第2話 ゲームのルール
ゲームのルールはこうだ。
舞台の中央に聖桜女学院のマドンナが座る。
周囲には他校から参加する男子たち。
まずは全員がマスクを着けたまま体力勝負。
最初から顔面偏差値で差がつくのを防ぐためだ。
ここで何人かが脱落する。
次に1人ずつマドンナと会話。
終わったらまた数名脱落。
最後にマドンナと英語でやり取り。
そしてマスクを取った状態で、マドンナが最終的に1人を選ぶ。
「英語で話すとか、マスク取るとか……それ、公開処刑じゃん!」
「いいの、いいの。私たちが特訓してあげるから」
玲奈はまるで他人事だ。
「オレ、もう逃げ出したくなってきた」
だが母親まで焚きつける。
「凌くん、行ってマドンナを射止めてきなさい!」
こうして特訓開始が決まった。
担当は、玲奈が体力アップ、優花が外見改善、美月がトーク力強化だ。
翌日の放課後。
校門前に、やけに低いエンジン音が響く。
「リョウ〜! 迎えに来たよー!」
振り向けば、玲奈の車が校門前にピタッと横付け。
助手席の窓がスッと下がる。
「ほら、乗って!」
「……これ、本当に乗って大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫! 免許取ったし」
「いつ?」
「先週」
「秒でフラグ立ったんだけど!?」
「はい発進!」
ブォォォォォン!
「うわぁぁぁ!」
車は特訓会場の坂道に到着。
玲奈はやけに笑顔だ。
「じゃ、ここから本番ね!」
「まさか……」
「坂道ダッシュ!」
「……はあ?」
「遅れたら轢くから」
「軽く言うなよ!」
「ほら、スタート!」
ブォォォォォン!
「ギャアアア!」
車がほぼゼロ距離で追いかけてくる。
凌は全力で坂を駆け上がった。
「リョウ、がんばれー!」
「近い近い近いっ!」
「……あれ? 思ったより加速してる」
「聞きたくなかった!」
ゴール直後、凌は横に飛びのく。
「死ぬかと思った!」
「アクセルってこんな敏感なの?」
「もう免許返納してくれ!」
翌日の夕方、玲奈の家の庭。
「さあ、筋トレ行くよ!」
「昨日、命の危機感じたんだけど」
「それとこれは別。まずは腹筋から!」
「1、2、3……はい次は腕立て!」
「マジで息継ぎ欲しい」
「次、スクワット100回!」
「100回って……地獄だ」
さらに翌日。
校門に再び玲奈の車が停まっていた。
「また来たのか……」
「もちろん!」
「今度こそ安全運転で」
「昨日よりは上手になったよ」
ブォォォォォン!
「その発進音が一番怖いんだよ!」
こうして、平穏だった凌の生活は、玲奈たちに振り回される日々へと突入した。




