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火と氷の未来で、君と世界を救うということ  作者: 星見航
第23章:エクアドル・種の起源の島へ【2030年2月10日】
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第359話:極寒の海

挿絵(By みてみん)


「”全なる亡霊”という器は、継承され続けなければならない。次の世代にも、その次の世代にも」

 ルカの言葉が、まるで渦のようにぐるぐると頭の中で駆け巡る。


 全なる亡霊――。

 過去の偉人たちの集団的意識。


 それを有しているのがルカ・ローゼンバーグであり、その継承者こそが目の前にいるカイだった。


 カイが感情を殺した口調で言う。

「覚えているか?”始原の島”で、ルカ()が言ったことを……」


 目の前の空間に、その時の映像が映し出される。


「様々な宗教家の意識が流れ込んでくる中で、やがて私は、根底に流れる”想念”を感じ取っていた。つまり、『人類を救うべき』という、ほとんど脅迫観念に近い信念だ」


 ――そうだ。確かにルカはそう言っていた。


 わたしたちが生まれる前のこの時すでに、ルカ()は『人類の人為的な進化』を想定していたとでもいうのだろうか、いや、あるいは、あらゆる偉人の記憶を受け容れた先に、その考えに至ったのかもしれない。


 ホログラフィック映像が、再び切り替わる。

 今度は、各国の首脳の前で、ルカがこう宣言したときのものだった。


「私たちの共通目的とは何か?それは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に他ならない」


ルカ()にとっては、”人為的進化”もまた、一つの手段に過ぎない。最終的な目的――つまり、人類の生存のためのね」


 **********


 人類の生存――。

 つい、半年前までは、こんなことは一度たりとも考えてみたことなどなかった。


 わたしにとっての、たった二人の親友である、カイと星。

 一人は”人類の進化”によって、もう一人は”宇宙への進出”によって、人類生存への道筋を必死で描こうとしている。


 ただ、どう考えても、わたしのキャパは、人類全体を考えられるほど大きくない。

 だから、目の前にいる大切の人のために、何かをやるしかない。


 けれど、この二人の天才を前にして、わたしなんかにできることなんてあるんだろうか……。


 そんな葛藤を感じ取ったのか、十萌さんが横から声をかけてくる。

「『ファーストペンギン』の話、覚えている?」


 ――確か、こんな話だった。

 確か、極寒の海を前にしたペンギンの群れの中で、誰かが先に飛び込むことで、その後にみんなが続いていく‥‥‥。


「カイさんも星君も、その海に飛び込もうとしているわ。本当にそこに目指すものがあるかは分からないけど、それでもなお、細い希望を伝って。だからせめて私達は、その背中を護りましょう。彼らが、何度でも、何度でも飛びこめるように」


挿絵(By みてみん)

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