に投げつけた。
瞳は車の中で小さくなりながらその戦いを見ていた。
ゆうすけは瞳が、乗っている車に歩み寄って中にいた瞳を連れ出した。
「よぉ大丈夫だったか?怪我とかは無いか?」
「はい大丈夫…です」
「よしなら良かった次は気を付けろよ。じゃあな」
そう言ってゆうすけは、ビルの上に飛んで消えた。
その後姿を瞳は見つめていた。
半分湯船に沈めていた顔を、湯船から顔を出すと足を抱え込んだ。
「今思えば私あの時から、好きになったんだよな…あの人に憧れてあそこに入った訳だし」
そう言いながら瞳は湯船から上がりシャワーを浴び始めた。
疲れた体に当たる水滴が気持ち良い脚にたまった疲労を落としてくれる。冷え切った体にもたまらない
体が温まった所で瞳は髪と、体を洗い風呂のドアを開けた。
そこにはタオル片手に丁度入って来たゆうすけが顔を真っ赤にして立っていた。瞳は顔を真っ赤にすると顔面に蹴りをお見舞いした。ゆうすけは、
「これは事故だ!お、俺は何も悪くない」
と、デフォルト通りの言葉を言いながら蹴られた場所を手で押さえていた。
瞳は涙目になりながら
「それなら早く出てってください!」
と怒鳴ってゆうすけを風呂場から追い出した。
「はぁ何だよ、あんなに怒る事無いじゃんそれはそれとして、俺も風呂の用意しようかな」
そう言ってゆうすけは、自分の部屋に向かった。
約三十分後ゆうすけも、風呂から上がって来た。
ゆうすけが風呂から出た時には、瞳はリビングのソファーで寝ていた。ゆうすけは、その姿を見て苦笑した。
「しょうがないなぁ寝室に連れてってやるか」
ゆうすけは瞳を抱きかかえて寝室連れて行った。ゆうすけは瞳を寝かせて、リビングのソファーに横になった。
久しぶりにたくさん歩いたせいか、不思議な程にまどろみに包まれていった。
ゆうすけは、真っ白な何も無い白い霧がかった部屋に立っていた。真っ白な部屋といっても、りゅうきに最初に放り込まれた部屋とは、何処か雰囲気の違う部屋だった。
立っていると、右にいきなり何か見慣れない映像が出てきた。その映像にはよく知っている気がするが、何処も知らない気がする顔が映し出された。
いきなり場面が変わり、その顔の主が腹から血を流し地面に突っ伏していた。周りには防護服を着た兵士達が銃を持って立っていた。いきなり映像が白く光ったかと思うと、兵士達が倒れていた。
風がいきなり吹いてあたりの霧が霧散した。
その向こうには顔の主が立っていた。その顔の主はやさしくて女神の様にゆうすけに微笑むと、足の端から霧の様になって消えていった。
ゆうすけは、そいつの手を掴もうとして目が覚めた。
「ハアハア……何なんだ今のは……記憶がとんでいる……のか?」
ゆうすけは、額に腕をのせて呟いた。
次はもう少し、早く投稿できると良いです。




