シギョン③
「もうすっかり日が暮れ始めましたね」
シギョンは夕暮れの城下町を見つめている。
ボクはそんな儚げでどこか覚悟を決めようとしてるシギョンにどう声をかけたら良いか分からなかった。
「自分の番になったら。。。トールの覚悟も分かるモノですね」
「。。。」
「アナタが常勝の神と言われた防衛戦。その時に貰った英雄の紋章はまだ持ってますか?」
ボクは懐から紋章を取り出し、シギョンに見せた。
「これは英雄の証でもなんでもないよ。ボクが見殺しにした罪の証だよ」
「そんなことありません!アナタは配下200人に対して10万の敵国の兵を1週間耐え抜き、王都への進行を一切許しませんでした」
「それでも。。。ボクは199人の戦死者を出してしまった。。。」
「ですが。。。アナタは国民を守りきりました。国王含めて本隊が帰還した時アナタは放心状態で座り込んでいました。あの時何があったか?話せますか?」
「。。。出来ない」
ボクはシギョンの優しさを噛み締めながら、言葉が出なかった。
そんなボクをシギョンは優しく微笑むと頭を撫でてくれた。
「そうですか。いつか話せる相手が現れると良いですね」
ボクは胸が少しだけ楽になる感覚を感じながら身を委ねた。
「今すぐにアナタはココを発ちなさい」
「えっ?」
唐突の強い言葉にボクはビックリした。
シギョンは覚悟を決めた目をしている。
「敵国が宣戦布告をしてきました。明後日にはココは戦火にまみれ。敗れるでしょう。戦火に巻き込まれない内に早くココを離れなさい」
トールに続いて、、、シギョンまで?
ボクの心が追い付かなかった。
それでもボクはシギョンの手を握って口走った。
「それなら、ボクが何とかする!いや、ボクにさせてほしい!」
シギョンは手を両手で握ると優しく微笑みながら涙を流している。
「。。。ありがとうございます」
ボクはシギョンに作戦立案の為に個室と各種資料を要求した。
陽は既に落ちており、長い夜が始まった。




