換え難き日常 上
一月五日午後1時半頃
「すみませんお待たせしました。」
瞳は、さっきの服装上に上着を、羽織っていただけだった。あたり一面は、銀世界だった。
「寒いなぁよくそんな格好で平気だよな。寒くないか?上茂?」
「いいえ寒くありませんよ。そう言ったら、山中さんこそ寒そうな格好ですけど?」
ゆうすけの、服装はジーパンに長袖、薄手の上着を着ているだけだった。
「あぁ、俺はこれで大丈夫なんだ。それじゃ行こうか、上茂?」
瞳は、頬を膨らませて、少し怒りながら
「なんか嫌です、その上茂って呼び方だからその……ひ…瞳」
「何?」
「だ、だからひ、瞳って呼んで良いですよ!って、言っているんです!」
なぜゆうすけは、怒られたのかわかんなかった。
「何で俺が、怒られなきゃならないんだよ。」
「何か言いましたか?」
瞳は、少し怒り気味に、聞き返した。
「いいんや、別に、でもお前が瞳って呼べってんなら俺も、ゆうすけで良いよ。」
「そ、それなら、ゆ、ゆうすけさん、どっ何処に行きましょうか?」
「まぁまず電車に乗って都内に出るか。」
「わかりましたでは、行きましょう。」
ゆうすけと、瞳は、最寄りの駅へと向かった。駅に着くと改札から人が大量に、吐き出されていた所だった。ゆうすけと、瞳は小走りで、電車に乗り込んだ。二十二世紀現在の電車は、今までのレールの上を走っているのではなく、リニアモーターカーが、普通になっていた。電車の中に入ると、温かい空気が二人を包んだ。
「今日は冷えますね」
「そうだなでも太陽が出ているから雪に反射して、俺は気温は低いと思うけど、体感はかなり暑いと、思うけれどな」
「そうですね。で、今からどうしますか?今の時間だと、何処の料理店もいっぱいですよ?」
瞳は、下からゆうすけの顔を覗きながら言った。
「任せとけって、俺が何年生きいてると思ってんだ?安くて美味くて、人が少ない場所ぐらい知ってるぞ。」
「ならお任せしますね」
丁度その時にアナウンスで、『新宿~しんじゅく~』と目的地に着いたことを教えた。
「降りるぞ」
「はい」
扉が開き、それと同時にゆうすけ達は、外に出た。改札を通り駅の外に出ると、そこには雪化粧をした電飾、宙に浮かぶ半透明のホロ広告、車の群れ、歩行者、スクランブル交差点、宙に浮かんだ信号機、ホバー移動するバイク、いかにも未来都市の様な景色が広がっていた。
「へぇ新宿ってこんな事になってたんだ。最後に来たのは、確か三年前だったしな。」
「ならゆうすけさんが言った、お店は無くなったんじゃないんでしょうか?」
「大丈夫、大丈夫そりゃ無い、無い絶対に無い」
ゆうすけは、顔の前で手を振った。
「何で、ですか?」
「いやぁだってあそこ俺の店だし、」
「ええ?ゆうすけさんって店を経営してるんですか?」
「う~ん経営っていうかそうだなぁ~なんて言えばいいのか……言ってみれば分かるよ。」
そう言ってゆうすけは、躊躇いもなく、歩き始めた。約五分程歩いていると、ボロボロの、定食屋の前に着いた。看板は、「美味い安い早い!!」と書いてるだけの、物でどこにも店名は無かった。
「え~と、これがゆうすけさんの言っていたお店ですか?」
恐る恐る店を、指さした。
「あぁそうだけど、何か問題でも?ボロボロなのは、外見だけだから大丈夫だ。」
そう言ってゆうすけは、扉を開けた。ゆうすけが言った通り、中はかなり豪勢なものだった。シャンデリアに、ろうそく型のランプに、スーツ姿の店員が何人か立っていた。
「凄い」
瞳は、ただ感嘆の声を漏らした。
「此処は、俺が以前一緒に住んでいた奴らと、一緒に建てた店だ。」
ゆうすけは、一人の店員を捕まえて、
「すまないが、地下のあの部屋を貸してくれないか?」
そうすると、定員が「かしこまりました」と言いゆうすけ達を、カウンターの裏にある扉へ連れって行った。店員が、扉を開けるとその向こうには、中世の城の様な煉瓦が敷き詰められた下りの螺旋階段が広がっていた。壁の側面では、ろうそくが揺らめいていた。そのまま階段を下り続けると、最下層に着いたその目の前には、部屋がいくつもある廊下が広がっていた。ゆうすけ達はその内の一つの部屋に入った。二人とも、椅子を引いて座った。
「で、どうしようか何を食べる?」
「私は、ゆうすけさんと同じので、」
「それで良いのか?良いなら、う~んじゃあこの、ハンバーガーセットを二つかな……」
店員は、「かしこまりました」とだけ言い部屋の向こうに消えた。
「やっと二人きりになれたな。」
その言葉を聞いた瞳は、顔を赤面させて俯いた。
「どうしたんだ?顔が真っ赤だぞ?熱でもあるのか?」
ゆうすけは、自分の前髪を右手で上げ、瞳の前髪を左手で上げ額と、額をくっ付けた。その距離目測で約3㎝を切っていた。
瞳は、さらに赤面した。
「うわっち大丈夫か?すごい熱だぞ?今から病院でも行くか?」
ゆうすけは、少しの間瞳の顔を見つめた。瞳は、顔を逸らして、
「いえ、大丈夫です。も、問題ありませんただ少し、ここの暖房がききすぎているからだと思います。」
「そうか、ならいいんだけどな。俺は、そうは思わないけれどな。なら、暖房の温度を下げてもらおうか?」
「大丈夫です。服を脱げばいいですから」
「分かった。おっ丁度来たんじゃないか?」
そう言うと、扉からさっきの店員がトレイを持って入って来て、机に置き出て行った。瞳と、ゆうすけは、さっそく包み紙から、ハンバーガーを出して、食べ始めた。
「にしてもこのレストラン?こんなに装飾が綺麗でいかにも高級レストランです。って感じなのに出てくるものは、いたって普通のものなんですね。」
「ああそれは、この店は、何でも頼まれたら出すって方針だからな、ほとんどあるぞ、ほら、今はもうないけれど、アフリカ大陸の養殖の食用虫も食べれるぞ、何なら試しに頼むか?」
そう言いながら、ホロペパーの、芋虫が皿の上に乗った写真を指した。
「いいえ結構です。」
と、瞳が顔をひきつらせて言った。
そうやってゆうすけと、瞳が他愛のない話をしている頃の店の前
「良いんですか?こんなストカーまがいの事して?ばれても知りませんよ?」
「良いって、良いってばれなきゃ何してもいいんだよ。」
「それ、犯罪者のセリフですよ。」
こくこくと、首を縦に振って同意の意を示すショウと、共にユナ、りょうきが壁にこそこそと隠れながら話していた。ユナが呆れながらりょうきと、
「今更ここまでついてきて言うのもなんですが、何でこんな事しているんでしょうか?」
と聞いたら、りょうきは満面の笑みを浮かべながら、
「そりゃもちろん後のいじりの、ネタにするた……ゲフンゲフン。し、心配だから見に来てやったんだよ。」
ユナがぎろりと睨み付けて
「本当ですか?」
と、聞いたらりょうきは、冷や汗をたらたら流しながら、言い訳を始めた。
「いやぁだってさぁ何といっても、面白そうじゃんいじりがいのある二人だし、あ!そうそうこの前の、ショウとのデートも見てたけど、傑作だったな。何たってあのユナが、お化け屋敷に入って半べそ掻きながらショウの上着の裾を握りしめてた時なんてもうほんとさいこ~~に面白かったぞいやぁ何たって……」
ここで、ユナのアッパーがりょうきのみぞおちに入った。
「ぐっ!」
みぞおちを押さえてりょうきは、その場に倒れこんだ。仕返しとばかりに、苦痛に耐えながらりょうきは、話を続けた、
「何だよ、冬にお化け屋敷ってバカなのか?しかもそのあと、ジェットコースターに乗ってまた半べそを掻くって俺を笑い殺す気か?ほんとに、ぐっ」
またしても、言い終わる前に、ユナが、りょうきを殴って黙らせた。今度は、横っ腹に拳を叩き込んでいた。もう一度殴ろうとしたユナを、ショウが腕をもって首を横に振って止めた。そうやって茶番を続けていると、店の中からゆうすけと、瞳が出てきた。
遡る事五分前
「えええええ」
地下の部屋に、ゆうすけの声がこだました。
「マジで?ほ、本当にか?」
「はい本当です。私は、イシュチル社対策部隊の、第一汎用兵装部隊《搭乗型汎用単独走行型兵装》フォーレンスの、メインパイロットです。で、どうだったんです?ゆうすけさんがこの前戦った正規量産型は?」
「すまん、待ってくれ正規量産型?なんだそれ?」
「え~と簡単に言いますと、私が今乗っているのは、先行量産型です。こちらは、実験機として格安で売られており、その代り、未完成だったり、まだまだ未調整の部分もあったり、獲得した戦闘データを、渡す事になっています。で、正規量産型は、かなり値段が張るのですが、先行量産型では、には無かったものが、追加されています。」
「ふ~んそういう物なんだ。」
と、ゆうすけは、ハンバーガーを食べてジュースを飲みながら感心した。
「で、どうだったんです?」
瞳は、目をキラキラと、輝かせながらゆうすけに聞いた。
「そうだなぁなんと言うか宙に浮いていた。宙に浮くためのプロペラを壊したら脚が生えてきたけどな。それと、あれを汎用と呼んで良いか疑問だけれども、本来腕がある場所に砲身が付いていた。まぁ何か外れた後腕が生えてきたけれどそれ以外には……あ!そうそう何か円盤が出てきたぞ!これぐらいかな、俺があげられることと、言えば……うん、そうだな」
瞳は、その話を聞くと何かぶつぶつと、つぶやき始めた。
「懸念されていた汎用性の低下と、移動方法の問題も、解決しているそれに、小型の探査用ボットも配備されている。という事は、単機での殲滅用という事になるのかな、いやでも……」
「それじゃもうそろそろ移動するか?」
いつの間にか包み紙に包まれていた二人のハンバーガーは、無くなっていた。
「それもそうですね。いつまでも、こんなところに居れないですし、どうしますか今から行く当てなんてあるんですか?」
ゆうすけは、う~んと、言いながら考え込んだ。
「特にないかもなぁどうしようか?」
「特に、何もないなら買い物に付き合ってくれませんか?せっかく都心まで、出て来たんですから。」
「うんいいよ。で、何処に行く?」
「服の買い物でもいいですか?後ゆうすけさんの生活用品などもいるんじゃ、ありません?」
「そうだな、俺はそういう所わかんないから連れっててくれ」
こうして、ゆうすけの長い、長い半日の後半戦が始まった。
投稿が遅れて本当にすみません。
9月投稿と言っておきながらここまで伸びて……お詫びとして二話連投します。




