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あなたとならなのに  作者: 悪徳渋助
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話の続き4

ぶつ切り防止のため、最初の一行は、前回投稿の最後の1行とかぶっています。

 仕方ないので、楠橋くんのためにどこかいいデートスポットはないか考えてみる。


 確かにこの街にはあまり行くべきデートスポットはない。海はある。でも、汚いし高校生受けするようなところじゃない。山はある。でも山なんて高校生カップルからしたら、でくのぼうだ。


 動物園はあるけど通学路に面しているし、楠橋くんならもう行っているだろう。戸澤さんも楠橋くんも動物が好きそうだし。

 

 テーマパークは大阪まで出ればあるけど、どうなんだろう。電車で1時間もかからないけど。神戸に住む私たちは何かあれば三宮に繰り出して、買い物やら暇つぶしをして、たまに梅田で三宮とは桁違いの人の多さに酔う。


「水族館はいったの?」


「この前行ったよ」


 楠橋くんは今楽しかったこの前の水族館デートを思い出しているのだろう。楠橋くんは幸せそうだ。ああいいなあ。男とは本来こうあるべきなのだなあ。なんて、道を歩く人は楠橋くんをそう見るに違いない。こんなんだとフラれた時が心配だ。衰弱して死んじゃうかもしれない。


「そうそう、戸澤さんと水族館に行った時なんだけどさ」


楠橋くんは楽しそうに話し始める。


「うん」


私は今日の楠橋くんはこんな感じなのねと思いながら話を促す。


「どうなってそうなったかは忘れたけどきゅうりの話題になったんだ」


きゅうりの話題ねーと思いながら私は聞く。国道を超えた先に駅はある。私たち

は歩道橋を登る。


「それでさ、きゅうりって95%が水分だから栄養がほとんどないんだよ。だから、食べれば食べるほど、咀嚼と消化とかのエネルギーの方が大きくて飢えていくんだよって言ったんだ」


「へー楠橋くんって結構物知りなのね」


私は少し楠橋くんを見直す。


「まあ、俺の話はいいんだよ。そしたら戸澤さんがね、なんて言ったと思う?」


なんだかアメリカンジョークを話す人みたいな口調だなぁなんて思いながら私は

「なんて言ったの?」と聞きかえす。


「戸澤さんは『だから河童は滅んじゃったのかなあ』って言ったんだよ。戸澤さんって平和だよなあ」


楠橋くんの平和だっていう感想が面白くって私は笑ってしまう。彼は今の話が面白かったっと思ったらしく満足そうだ。


 戸澤さんは本当に平和な人だと思う。クラスが同じなら友達になれたかもしれない。それにしても河童が滅んだって考え方もへんてこだし、河童がきゅうりが好きだからってそんなコメントは中々できない。いいセンスだと思う。私にもそう言う可愛いセンスがあればいいのにと思う。


「戸澤さんと楠橋くんってなんかいいね。名コンビだね」


私は素直にそう言った。楠橋くんは素直に照れ笑いをした。


 そこから色んな意見を出し合った。神戸の夜景はどうかなって私が言うと、楠橋くんは戸澤さんの門限が7時までだから、微妙だといった。楠橋くんが温泉とか行きたいって言ったけど、二人では入れないなら楽しくなさそうだし、二人で入るのは淫靡でやな感じって私が言ったので、楠橋くんの温泉案はうやむやになった。


 そうやってああでもないこうでもないと話し合っていると、駅に近づいてきた。駅の手前、昔よく遊びに行っていた双葉ちゃんのおじいちゃんのおうちが見えてきた。平屋でちょっと広くて縁側でよく三人でトランプをやったのだ。双葉ちゃんというのは小学生の時からよく遊んでいた友達で高校が変わってからはあんまり遊ばなくなった。

 

 双葉ちゃんのおじいちゃんちはいつも玄関の鍵が開いていて、勝手に入ることができるのだ。それで、よく勝手に入っていって、双葉ちゃんがいない時はおじいちゃんと将棋をして遊んだ。中学校の時は双葉ちゃんと寄って帰ることもあったし、ひとりで将棋をさしにくることもあった。

 

 私はなんだか、もう学校なんてサボって、鍵の開いたいる玄関からただいまって言って入っていって、おじいちゃんと将棋を打ちたい気分になった。多分おじいちゃんは今新聞を読んでいるだろう。 

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