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勇者パーティを追放された【費消士】、商人と組んで最強に至る  作者: カレーアイス
第三章 ノスバット防衛線
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四十五万 彷徨う死と絶対零度①

 めちゃくちゃ長かったので分けます。

 続きはこの後すぐ。

 風に漆黒のローブが流れ、純白の骨が露わになる。

 鎌は所持していないが、その姿は間違いなくDEATH・WALKERだった。


「だあれ?」

「四天王の一人だ。ミナが(たお)したハズなんだが――」


 ヴァルはすぐそばでその身体が崩れ落ちるのを見た。

 だが……よく思い返してみれば、確かに、一般的な死霊の消え方とは違っていた気もする。


「どういうことだ?」

「第二形態ってやつじゃない?」

「……まあそういうことにしておくか。それより、銃は?」

「あいつが三丁とも持ってる」


 『面倒なことになったな』と、カリバーンを構えた。

 ヘッグは降ろした方が戦いやすいのだが、背負っていた方が安全なので、そのままにしておく。

 所持金は……五十万。

 戦うことを想定していなかったので、適当に使い過ぎた。


 だが、このまま銃を持って行かせるワケにはいかない。

 魔王軍にヘッグのような魔物がいたら、量産されてしまう可能性もある。

 そうなると、銃と銃で戦う近代戦争の勃発だ。


「……ここから先は絶対に通さない」

「ならば、力ずくでも通らせてもらおう」


 緊張が高まる中。

 DEATH・WALKERは骨の手を開いてヴァルにかざし、


「〈YOUR HEART, IN MY HAND〉」


 何かを握るような仕草をしたかと思うと……ヴァルの胸に衝撃が走った。


「ガッ!」

「にちゃ!?」

「だ、大丈夫だ」


 胸に手を当て、二十万で壊れた心臓を修復した。

 いきなり持ち金の四十パーセントを失ったのは痛いが、やらなければ死んでいた。

 何をされたか分からなかったが……あの手がトリガーになっているというのは分かる。


「おかしいな。手ごたえはあったが……」

「ッ!掴まってろよ、ヘッグ!」


 再び手をかざしたDEATH・WALKERの攻撃を躱すため、三万で足を強化して走り出した。

 奴を中心にして、一定の距離を保ちながら走り回る。

 照準が合わないのか、奴は手を降ろした。


 何か違和感を感じつつも、ヴァルはポーチから銃を取り出し、背中のヘッグに持たせる。


「安全装置、外せるか?」

「うん」


 その拳銃には、魔力で持ち主を判別する機構が付いていたが、ヘッグはそれを金属操作で取り除いた。

 乗っているヴァルが疾走していて、揺れている中、彼女はしっかりと照準を合わせ、引き金を退く。


パンパン、パン!


 二発は彼方に飛んでいったが、一発は命中した。

 しかし、聖なる力が宿っていない銃弾は、死神には当たらず、すり抜けてしまう。

 ヘッグは新しく銃弾を作りながら、


「ダメっぽい」

「だよなぁ……」


 手持ちの武器に、死霊に効きそうなものは無い。ヘッグもそうだろう。

 つまり、このままでは攻撃手段が無い。


「とはいえ、このまま銃を持ち逃げさせるワケにはいかない。せめて、銃だけは壊すぞ」

「うん」

「戦闘中におしゃべりとは、余裕だな。〈ICEBERG(アイスバーグ)〉」

「ッ!?」


 急に背筋に悪寒が走り、勘を信じて跳び……氷。

 DEATH・WALKERから凄まじい冷気が放たれ、ヴァル達がさっきまでいた場所に、瞬時に氷山が屹立した。

 さらに、奴は鋭い氷柱(つらら)を数本作り出し、空中で身動きがとれないヴァルに飛ばす。


「〈ICICLE(アイシクル) SHOT(ショット)〉」

「〈スキル強化〉五万〈火花〉!」


ジュッ!


 それに、大金で強化した炎魔法で対抗する。

 地面の氷山も溶かし、安全に二人は着地。そして、即死魔法が当たらないよう、すぐに走り出した。


「あいつ、完全に魔法型になっていやがる」

「当然だ。私は死法のDEATH・WALKER、死法の法は魔法の法だ〈ICICLE(アイシクル) SHOT(ショット)〉」


 DEATH・WALKERは氷柱を飛ばし、ヴァルはそれを走りながら回避する。

 舌打ちしながらも、手を背中に回し……ヘッグから拳銃を受け取った。


「銃の場所は?」

「左脇に抱えてる!」

「いい子だ〈照準補正〉〈武器強化〉!」


ジャキッ! ダァン!


 金で強化した一発。

 銃を破壊するだけの威力は十分に備わっているのだが、


「〈ICEBERG(アイスバーグ)〉」


 そのエネルギーは氷山に奪われてしまった。

 しかし、さすがに銃弾に気をとられている。

 急激に進行方向を変え、DEATH・WALKERに突撃――


「実験といこうか」


 奴は抱えていた銃、AK‐48の一丁を取り出し、ヴァルに差し向けた。

 そして、持ち主判定装置が付いていないその銃の引き金を引く。


ダダダダダダダ!


「おあああああああああ!」

「任せて!〈アイアンウォール〉!」


 ヘッグが金属の盾を作り出し、銃弾を弾く。

 彼女の機転に感謝しつつ、奴が構えた銃に狙いを付け。


「〈旋斬〉!」


 すれ違いざま切り刻み、バラバラにした。

 これだけ粉々になったら、修復することもできないだろう。


「まずは一丁!」

「小癪な」


 駆け抜けるヴァルの背後を狙って、新しく取り出した銃を撃つが、ヘッグの盾がそれを阻んだ。

 しかし、それは陽動でしかない。

 銃は魔法ではないので、同時に魔法を使うことができる。


「It is the temperature of absolute necessity that freezes and freezes everything〈ABSOLUTE(アブソリュート) ZERO(ゼロ)〉」


ヒュッ!


 氷風。冷たい風が足元を通り抜ける。

 ヴァルは嫌な気配を感じ、大きく跳んだが。

 次の瞬間、辺り一帯の地面が全て氷つき……


「ッ!?」


 低い位置にあったヴァルの左足が、地面とともに氷に包まれた。


「グッ!」


 さらに、着地した瞬間、足の氷が地面の氷と一体化した。

 力ずくで破壊しようと力を入れたが、ヒビすら入らない。

 それどころか、奴の力が地面の氷を伝って、氷がヴァルの足を登り、足首までが氷結する。


 さらに。


「〈YOUR HEART――」


 身動きが取れないヴァルに対して、DEATH・WALKERは手を差し向け、即死魔法を用意した。

 心臓に手が掛かるような感覚。

 このままだと、即死魔法にやられる。


「……」


 心臓を修復することもできなくは無いが、足が囚われていては意味が無い。

 そのうえ、左足は凍傷でもう動かないだろう。

 この状況の、最適解は。


「……ヘッグ、俺に勇気をくれ」

「頑張れ!」

「簡潔だなあああああああああああああああああ!」


 強化したカリバーンで、自分の左足を切り裂いた。

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