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勇者パーティを追放された【費消士】、商人と組んで最強に至る  作者: カレーアイス
第三章 ノスバット防衛線
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三十九万 歩み彷徨う絶死

 決戦前日。


「魔物の軍団は銃で何とかなるとして、四天王の二体はどうする?」

「やー……どうしよっか」

「総大将は何か考えとけよ!」


 海淵のフィクロストと、死法のDEATH・WALKERの対策は全くできていなかった。

 話し合いに参加しているのは、ミナとヴァルに……勇者ヒリック。

 勇者は国王から帰還命令が出ているが、無視してノスバットに留まっている。


「アイツらを放っておいたら、余裕で壊滅するぞ」

「ですよねぇ……勇者君、二体とも相手にできる?」

「無茶言うな。 一体で限界だ」

「……逆に言えば、一体は任せていいのか?」

「まあな」

「どっち押し付けよっか!」


 どちらを勇者一行に押し付け……任せるべきか。 

 水の中に引きこもり、普通の人では手も出せず、広範囲攻撃を繰り返すフィクロスト。

 神出鬼没に、淡々と一撃必殺の首を狙うDEATH・WALKER。


 フィクロストにはウィズマの魔法が刺さるし、DEATH・WALKERには聖女の力が効く。


「やっぱ両方頼む」

「だから無理だっつってんだろ」

「じゃあ……どちらかと言うとフィクロストの方かな。あの防御力は、ウィッちゃんの電気魔法が無ければ突破できないでしょ」

「それは良いけどウィッちゃんって何?」


 となると、どうにかしないとならないのは、DEATH・WALKERか。


「死霊だろうが、事前にセインに祝福してもらえば、普通の攻撃でも当たるだろ」

「じゃあ、誰に相手をしてもらうか……」


 その時。

 二人の視線が、ヴァルに集まった。


「いやいやいやいや。俺の仲間はもう役割が決まってるから。ナートは霊の軍勢を作る、ヘッグとリサは銃の修理。流石に俺一人じゃ無理だろ」

「じゃあ、私が千万くらい出すって言ったら?」

「パワープレイにも程があるだろ……」

「仕方ねぇなぁ。じゃあ――」





「またあなたと組むことになるとは思いませんでした」

「奇遇だな、俺もだ」

「あなたと同じことを考えたなんて、ヘドが出ます」

「酷くね!?」


 適当に受け答えをしながら、二代目カリバーンを構え、死神を睨みつけた。

 奴が狙っているミナは、山の山頂にいる。

 ここを通すワケにはいかない。


「お前は二人で倒す」

「とても不快ですがやるしかないですね」

「……」


 死神は、油断なく二人に鎌を構えながら、彼らを中心に時計回りで移動し――


スッ


 山の木に隠れた部分から、姿が消えた。


「セイン!」

「分かってます。〈聖女の儷光〉!」


 再び聖光が辺りを照らし、隠れていたDEATH・WALKERを炙り出した。

 それに合わせて、ヴァルも六万を使って突撃する。


「ハッ!」

「――」


シャッ!


 山の傾斜と立ち木によって上手く走れず、斬撃は黒羽織を少し切断するだけに留まった。

 追撃しようとしたが、あと一歩でまた消えられてしまう。 


「クソ、ちょこざいな」

「役に立ちませんね。〈守護協会〉」


 セインが防壁の魔法を唱え、守りを固めた。

 相性や火力的に、DEATH・WALKERでは簡単に突破できないだろう。

 ならば、先に狙われるのはヴァルの方だ。


 奴の位置を特定するため、視覚以外の感覚に意識を集中させる。


――ダダダダ ドカーン!


 山は静まり返り、遠くから戦闘音のみが響いた。

 この環境で肌感知は厳しい。


「聖光まだ?」

「教会に力を使ってるので、少し時間がかかります」

「そうなの――ッ!」


 何となくの勘に任せて四万使い、周囲三百六十度に回転斬り。

 邪魔な木も切り裂いて、何もかもを近づかせない。

 そして、二十回転ほどした後、


「そこ!」


 唯一の死角である真上に剣を差し向け……鎌にぶつかって、刃が止まった。

 ヴァルの真上に、逆さ吊りのような状態の死神が姿を現わす。

 やはり、上から狙うつもりだったらしい。


「ッ!」


 咄嗟に剣を握っていない左手で銃を抜き、天に三発。


パパンパン!


 しかし、手ごたえは全く無い。どうやら、死神の骨だけの体をすり抜けてしまったらしい。

 さらに、


「〈死転〉」


 いきなりDEATH・WALKERの姿が消え……ヴァルの懐に出現した。

 透明化というより、瞬間移動。

 いくらヴァルといえど、突然のことに反応できず、その首に鎌がかけられ、


「〈聖光〉」


 間一髪のところで、セインが止めた。


「っぶね! サンキュー!」


 感謝しつつ、鎌を躱して死神を蹴りつけ、距離をとる。

 奴は少し残念そうにしたが、すぐにまた姿を消し、コンスタントに隙を狙う。


「……強いな」


 さすが四天王と言うべきか、首を刈るだけの一発屋ではない。

 ヴァルの金再生でも、首を切られては治すことができない。セインがいなければ死んでいた。


 どの方向から攻撃されても対応できるように、カリバーンを構えた。

 残りの金は……ミナが支給してくれたお陰で、まだ百五十万ほどある。

 余裕はあるが、ここは一気に決めるべきだ。


「セイン、治癒(ヒール)の用意をしておいてくれ」

「治癒って……バカなんですか?」


 彼女は、ヴァルが何をしようとしているのか察したらしい。

 罵倒しながらもヒールの準備を始め、ヴァルはまた気配を感じることに集中する。

 目を閉じ、剣を降ろして、隙だらけに。

 その刹那。

 

――チッ!


 いつの間にか、首に鎌がかかっていた。

 だが、これはヴァルの誘導の結果。


「〈金強化〉!」


 まずは、二十万で防御を強化。

 時間を絞って大金を使ったことにより、頑強になった首が刃を跳ね除けた。


ガン!


 とても首とは思えない音が鳴る。

 さすがに無傷とはいかなかったが、用意していたセインが一瞬でそれを治した。

 DEATH・WALKERはその感触に驚いて、一瞬動きが止まり――ヴァルは、奴を逃がさないように鎌の柄を掴んだ。


「ッ!?」

「オオッ!」


 十五万で力、スピード、武器を強化し、鎌を掴んだ右手を引いて奴を引き寄せ、左手のカリバーンを振りかぶる。


「〈黄金の剣〉!」


 金色に光り輝く斬撃。

 決死の一撃だったが、DEATH・WALKERは鎌を手放して回避行動を取り……攻撃は首の骨を半分斬るだけとなる。

 死神の致命傷にはなり得ない。


 追撃しようとしたが……足が地面についておらず、踏み込めない。

 死神の体は薄れ、また姿を消そうとする。

 このままだと、逃げられる!


「ッ!」


 最大限腕を伸ばして剣を振るったが、その剣は空を切った。

 DEATH・WALKERは皮の無い顔で笑みを浮かべ、


「〈源狙・堕穿貫〉!」

「〈祝福〉!」


 山頂から射られた槍が、その頭を貫き。

 死神の体は崩れ落ちた。


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