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第13話 最後の決戦

 最終決戦の舞台にカエルくんとウルトラマンが並んだ。

 マイクを持った瑠華るかが第3関門の開始を宣言する。


「それでは最後の関門、英語でのやりとりです。まずはカエルくんから!」


 詩織しおりが口火を切る。


「So, may I ask you a question?(質問させてもらってもよろしいかしら?)」


 流暢な英語に観客が「おお!」とどよめいた。

 客席にいた美月みつきは思わず心の声が出てしまう。


「……うわっ、完璧なブリティシュ・アクセントだわ!」


 りょう颯介そうすけと戦う前に詩織に位負くらいまけしてしまう。


「……Y-Yes, please…?(えっ、ええ。どうぞ)」


 緊張で声が裏返ってしまった。

 笑顔の詩織が質問する。


「What would you do if you were given one million pounds?(もし100万ポンドを貰ったらどうしますか?)」


 観客たちも詩織に圧倒された。

 ポンド……って、おい。

 ドルじゃないのか?


 焦りながらも凌は何とか答えようとする。


「Uh… O-One million pounds…? Oh… that’s… a lot of money…(えーっと……100万ポンドですね? そいつは……大金だ)」


 しどろもどろの凌に観客席から笑いが漏れる。

 なんとか答える凌。


「I guess… I’d buy… um… a new house?(たぶん、新しい家を買う……んじゃないかな?)」


 詩織が質問を重ねる。


「And where would that be?(何処に家を買うのですか?)」


 凌は汗だくだ。

 もう逃げ出したい。

 言うべき事が何も出てこなかった。


 美月みつきさん、優花ゆうかさん、ゴメン!

 オレはこの程度の男だったんだ。

 マスクの中の眼に涙が滲む。


 厳しい特訓の日々が自然に想い出されてきた。

 美月や和真かずま伯父さん、そして玲奈れなと交わしたやり取りが頭の中に浮かんでくる。


 ――気の利いたトークなんか無理だよ……。

 ――じゃあ、もうやめれば?


 ――なんでマックシェイク?

 ――太宰だざいも言ってるじゃないか。


 ――オレなんかが本気出したって、結局は笑われるだけだし……。

 ――だったら、全力でやって笑われた方がカッコいいと思ってほしいけどな。

  

 その瞬間、凌の心に決意が芽生えた。


 よし!


 同じ笑われるにしても……せめて正々堂々と振る舞ってやる。


「Uh… somewhere close to… a McDonald's?(えっと……マクドナルドの近くとか?)」


 観客からは「あははは!」と思わぬウケを取ることができた。


「はい、ありがとうございました。次はウルトラマンです!」


 瑠華のアナウンスに続いてウルトラマンが登場した。

 全く緊張している様子がない。

 詩織からは同じ質問が出された。


「What would you do if you were given one million pounds?(もし100万ポンドもらったらどうしますか?)」


 ウルトラマンはどこまでも余裕を見せている。


「One million pounds, huh? That’s like… 1.2 million dollars. Sounds nice!(100万ポンドだって? そいつは……120万ドルくらいだな。いいねえ!)」


 こなれたアメリカン・アクセントのウルトラマンに観客たちが驚く。


「I guess I’d buy a yacht… and maybe take you for a ride?(まあ俺だったらヨットを買うかな……そして、君に乗ってもらうとか?)」


 観客席からは「キャー!」という声。

 詩織は続ける。


「Oh? How generous!(まあ? 優しいのね!)」


 ウルトラマンは動じない。


「Well, that’s me.(まあね、それが俺だよ)」


 瑠華が終了を告げる。


「はい、ありがとうございました! それにしてもウルトラマン、素晴らしい英語を披露してくれました。皆さん、拍手をお願いいたします!」


 マイクを持ったままカエルくんを振り返るウルトラマン。


「なかなかやるじゃないか、りょう! お前みたいに必死で努力する奴、嫌いじゃないぜ」


 観客からは「おおお!」「余裕だね」の声が聞こえてくる……



 いよいよマスクを取って素顔を披露する時が来た。

 瑠華が声を張り上げる。


「それでは、マスクを外してもらいます!」


 先に颯介そうすけがウルトラマンのマスクを外した。



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