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勇者パーティを追放された【費消士】、商人と組んで最強に至る  作者: カレーアイス
第三章 ノスバット防衛線
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四十万 イカアアアアアアァァァァァア!

「ウィズマ、魔法の用意」

「分かってる。電雷よ、雷鳴を轟かせ、神の卯鳴りを以て其の力を示せ。我が――」


 賢者のウィズマがまた〈エレクティア・ノヴァ〉の準備を始める。

 水に包まれているフィクロストに剣を通すのは難しく、一番効くのは彼女の電気魔法だ。

 しかし、フィクロストは、


『いつまでも同じ手が効くと思うな。〈眷属召喚〉』


 咆哮を上げ、イカの魔物を召喚した。

 特段強そうな魔物でもなく、ヒリックは内心少し安心したが、


『イカアアアアアアァァァァァア!』

「うっさ!」


 イカの魔物は叫び声を上げて、勢いよく墨を吹いた。

 フィクロストを包む水に、黒い霞みがかかる。

 最初は何がしたいのか分からなかったが、その墨は絶えず濃くなり……次第に奴の姿が全く見えなくなった。


「……これじゃ、アイツに魔法を当てれない」

『そういうことだ。〈アクアエッジ〉!』


 水の塊から黒い水刃が数本伸び、三人を襲う。

 慌ててヒリックはウィズマを抱えて、跳び、退き、伏せ。

 次々と迫りくる刃を避ける。


 ラティの方も上手く避けているようだが……問題なのは、攻撃手段がないことだ。

 巨体とはいえ、適当に魔法を放つだけでは当たらないだろうし、あの黒水には絶対に入りたくない。

 何より、この戦いには時間制限がある。

 セインの強化は、あと七分程度しか続かない。

 もし強化が消えると……こちらの敗北だ。


「セインを置いていくのは、カッコつけ過ぎたか……」

「本当にね!」

「これどうするんですかー!?」

「……とりあえず、ウィズマは広範囲電撃、俺とラティは耐久だ」

「ひあーい」


 ヒリックとラティは、引き続きレーザーのような弾幕を躱し続け、


「〈エレキ・ディスチェンジ〉」


 ウィズマの広範囲電撃が、黒水を襲った。

 おそらく、水に電気は通っており、フィクロストにもダメージは入っているのだろうが、それだけで倒しきるには無理がある。

 その証拠に、刃の勢いは少し弱ったが、止まりはしない。


『粘るな。ならば……〈死流〉』


 フィクロストが新しい攻撃を宣言し――一発の水弾がヒリックに放たれる。


「ッ!〈アーツブレード〉」


 彼は、正面からそれに立ち向かい、弾を真っ二つに切り裂いた。

 しかし、その破片が肩を掠め……激痛。


「グッ!」


 あまりの痛みに、ヒリックは一瞬動きを怯み、そこに水刃が襲い掛かる。


「〈土壁〉!」


 ウィズマが大規模な土壁を作り出し、なんとかヒリックが立ち直るまでの時間を稼いだ。


「大丈夫ですかー!?」

「ああ。サンキュー」

「まったく……にしても、らしくないんじゃない?」


 いつもなら、肩が少し傷ついたくらいで怯むヒリックではない。


「……あの水だな」


 高濃度の塩水。

 大量の塩が傷口に練り込まれ、死にそうなくらい染みた。


「マジで痛てぇ……ラティも気を付けろよ」

「はーい」


『〈死流〉』

「避けろ!」


 また塩水が撃たれ、ヒリックとラティは全力で回避行動を取る。

 それ自体は避けられたが、無理な回避をしたせいで、今度は水刃の方に当たってしまった。


「ッ!」

『次々いくぞ』


 今度は、三連発。

 躱し切れず、ラティの肩がえぐり取られた。


「イッタアア!」

「ッツ、だから言ったのに!」

「〈サイキネ〉!」


 動けなくなったラティをウィズマが魔法で動かし、追撃の水刃を避けさせる。


「ほら、早く復帰!」

「はい……」


 今のところ、これといった活躍はしていないが、ラティがいなくなるとヘイトがヒリックに集中して死ぬ。

 彼女は、自分の回復魔法で応急治療だけして、戦線に復帰した。


 とはいえ、これでは何の解決にもなっていない。

 ウィズマも防御に魔法を用いているので、全く攻撃できていないどころか、その目途すら立っていないのだ。

 さらに、セインの強化が持つ時間は、あと三分。


「……不味いな」


 その時、


『お困りのようだね』


 三人の脳内に、少女の声が響いた。


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