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火と氷の未来で、君と世界を救うということ  作者: 星見航
第23章:エクアドル・種の起源の島へ【2030年2月10日】
354/365

第354話:シンクロナイズ

挿絵(By みてみん)


「――ヒナ、なの?」

 わたしが目の前の少女に問いかける。


 彼女はにこりと微笑む。

「ええ、ボディーは別ですけど、心は一緒です。もちろん、リンさんのこともはっきりと覚えていますよ」


「ボディーが別ってことは、前のヒューマノイドボディーを移し替えたってこと?」


「”移し替えた”というよりは、”同期(シンクロナイズ)している”という表現が近いのかもしません。オリジナルのボディーは、変わらずルカ様の島にいますから」


 そう言って、白色の壁面に映像が投影される。

 メイド姿のヒナが、島の世界樹の中の研究室からこちらを見つめている。


「すみません、左眼島(こっち)の生態系の制御(コントロール)と、動物型アンドロイドの統御(オーケストレーション)の関係で、ボディーが一体では足りなくて‥‥‥」


 徐々に思い出してきた。


 ヒューマノイドのボディーに、最新鋭の人工知能がインストールされたヒナは、その莫大な演算能力をもって、島にいる無数の動物型アンドロイドを統べていたんだ。


 それだけじゃない。ドーム内を完璧な気候に保ちつつ、衛星映像からでも見破られないほどの高精度なホログラフィーにより、島全体をカモフラージュしている。


「ヒナの人工頭脳を司っている、量子コンピューターも相当バージョンアップしているようね。生態系コントロールレベルの並列演算処理を、二島同時にできるなんて……」


十萌さんが感嘆の声を上げる。


すると今度は、画面にカイの姿が現れる。

「ああ。環境要因設定に多少手間取ったが、今では問題なく機能している」


 ……ということは、カイ本人はまだ、ポリネシア(むこう)の島にいるということだろうか。


 ――いや違う。


 わたしは、すうっと息を吸って、研究室の奥に向かって声を張り上げる。

「カイ、ガラパゴス(こっち)にいるんでしょ?遊んでないで、いい加減出てきなさい」


 その声に反応したかのように、ぷつっと画面が切れ、奥のドアが開く。

 そこから、見知った姿が現れる。


 金髪に憂いを帯びた緑青色の瞳。

 身を包む白衣よりもなお白いのような肌。


「どうして分かった?」

 カイが、少しだけ怪訝な表情で尋ねてくる。


「何言ってんのよ、長年の付き合いでしょ」

「けど、実は俺の本体は左眼島にいて、このボディーはヒューマノイドかもしれないじゃないか」


 ルカが表情を崩さず言う。

 まあ確かに、これだけ人間離れした容姿であれば、むしろ人型ロボット(ヒューマノイド)だと信じ込む人がいてもおかしくないかもしれない。


 けれど、わたしに迷いはない。

「さっきからだだ漏れしてんのよ、あんた特有の『気』ってやつが」


挿絵(By みてみん)

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