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あなたとならなのに  作者: 悪徳渋助
27/30

話の続き25

前回投稿内容↓

 

 コーヒー一杯分の談笑をして、私は福井店長のカップと、三人分のカップを回収して、食器を洗うことにする。

「そういえば、原田さん、お客さんから演劇のチケット貰ったんですけど、誰かといきませんか?」


福井店長が原田さんにそう聞いた。


「誰かって?」


「彼女とか、ガールフレンドとか」


福井店長はあっさりそう言った。


なんて答えるんだろう。私は耳をそばだてる。


「彼女もガールフレンドもいませんよ。河原さんにあげたらいいじゃないですか。彼女、クラスの男の子と行きますよ」


 その時、私は、地面にへたってしまうかと思うくらい、安心したような、嬉しいような、全身から力が抜けて、どこからともなく、喜びがあふれてきた。


 原田さんは今、独り身なのだ。誰かと手を繋いで歩く休日も、大人びた女性と唇を重ねることもない。私はそんな原田さんを想像しなくてすむのだ。


「チケット二枚あるんだけど、誰かと行く?」


福井さんが私にそう聞いてくる。


「私も、ボーイフレンドも彼氏も居ません」


嬉しくってうきうきしながらそう答えた。


「じゃあ、二人で行って来たらいいよ」


福井さんがそんなことを言う。


「ん。河原さん、演劇見に行く?」


原田さんも異論はないようだ。


 なんという展開……福井店長から、後光が差している。福井店長は思い付きで何にも考えず喋っちゃう人だから、こういったミラクルが起こるのだ。常識のある人はバイトの女子高生と、常連客に「二人で行ってきなよ」ってそんなことを言ったりしない。


 私は舞い上がっちゃいそうになったけど、ここであんまりはしゃぐと、なんだか子どもっぽいので


「いきましょうか」

なんてクールに答えた。実際は死ぬほど、ドキドキしていた。

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