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勇者パーティを追放された【費消士】、商人と組んで最強に至る  作者: カレーアイス
第三章 ノスバット防衛線
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三十八万 酒 爆発 銃撃 狙撃 幽霊 深海魚 死神

 三日という時間はあまりにも早く過ぎ去っていき。

 地平線の向こうから、水獣と死霊の入り混じった魔王軍が見えてきた。

 最高指揮官であるミナは、定位置である山の頂上からその光景を見渡す。


「いやぁ、多い多い。大軍大量一本釣りですよ」

「釣りどこから出てきたんだよ」

「……気分?」


 そう言って酒をあおり、隣のヴァルは苦笑いする。

 いつもの調子でチョケてから――真剣な顔つきになった。


「首尾は?」

「上々。やれることは最大限やった。……あとは決着を付けるだけだ」


 この三日間、できることは全て行った。

 特にヘッグとリサの活躍は目覚ましく、最終的に彼女らが製造した銃は千丁にも登る。

 さらに、強札を二枚も仕込んでくれた。


「リサの読みなら、勝率は半々ってところらしい」

「十分ってもんですよ」


グッグッ


 酒をもう一口。


「そんなに呑んでいいのか?」

「ちょっと酔ってるくらいの方が、よく当たるのよ。……あと、こんなの素面じゃ言えないから」


 少し酔ったのか、顔を赤くしながら、


「ありがとうね。私の街を守ってくれて」

「……頑張ったのは、ヘッグとリサだ」

「ううん、ヴァル君がいたからだよ。本当にありがとう」


 そう言って、彼女は身をかがめ……ヴァルの頬にキスした。


「ッ、おま!」

「へへー。口は勝った後でね」

「……酒臭せぇよ」


 彼は頬を拭い――それを見ていた第三者は、見てるだけで恥ずかしくなり、目を背けた。


「何ですか、あのこっぱずかしい会話は」



 


 ナートは、街の防壁上にいた。

 本当だったらヴァルと同じ場所にいるつもりだったが……ナートにしかできない役割がある。


ズンッズンッ!


 地鳴り。

 魔物の軍勢が近づいてくるのが分かる。


「まだ撃ってはいけないよ。弾にも限りがある。分かりやすい合図があるから、それから撃つんだ」

「「「「はい!」」」」


 志願兵の指揮を取っているのは、リサ。

 銃についての見識が最も深く、故障した銃を直せるという点から、彼女に白羽の矢が立った。

 ちなみに、ヘッグも故障パーツを作るために、近くにいる。


「さて、どうなるか」


 そう呟いて、彼女は銃を構えた。



 魔物たちが、丘を囲む死海を乗り越え、街に繋がる傾斜を登る。

 その数は、斥候の情報通り四万以上。

 フィクロストの水棲魔物とDEATH・WALKERの死霊の混成部隊だ。

 前回もいたリザードマンやワ・カメ、ゴーストやゾンビ。

 そして、最後方にはその海淵のフィクロストと死法のDEATH・WALKERが控えていた。


 魔物の群れが、街のある最後の坂を登る。

 ここが最終防衛ラインだ。街の防壁も利用して、背水の陣で戦う。


「そろそろだ」


ズンッズンッズ――カチッ ドカーン!

  

「発砲!」


ダダダダダダダダダダ!


 いきなり魔物の軍団が爆発した。

 リサが仕掛けておいた地雷を、魔物が踏んだ。

 派手な爆発に、群れに動揺が走る。


 さらに、防壁からの銃撃。

 決してエイムが良いとは言えないが、海のような魔物の軍団が相手だ。

 適当に撃っていてもどこかしらには当たる。


「軍団の中央を狙うようにしろ。当たらないというのが一番最悪だ」

「指揮官、銃が故障しました」

「すぐに持ってこい」


 すぐにリサの元に壊れた銃が運ばれ……彼女はそれを一瞬でバラした。


「ヘッグ、パーツ14」

「キル」


 さらに壊れたパーツを瞬時に見抜き、新しいパーツを入れて組み直す。


「出来上がりだ」

「す、すごい手際ですね」

「そりゃあ、三日で千丁も作っていればね」

「キル……」

「こっちも壊れました!」

「持ってこい!」


 急造だからか、故障が相次ぐ。

 しかし、その効果は確実にあった。


ダダダダダダダダダ!


「ギャア!」

「ヴァオ!」


 魔物たちが凶弾に次々と倒れていく。

 セインが弾に祝福をかけたことで、死霊にも弾は当たっていた。

 無論、魔物の軍団はこちらに向かって進み続けているが、銃と――


ドカーン!


 時折埋め込まれた地雷に(ひる)み、その足取りはとても重いものになっている。


「良い調子だ。これなら、十分――」


ガン!


 防壁にトライデントや毒液など、飛び道具が投げ込まれる。

 次々と投げられ……銃を握る志願兵に刺さり、その一部は息絶えた。


「ヘイゴロオオォォ!」

「……怯むな! 奴らの命中率は低い。撃てなくなった奴は交代しろ」

「そんな……」


 無情なリサの言葉に、死者の友が悲痛な声を上げるが――彼女も、好きで言っているワケではない。


「お前たちは死を覚悟して志願したんだ。発砲数によって勝敗が分かれる。死を悼むのは後、とにかく当たるように撃ち続けろ」

「……ッ」


 銃声が一層強まる。



「アレかな。〈源狙(げんそ)堕穿貫(だせんかん)〉!」


ギュン!


 さらに、ミナの超遠距離狙撃。

 遠距離攻撃の指示を出したと思われる、指揮官の死霊を撃ち抜いた。


「もう一弓!」




「そろそろ出番ですかね」


 ナートは、体を伸ばしてから、彼女の愛剣を構えた。

 そのまま、防壁から降りて軍に加わり、少し下がった地点にナイフを刺す。


「目には目を歯には歯を。霊には霊を。起き上がれ、〈霊幻起臨(れいげんきりん)〉」


 霊――いや、霊獣!

 ナートは戦争で死んだ魔物を、幽霊として呼び起こした。

 死霊は呼び起せないが、それ以外の魔物なら。この近くで息絶えた数千体を使役できる。


「行け!」

「ヴァアアアアアア!」





『……押されているな』

「あの武器だ」


 DEATH・WALKERの鎌が防壁の上の銃を指し示す。


 距離を詰め続け、防壁まで残り数百メートル。

 だが、人間の兵が出て来て、遅滞戦闘に勤め始めた。

 銃で同士討ちになることを恐れてか、乱戦にならないように壁となり、後列の敵を撃ち続ける。

 既に五千はやられたか。


『……そろそろ我々も参戦しよう』

「私はアレを仕留めて来る」


 超遠距離から、主力級を次々と撃ち抜く矢。

 アレを放っておくと、この軍は瓦解する。

 気づくと、DEATH・WALKERの姿は消えていた。


『せっかちな奴だ。さて』


 フィクロストは軍を一掃しようと、レーザーを放つために水を圧縮させ――


「今だ、撃て!」

「〈エレクティア・ノヴァ〉!」


 電雷の惑星が、その身を貫いた。

 中途半端に圧縮された水は霧散し、フィクロストはうめき声を上げる。


『……また貴様らか』

「三度目の正直だよ、淡水魚!」


 魔物の軍を突っ切って現れたのは、勇者パーティの――三人。

 

『一人足りないぞ』

「テメェなんて三人で十分なんだよ!」

『……舐められたものだ』

「いっきますよおおおおおおおおおおお!」


 水と鋼に電気が入り混じる戦いが始まった。



一方、


「この辺りか」


 DEATH・WALKERは、ミナのいる山の中腹で姿を現した。

 さっさと倒して、次は銃撃隊に乗り込みたいが――


「〈聖女の儷光〉」

「ッ!」


 聖光にあてられ、死神の動きが一瞬止まる。

 その隙に、


「〈黄金剣〉!」


 六万使ったヴァルが切り込むも、紙一重で躱された。


「すまん、外した」

「この期に及んでケチるからですよ。死になさい」

「……毒舌は変わんねぇな」


 死神を迎え撃つのは、セインとヴァルの二人。


「やるぞ」

「命令しないで下さい」

「二人ぽっち、勇者もいない……見くびられたものだ!」


 ヒリック、ウィズマ、ラティ VS 海淵のフィクロスト


 ヴァル、セイン VS 死法のDEATH・WALKER

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