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火と氷の未来で、君と世界を救うということ  作者: 星見航
第23章:エクアドル・種の起源の島へ【2030年2月10日】
355/365

第355話:共鳴進化論

挿絵(By みてみん)


「やはり本当だったのか……。『気が見える』ようになったのは」


「まあ、少林寺で、朱飛と夢華にあれだけしごかれたからね」

 暗闇特訓での厳しさを思い出すと、今でも筋肉が軋みだす。


少林寺(そこ)に、その”操気術”とやらを習得していた修行者は、どれくらいいたんだ?」

「正確には分からないけど、朱飛を筆頭に、少なくても数名、いや十名程度はいたはずよ」


「どうして、それが分かった?」

()()()()()()()()()()()()()だけなんだけど……」


 別に誰かが教えてくれたわけじゃない。特に理論的な裏付けがあるわけでもない。

 文字通り、すれ違った瞬間、そう感じただけだ。


 ――自分で言ってて説得力がゼロだ。

 ロジックモンスターのカイが信じてくれるとは到底思えない。


 けれど、カイの反応は意外なものだった。


 「やはり……か」

 勝手に納得した表情を浮かべると、人差しが空に何かの文字を描く。


 ヴンッと音を立てて、カイの目の前の空中に三次元キーボードが浮かび上がる。

 それを、すさまじい速度で打ち始めると、画面に理解不能な文字列が滝のように流れだす。


 ――この集中モードに入ると、他の人の声は、耳には届かなくなる。


 手持無沙汰になったわたしは、再びあの少林寺での修行の記憶を辿り始める。


「なぜ渡り鳥は、目印も何もない海を正確に飛び、数万キロ先の巣に戻れるかを知っているか?」


 朱飛が自答する。

「人には不可視の特殊な磁気の波が視えるからだ」――と。


 それはそれですごい。

 けど結局、「どうしてほんの一部の人だけに『気』が見えるのか?」という疑問の答えにはなってはいない。


 渡り鳥は、群れ全体が淀みなく、海の向こうの餌場に向かって飛んでいく。

 つまり、個体を超えて、種全体が磁場が見えるように進化しているということだ。


 けれど、『気が見える』なんて人は、現実社会ではまずいない。


 せめて少林寺の修行僧のような、長年特殊な修行をしてきた人ならともかく‥‥‥。

 なんでわたしみたいな凡人が、どうしてこんなことになっているんだろう。


 そんな想いを巡らせている内に、カイの指が止まった。

 同時に、空中に3Dの世界地図が浮かび上がり、その上に重なるように、複雑な数式や、数々の動物の三次元画像が浮かび上がる。


 ちょうどわたし達のいるガラパゴス諸島に、光点が点滅している。

 そこには、サンタクルス島で観た喉の赤いフリゲートバードや、海底で目撃したハンマーヘッドシャークのホログラフィックイメージが動いている。


 ――あれって?


 そんなわたしの質問に答えず、逆にカイが問いかけてきた。


「『共鳴進化論』を知っているか?」


挿絵(By みてみん)

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