表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
火と氷の未来で、君と世界を救うということ  作者: 星見航
第22章:チェコ共和国・変わり身と城【2030年2月5日】
340/381

第340話:新たな依り代

挿絵(By みてみん)


「やぁ、また来たのかい?」


 ユンの顔をした第二人格(ケルベロス)が、久我教授の後ろついてきた、わたしとソジュン、そして十萌さんの姿を見て笑った。


 口ぶりは余裕そうでも、さすがにその顔には疲労が見て取れる。

 もしかして、脳への過負荷による頭痛が再発しているのかもしれない。


 そのせいだろうか。

 彼は単刀直入に尋ねてきた。

「それで、君たちは、私にどうしてほしいんだい?」


 十萌さんが、何かを喋ろうとした寸前。


 意外にも、ソジュンが口火が切った。

「それより、一つだけ教えてほしい。あんたにとって、ユンはどんな存在なんだ?」


 第二人格(ケルベロス)は、顎に手を抑えながら少し考える。

「難しい問いだな。彼女は、依り代でもあり、子孫でもあり、そして一部だとも言える」


 ソジュンが声を荒げた。

「そんな答えが欲しいんじゃない。僕が聞きたいのは、第二人格(あんた)にとって、ユンがどれだけ大切な存在なのかってことなんだよ!」


「……それはもちろん大切だよ。依り代たる彼女がいなくなれば、私も存在しなくなるからね」


「それは、自分自身よりも?もし、自分が消えてなくなったとしても、それでもユンを生かしたいと思ってるのか?」


 ソジュンのドストレートすぎる問いかけに、第二人格の目が、初めてギラリと光った。

「それは……脳内チップを切除し、私の自我を消せと言っているのか?」


 今までのどこか達観した態度は消え、声には脅しに近い響きが宿る。


 当然だろう。

 自分を”殺す”手術をしろと言われて、受け入れるヤツなんていやしない。


「ちょ、ちょっとソジュン……」

 思わず宥めようとするわたしの声など、彼には聞こえてはいないようだ。


「あんたの自我は、消えなくてもいい」

 ソジュンがそう言い切った。


「そんな都合のいい方法なんて……」

 そんなわたしの言葉もほとんど無視して、ソジュンは言い切った。


「僕の脳をくれてやる。あんたは、過去の記憶ごと、僕の身体に移ってくればいい」


「はぁぁぁぁぁぁ!?」

 わたしは思わず声を上げた。


 その唐突すぎる提案に、さしもの第二人格でさえも戸惑っているようだ。

「それをして、一体君に何の得があるんだ?」


「損得なんて関係ない!僕はユンの命が助かればいいんだ。それ以外何もいらない」


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ