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【完結近し/毎日更新】ある日まったく関係ない俺が突然貞○的な怨霊に殺されたので、俺も幽霊になってリベンジやってみます!  作者: 小野兄子


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8/10

ラウンド7『トミヨのこと』

【前回まで】


怨霊に殺され復讐を誓っている瑛人。

だが、その怨霊の被害はとどまることを知らない。

そしてその怨霊の名前がわかった……

ーー 木根崎きねさきトミヨ


霊媒師時代は巫琴みことと名乗るこの女性は

昭和31年6月13日に関西の港町K市で誕生した。


両親とトミヨの3人家族で、

父は公務員として勤務しており、なに不自由ない暮らしを送っていた。


彼女に転機が現れたのは14歳の夏だった。


夏休みになり、心霊スポットと噂された廃病院に数人の同級生と足を踏み入れた。


その病院は戦前に日本陸軍臨時病院として建てられた。


大東亜戦争末期に突入すると大空襲により、

不幸にも治療中の兵士と共に医師も巻き込まれ、

ほぼ全員が焼死したと昭和史に記載されていた。


そこに踏み込んだトミヨが見たのは、

まさにその兵士たちの霊、つまり怨霊だった。


える……』


それが彼女の一生を決定付けた。


高校卒業と同時に父の言葉を聞かず家を飛び出した。

向かった先は東京で、霊視や占いなどを稼業とするが、当然最初は食うに困り飲食店でアルバイトの掛け持ちなどをしていた。


客が残した残飯をかばんに詰め込み、

暗く薄汚いアパートで一人それを貪りながら


(いつか必ず…!)


と、不衛生な野心を溜め込んでいた。


そんな矢先にある男がトミヨを訪ねた。

その男の相談が何かを、視てすぐにわかった。


トミヨを禍々しく睨みつける少女の怨霊が男の肩にしがみついていた。


「なにか悪いことが立て続けに起こっていますね?

そして左肩が重い…のでは?」


男はまだ相談前にもかかわらず、

医師からも原因不明と言われたら重い肩こりと、

立て続けに起こる身内の不幸を瞬時に見抜かれ、

大いに驚き感動した。


すぐに除霊を行いその怨霊は成仏した。


この男の正体はかなり資産家で財界、そして政治家と強いつながりがあった。

その伝手つてで、トミヨは一気に霊媒師としてのスターダムへと駆け上がった。


古くから政治家と霊媒師は切っても切れない関係にある。



『見えない未来』を『見える誰か』に頼りたい ーー



時に予測不可能な政治の世界において、

あらゆる情報をもってしても究極の2択を迫られる。


その2択のひとつは『成功』、

もう一方は『破滅』と言う極端な選択だが、

置かれた責任の強さに比例したその重圧は、

我々国民には計り知れない悩みかもしれない。


そのため、遡れば縄文時代、そして平成が終わるまで時の権力者たちは、自然と霊媒師を求めた。


その頃からトミヨは巫琴みことと名乗った。

巫琴みことの的中率はすさまじく、

ついには巨大政治家の専属顧問となった。


巫琴みことの舌先ひとつで政治が動く興奮は、常人には到底理解が及ばないだろう。


オーガズムを遥かに超える権力の快楽に、

巫琴はすっかりと酩酊し、陰と陽に工作して同業を追い出し、永田町を独占した。


その心地いい酔いは突如として終わる。


トミヨの足腰が悪くなった晩年にそれは訪れた。


官僚を巻き込んだ裏金問題が10年前に起こり、これに絡んだのがトミヨだと事情通は噂し始めた。


後手にまわるトミヨの"お告げ"はことごとく悪手あくしゅを重ね、とうとう最大顧客の大物議員逮捕を皮切りに、数多のクライアントが徐々にトミヨと距離を取り始めた。


更にはSNSが普及したことでトミヨと逮捕された大物政治家の関係が広まることとなり、

悪名を一身に浴びたことが没落の決定打となる。


その後トミヨはあらゆる資産を売りに売り、

それでも数年後に破産にまで転落してしまった。


追い討ちをかけるように各業界にいた顧問霊媒師たちは、客観的事実に基づくAIの台頭によりその座を奪われてしまった。


簡単に言えば宗教は科学の力に負けた。


自分の未来もさることながら、

霊媒師という業界の未来も見通せなかったのは、

落語の皮肉おちと言っても過言ではない。



こうして世間から大笑いされたトミヨの持ち物は「過去の栄光」と「人への怨み」だけとなった。


(私を失墜させたマスコミ、官僚、政治家、私を嘲笑ったすべての連中……そして!)


私にごうを背負わせた怨霊すべてが憎い!


━━━━━━━━━━━━━━━


その頃から自らの死と、

その死後の世界に本格的に興味を持ちはじめた。


ーー 霊界の行き


ーー 怨霊としての生存方法


ーー 呪いによる人間の殺した方



その全てを会得えとく出来たことを考えると、トミヨは確かに本物の霊媒師だったかもしれない。



そしてその日は訪れた。



自宅の小さなアパートで静かに首を吊った。

トミヨがまだ『人』であった最後に見た景色 ━━


それは、かつて高層マンションから見下ろした時には決して見えなかったであろう、

この細い道を通る幸せそうな者たちの笑顔だった。




『ここを通る奴らは皆んな呪い殺してやる!

全員殺してやるわっ!うひゃ…っはっはっ……」




ゴキッ




「……っ……ぅ……………… ……… …… …




瑛人がトミヨのアパート脇を横切る、

わずか5日前の出来事だった ━━


【次回予告】


最終局面突入!!

トミヨの被害を食い止めるため、戦う準備をする瑛人。


次回投稿 7月19日 予定


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― 新着の感想 ―
普通に怖いんですけど(笑)…… 本当にある話なんですか?
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