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【完結】ある日まったく関係ない俺が突然貞○的な怨霊に殺されたので、俺も幽霊になってリベンジやってみます!  作者: 小野兄子


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ラウンド8『失望と希望』

【前回まで】


瑛人を殺した犯人は『トミヨ』と言う生前は霊媒師の怨霊だった。

トミヨの呪いの脅威は暴走し続ける。

霊界にも、そして一人残した恋人の涼子にも……

強力な怨霊が自我を持って霊界に来た ーー


この役人たちの慌てふためいたさまは、

死人たちに一層の異常さを与えた。


また(・・)殺されるかもしれない!!」


想像以上のスピードで噂が伝染し、皆が震えた。



瑛人たちはと言うと前川から借りた生前の『トミヨ』に関する資料を見ていた。


「霊媒師とか嘘くさいよな?」


竹中が半笑いを浮かべるが、

冷や汗をかいている冬子はあくまで冷静だった。


「でも実際にここまで自分の意思で来れている以上は『トミヨ』は……"本物"と見るべきです……」


瑛人だけは無言で資料を眺めている。


「間宮……」


竹中は瑛人がどこの文字を見て、何を考えているのかがわかった。


(トミヨの死んだ場所と俺が殺された場所はすぐ近くだ……涼子が危ない……)


トミヨが現れた場所は瑛人の自宅から数百メートル先の路地、つまりこうしている間にも恋人の涼子が自分のように怨霊の手にかかり、今にも殺されるという危険性をはらんでいた。


「決めた……!」


瑛人は立ち上がり、自分を鼓舞するようにけしかけた。


「トミヨは刺し違えても俺が止める!」


「瑛人さん……」


「間宮……俺たちに出来ることがあったら言ってくれ。その代わり俺は喧嘩は弱いからな?」


少し笑って竹中と冬子も立ち上がった。





前川のところに向かう途中、冬子は閃いたように言った。


「瑛人さん、もしよければトミヨ対策は私たちで聞きますから、涼子さんのところに行ってみたらどうですか?」


「えっ?」


「A子の家に行った時に思ったんですけど、

A子に私の声を聞かせられたってことは……

涼子さんにも声を届けることは出来るのかな?って」


それについては竹中が詳しかった。


「いや、前川さんの話だと『怨み』を晴らすって時だけは相手に声を届けられるけど、

それ以外は『霊感』がないとダメらしいぞ?」


竹中は「それでも」と続ける。


「もしも、ってこともあるし。成仏する前に一度くらい生きてる恋人に会ってもばちは当たらないんじゃないか?」


「………そうだな……」


瑛人が立ち止まった。


「みんな……ごめん!俺……行ってくる」


瑛人は『外出許可』の窓口に向かった。





いつものバスから降りた瑛人が見た光景は、

当然ながら生きていた頃となんの変わりもないただの住宅街だ。


遠くに浮かぶ環状線 ーー


ランニングをする老人たち ーー


母と手を繋ぎ帰宅する親子連れ ーー


つい数日前までは人間としてここにいた、

そんな感傷に少し浸りながら自宅へと入った。


自宅の中に入ると夕方というのに電気は消えており、代わりにテレビの光だけが部屋を照らす。

よく見ると床にゴミや服が散らかっていた。


綺麗好きな涼子は、同棲してからゴミ一つない部屋を維持していたため、

瑛人は最初「自分の部屋を間違えたか?」と思ったくらいだった。


しかし、その涼子がソファに力無く横たわっている。


涼子のスマートフォンに通知が光るが、特に反応もせず、興味がないのか手に取らない。


まるで魂が抜けた涼子に、

瑛人はなんて声をかければいいかわからない。

そもそも声をかけても自分に気づくのか……?


その時、騒がしくニュースが始まった。


一報目で流れたのは、まさにトミヨが引き起こしている連続不審死事件についてだった。


テレビには瑛人、瑛人よりも先に殺された暴力団の男、そして新たな犠牲者として佐伯の顔写真が映し出された。


ガバッ!!


涼子はまるで取り憑かれたようにテレビの前に進み、テレビにかじり付く。


「瑛人……瑛人……」


涼子は画面に映る瑛人の顔写真を指で触れながら、

泣き崩れてしまい、顔を上げることが出来ない。


見下ろす瑛人はふと涼子の左手を見た。

殺された日に渡そうとした指輪をつけている。


瑛人はその指輪を見ただけで、

自分が死んだ後の残された涼子の数日間と、

抱えた虚しい気持ちをすぐに察し、

瑛人もポロポロと涙が止まらなかった。



その涙は涼子の頭上に当たる。



「……?」



涼子は何かを感じて顔を上げた。



「瑛人……いるの?瑛人!?」


(涼子…!?)


「涼子!!俺だ!ここだよ!ここにいる!!」


瑛人は叫んだ。

しかしその声は涼子には届かない。


(クソ……こんなに近くにいるのに……!)


「………うああぁぁっ……ああっ!!!!」


瑛人は決して涼子には届くことのない声なき声を張り上げたあと、瑛人はしゃがみ込み、しばらく立ち上がれなかった。


(そろそろ……30分経つか……)


涙を拭いながらも冷静にその場を立つことを考えた時に、ふと足の下に当たる違和感を感じた。


かつて生きていた頃に使っていた、

瑛人のスマートフォンだった。


液晶は割れているが、

まだ解約をしておらず使えそうだった。


瑛人は試しに涼子に素早くメッセージを入力してその場から立ち去った。





しばらく一人で部屋を徘徊するように涼子は、

寝室、トイレ、風呂場、洗面所など…

瑛人の幻影を探したが当然瑛人はいない。


「……ふふふ……頭おかしくなったのかな私……」


リビングに戻った後、

自分のスマートフォンをようやく手に取ると、

口元を抑えてしゃがみ込む。


「うそ……瑛人!?」


涼子は発狂するのを抑えながら、

『死んだ瑛人』から届いたメッセージを読んだ。


読み終わると涼子は天井に向けて呟いた。


「瑛人……やっぱり……ここにいたんだ……」


手元からスマートフォンが床に転がり落ちた。



" 明日まで絶対にあの道には来るな。明日、俺を殺した犯人を俺が必ず倒すから。

それまでは来ちゃダメだからな? "


これが瑛人からの最後のメッセージだった ーー


【次回予告】


決意新たに霊界に戻った瑛人はトミヨとの対決を明日に控える。

トミヨをどうやって倒すのか!?


※最終回まで残り3話!!ぜひともお見逃しなく

次回更新 7月20日 予定

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