話の続き16
投稿遅れてすみませんでした。
今週とても忙しく、先週の土曜日に借りたDVDが全く消化しきれず、それを徹夜で見ていたら、すっかり投稿のことを忘れていました……
日曜日の分は、12時間後くらいに投稿したいと思います。
おじいちゃんはそう言って歩を4つつまんで手の中で軽く転がして、投げる。
歩が三つ、「と」がひとつ。おじいちゃんが先手だ。
「先手どうぞ。それで?」
「一週間分買いだめてあったのと、ちょうどOB会の帰りに隣の土居さんから野菜ももらったしの」
「へー奇跡的に食材も豊富だったのね」
おじいちゃんが機転をきかしたみたいだ。
「そりゃ、彼女を前に、男の子に恥をかかすようなことはできんじゃろ。普通は、普通はな」
「たしかにそうだけど、料亭の味なんてよく出せたね」
普通じゃない私を少しだけ責めるような言い方をする。私だって、今はちょっとやりすぎたと思ってるし……
「料亭の料理だと思って食べるから、料亭の味のように感じるじゃろ。それに、わしは、昔から料理は得意じゃし、青少年のためには一生懸命腕を振るうもんじゃ」
「なるほどね」
私は真実を聞いて、ちょっと拍子抜けする。おじいちゃんが機転を効かせただけで、別に驚くような真実が転がっていたわけではなかった。
「でも、普通の民家で食事してるなんて。思わないもんね」
私はくすくす笑う。
「普通は思わないじゃろうな」
おじいちゃんも笑いながら駒を動かす。
「でも、高校生のくせに隠れ家的レストランでランチってちょっと生意気じゃない?」
「隠れ家的レストランじゃなくて、ただの民家じゃて」
「そうなんだけど、本人たちは隠れ家的レストランで食事した気分なんでしょ?」
「したいことを堂々としたらよろしい。生意気だとか身の程知らずだとか、そういうことを考えない方が健全に生きていけるんじゃよ」
「うーんたしかにそうなんだけどさー」
おじいちゃんの言ってることはわかるけど、やっぱり、高校生のくせにって思わなくもない。
「だから、ただの民家でよかったじゃないか。生意気じゃけど所詮は民家じゃ」
「うん、まあそうだね」
私はおかしくなってヘンテコな手を打った。おじいちゃんも隙をついて責める気もないらしく、へんてこに囲いを固めた。
「ひーの方は彼氏はおらんのか?」
おじいちゃんがそう言って駒を進める。
「うーんと、うんまあそんな感じかな」
私は極めて冷静に答える。桂馬にトドメをさそうと歩を置く。
「そりゃ二歩じゃ」
「あ、ほんとだ。たんまたんま」
「動揺しとるのか」
おじいちゃんは笑いながら私に歩を返す。
「勝負は盤の中だけにしてよ。多感な時期の少女に、達観した老人が心理戦とか卑怯だってば」
「心臓の弱い老いぼれの家にカップルを送り込んでくる者に言われたくはない」
売り言葉に買い言葉で、そんなやりとりが続く。
ちょうど一年前に書いた作品です。技術的な面はもちろん今より下手ですけど、何が描きたいのか、という点では、今の僕よりもよくに見えているような気がします。
当時の僕、凄いですね。初心にかえって頑張ります。




