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火と氷の未来で、君と世界を救うということ  作者: 星見航
第22章:チェコ共和国・変わり身と城【2030年2月5日】
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第342話:逆転の発想

挿絵(By みてみん)


「ユンと私を同時に救う方法……だと?」

 第二人格(ケルベロス)が茫然と呟く。


 久我教授もまた、焦った表情を浮かべている。

「お、おい、十萌。脳内チップのソジュンへの移植は、難しいと言ったはず……」


「バカね。ソジュンまで危険に晒すような手術を、そもそも私が許すわけないでしょ」

 そう言って、掌サイズのプロジェクターを取り出し、病室の壁面に投影する。


 数コールの後、馴染み深い声が響き渡った。


「リン、ソジュン。久しぶりだな」


 憎らしいほど整った顔と、風に揺れる金髪(ブロンド)

 ポリネシアの秘密の島で別れたはずの、カイ・ローゼンバーグの顔が、そこには映し出されていた。


 *********


「カイ!」

 韓国を発って来、ついぞ聞いたことのなかった、ソジュンの明るい声だった。


 無理もない。

 伝説のハッカーでもあるカイは、ソジュンにとってのヒーローでもあるんだから。


 驚いているのはわたしたちだけではなかった。

 第二人格(ケルベロス)もまた、驚愕の表情を浮かべていた。


「――カイ・ローゼンバーグ……。まさか、あの選ばれし”神の御子”か?」


 カイの翡翠色が混じった瞳が、氷のように冷たくなる。


 ――そうだった。

 (カイ)は幼いころ、教祖とやらの指示て誘拐され、洗脳を受けそうになっていたんだった。


 カイは、初対面の久我教授に挨拶をすると、こう切り出した。

「事情は十萌さんから聞いています。久我教授の術式と、私の技術を組み合わせることで、チップの問題は解決できます。具体的には……」


 その先の説明は、正直、専門的すぎて、英語ではよく分からなかった。

 いや、多分、日本語で聞いても意味不明だっただろう。


 会話が一通り終わると、サラが要約してくれる。


「今回の制約条件は2つなんだ。つまり――」


 ①チップが脳内に存在し続ける以上、教団による遠隔電波攻撃により、脳波障害を引き起こされる可能性がある。


 ②長い間、脳内に埋め込まれたチップを無理やり外科手術で剥がした場合、仮に手術自体が上手くいったとしても、第二人格が消えるだけでなく、主人格であるユンの精神までも異常をきたす恐れがある。


  ここまでは、今までの説明でも何とか理解はできていた。


 ただ、その課題の解決するためのカイの提案というものが、完全に逆転の発想だった。


「私が開発したチップを、新たにユンの脳内に埋めこむのです。そこから発せられる電波により、外部攻撃を阻害(ジャミング)するとともに、脳波加速機能も無効化できます」


挿絵(By みてみん)

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