話の続き24
前回投稿内容↓
「花の女子高生って?」
原田さんは察し悪くそう聞きなおす。
「私です」
「あー」
ようやく意味を理解して、原田さんは小さく笑った。
「そういえば、友達のカップル。どうなったの?」
原田さんがそう聞いたので、私はつい先日聞いた話を思い出した。
楠橋君ったら、久しぶりに電車が同じになったかと思うと、またもや、意味不明の報告をしてきたのだ。
「楠橋君!! それがあの二人ってば、隠れ家的レストランでランチしたかと思うと、今度はモデルハウスの見学に行ったんです!! デートで!! あり得なくないですか? 一緒に住む気かって、朝から呆れちゃいましたよ」
「それは、ほんもののモデルハウス? 民家じゃなくって?」
原田さんは前回の悪戯を踏まえて、そんなことを言った。
「あはは、違います。私、何にもしてないです。彼らが自主的に行ったんです」
「ラブラブなんだね」
「ラブラブでもいけません!! 高校生がモデルハウスの見学なんて、言語道断です!」
私は張り切ってそう主張した。
最寄りの駅から四つ隣の駅に、ショッピングモールがある。昔はプロ球団の本拠地だったみたいだけど、その球場は跡形もなく、ショッピングモールになってしまった。
その道路を挟んで向かいに、モデルハウスがたくさん並ぶ場所がある。楠橋君と戸澤さんは、わざわざ電車に乗って、モデルハウスの見学に行ったのだ。
モデルハウスというのは、当たり前だけど、家を買う予定のある人が行くものだ。大人のカップルなら、「仕事がひと段落したら、結婚してこんな家を建てよう」ってな感じで、いいデートになるかもしれない。
だけど、高校生がモデルハウスの見学をして、いいデートになっちゃ、いけないのだ。買うお金もないのに、スーパーで試食し歩くカップルと変わらないじゃないか。
「でも、彼らの気持ちも分かるよ。モデルハウスって結構楽しいんだよ。買う気がなくても、ふらっと行って、綺麗で開放的な家だなあって、あれは美術館に行くような感覚だね」
原田さんはやっぱり、楠橋君の肩を持つ。
「そうですけど、やっぱりなんというか、生意気です!! 高校生のくせに一軒家の下見ですよ? 身の程知らずです」
私は諦めずにそう主張した。
「生意気だけどね。いいんだよ。二人で楽しめるところだったら、どこでも」
「まあそうですけど……」
私はそこで重大なことに気が付いてしまった。
「あの……私って嫌な女ですか? 他人のデートに、ああだこうだ言って……」
それほど悲観したわけじゃないけど、口に出してみると、なんだか落ち込んで
るような響きを帯びて、原田さんを困らせてしまうな、と反省した。
「ううん、河原さんの気持ちもよくわかるよ。高校生がモデルハウスの見学だなんて、おかしいもんね」
原田さんは優しく、そうフォローしてくれた。
「ですよね」
私は笑いなおすことが出来た。
原田さんは大人の男の人だ。驚くときも、ちょっとだけ余裕があって、本気で驚いたりしない。私が変なことを言っても、上手くフォローしてくれる。楠橋君とは真逆も真逆で、比較するような二人じゃないんだけど、そんなことを考えてしまう。
コーヒー一杯分の談笑をして、私は福井店長のカップと、三人分のカップを回収して、食器を洗うことにする。
書きだめ切れました。
明日からはその日に書くことになります。
もしかしたら、投稿できない日もあるかも。




