第8話 成長の証
夜になり、母親が凌に声をかける
「暗いんだから、玲奈ちゃんたちを送ってあげなさい」
「えっ……。いや、でも」
凌は躊躇した。
「何かあったら危ないじゃない。男の子でしょ?」
「分かったよ」
優花が声をかける。
「じゃあよろしく~!」
「はいはい」
玄関から3人の女子高生が出ていく。
しかし、凌は裏口へ。
美月が笑う。
「何で裏口から出てくるの?」
「……いや、いつもこっちからだから」
「クセになってるのね」
優花にまで笑われた。
女子高生3人組が笑いながら夜道を歩いていると、男子高校生らしい2人組に絡まれた。
「ちょっとそこの君たち~。今、暇?」
「どこに行くの? 俺たちも一緒でいいかな」
もちろん玲奈も美月も相手にしない。
「間に合ってます」
「他をあたってくださーい」
しかし、相手はなかなか諦めない。
ようやく後ろから追いついた凌が声をかける。
「すみません、僕たち急いでいるんで。またの機会にお願いします」
男子高校生たちは目に見えて動揺した。
「なんだ、男がいたのか」
「なら、いいや」
そう言いながら、あっさり離れていった。
むしろ驚いたのは玲奈たちだ。
「えっ?」
「……あれれ?」
3人は凌を振り返る。
「今の……すごく頼もしかったんだけど」
「リョウくんがいたから引き下がったんじゃない?」
凌も肩透かしをくらったみたいな表情だ。
「別に、ただ声をかけただけなんだけどな」
優花が尊敬の眼差しで凌を見つめる。
「こういう時に守れるのが男らしさってやつじゃない?」
「いやいやいや。そんなつもりじゃないから」
謙遜する凌に美月までが賞賛の声をかけた。
「ふふ、でも頼もしかったわよ」
「マジか……」
まさか、自分が守る側になるなんて!
ほんの少しだけ、凌に自信が芽生えた瞬間だった。




