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あなたとならなのに  作者: 悪徳渋助
26/30

話の続き24

前回投稿内容↓


「花の女子高生って?」

原田さんは察し悪くそう聞きなおす。

「私です」

「あー」

ようやく意味を理解して、原田さんは小さく笑った。

「そういえば、友達のカップル。どうなったの?」


 原田さんがそう聞いたので、私はつい先日聞いた話を思い出した。

 

 楠橋君ったら、久しぶりに電車が同じになったかと思うと、またもや、意味不明の報告をしてきたのだ。


「楠橋君!! それがあの二人ってば、隠れ家的レストランでランチしたかと思うと、今度はモデルハウスの見学に行ったんです!! デートで!! あり得なくないですか? 一緒に住む気かって、朝から呆れちゃいましたよ」


「それは、ほんもののモデルハウス? 民家じゃなくって?」


原田さんは前回の悪戯を踏まえて、そんなことを言った。


「あはは、違います。私、何にもしてないです。彼らが自主的に行ったんです」


「ラブラブなんだね」


「ラブラブでもいけません!! 高校生がモデルハウスの見学なんて、言語道断です!」


私は張り切ってそう主張した。


 最寄りの駅から四つ隣の駅に、ショッピングモールがある。昔はプロ球団の本拠地だったみたいだけど、その球場は跡形もなく、ショッピングモールになってしまった。


 その道路を挟んで向かいに、モデルハウスがたくさん並ぶ場所がある。楠橋君と戸澤さんは、わざわざ電車に乗って、モデルハウスの見学に行ったのだ。


 モデルハウスというのは、当たり前だけど、家を買う予定のある人が行くものだ。大人のカップルなら、「仕事がひと段落したら、結婚してこんな家を建てよう」ってな感じで、いいデートになるかもしれない。


 だけど、高校生がモデルハウスの見学をして、いいデートになっちゃ、いけないのだ。買うお金もないのに、スーパーで試食し歩くカップルと変わらないじゃないか。


「でも、彼らの気持ちも分かるよ。モデルハウスって結構楽しいんだよ。買う気がなくても、ふらっと行って、綺麗で開放的な家だなあって、あれは美術館に行くような感覚だね」


原田さんはやっぱり、楠橋君の肩を持つ。


「そうですけど、やっぱりなんというか、生意気です!! 高校生のくせに一軒家の下見ですよ? 身の程知らずです」


私は諦めずにそう主張した。


「生意気だけどね。いいんだよ。二人で楽しめるところだったら、どこでも」


「まあそうですけど……」


私はそこで重大なことに気が付いてしまった。


「あの……私って嫌な女ですか? 他人のデートに、ああだこうだ言って……」


 それほど悲観したわけじゃないけど、口に出してみると、なんだか落ち込んで


るような響きを帯びて、原田さんを困らせてしまうな、と反省した。


「ううん、河原さんの気持ちもよくわかるよ。高校生がモデルハウスの見学だなんて、おかしいもんね」


原田さんは優しく、そうフォローしてくれた。


「ですよね」


私は笑いなおすことが出来た。


 原田さんは大人の男の人だ。驚くときも、ちょっとだけ余裕があって、本気で驚いたりしない。私が変なことを言っても、上手くフォローしてくれる。楠橋君とは真逆も真逆で、比較するような二人じゃないんだけど、そんなことを考えてしまう。

 コーヒー一杯分の談笑をして、私は福井店長のカップと、三人分のカップを回収して、食器を洗うことにする。

書きだめ切れました。


明日からはその日に書くことになります。

もしかしたら、投稿できない日もあるかも。

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