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勇者パーティを追放された【費消士】、商人と組んで最強に至る  作者: カレーアイス
第三章 ノスバット防衛線
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三十四万 砦、陥・落

「それで、お前の方は最近どうなんだ? 噂では男一人のハーレムパーティを築いてるとか……」

「待て待て待て! どこからそんな噂……ってか男一人女三人はお前も同じだろ!」

「いや、ウィズマは小さ過ぎるし、セインはあんなだし、ラティは家の関係で手を出しにくいし――」

「だから夜の街で発見報告が上がるのか?」

「おい、それどこから!」


 ヴァルは苦笑し、ヒリックはそんな彼に掴みかかる。


 久しぶりの兄弟の会話。

 以前まではこんなに仲良く会話することなど、考えられなかった。

 少しは丸くなったのだろうか。

 

「……フフッ」

「おい何だよ」

「いや、何でも――」


ウー!


 その時、街の警報が鳴った。

 警戒心を引き立てる音に、二人の手がそれぞれの剣にかかる。


『魔王領から魔物の軍団が進行中。市民のみなさんは、落ち着いて避難を。衛兵や冒険者など、戦える人は北門に集まって下さい』


 即座にミナの補足が入り、警報の理由が分かった。

 とりあえず、放送で言われた通り、ヒリックと共に北門に向かう。

 ナート達とも、そこで合流できるだろう。



 ヴァル達が北門に着いた頃には、既に多くの人が集まっていた。

 流石メタトル領と言うべきか、一人一人のレベルの高さが、雰囲気だけで分かる。

 その中に、一人だけ目立つ白衣を羽織る少女を発見した。


「早いな」

「君が遅いんじゃないかい?」

「そうかもな。来るまでに何かあったか?」

「いえ、これからです」


 ヴァルの質問に、ナートが答えた。

 まだ何も始まっていないらしい。


 とりあえず、他の人と同じく、人の輪の中央を見てみると、そこにはミナと……包帯だらけの男がいた。

 ミナと並んでいるので分かりにくいが、包帯男もかなり大きい。


 そんなことを考えているうちに、十分な人数が集まったと判断したのか、ミナが大声で語り出した。


「お集まりいただきありがとうございます。私はメタトル公爵よりノスバット周辺の防衛を賜っている、ミナ・メタトルと申します」


 巨体から発せられる存在感のある声に、周りの喋り声が消える。


「時間が無いので手短に説明させてもらいます。最北の砦が、魔王軍によって攻め落とされました。現在、この街に向かって進行中です」

「「「「「ッ!」」」」」」


 何となく予想していたことではあったが、実際に言われると重みが違う。

 砦とは重要軍事拠点であり、そう簡単にものでは無いのだが。


「……ほら」

「……砦が落ちた経緯については、自分から」


 ミナに背中を押されて、隣にいた包帯男が語り出した。


「自分はメタトル家次男のヨモリ・メタトルです。(くだん)の砦を任されていました」


 自己紹介を終えた彼は、砦が落ちるまでの経緯について、つらつらと吐き出した。




 その日、ヨモリはいつも通り、砦の指令室にいた。

 特にすることも無いので、鍛錬に勤しんでいると――見張りの兵から、


「魔王軍が進行してきました!」

「規模は?」

「小隊です。いつもの偵察かと」

「では、第一隊と第二隊を迎撃に向かわせ、その他の隊はいつでも出撃できるように待機しておけ」

「了解しました」


 珍しいことでもない。週に一度ほど、この手の偵察は襲来していた。

 いつも通り万全の数隊を向かわせ、偵察隊を叩き潰そうとした瞬間。

 上空から、


ダァン!


 何かが落ちてきた。かなり高い所から落ちてきたのか、轟音が鳴り響く。

 位置としては、迎撃隊と砦の間。


「なんだ!?」

「ヴァアア」

「キュロロロロ!」


 天から降り立ったのは、魔物。

 迎撃に向かわせた部隊はいきなり挟み撃ちの形となり、さらに、砦にも直接乗り込んでくる。

 いきなり乗り込まれた砦は混乱状態に陥り。


『食らえ〈ウォルターストリーム〉』


 最後に津波のような水に襲われ、砦は陥落した。



「……最後に水を放ったのは、蛍光色の巨大魚だった」

「四天王の一角、フィクロストに違いない」

 

 確信めいた声に、発言者に視線が集まった。

 それはもちろん、フィクロストと戦ったことがある、勇者ヒリック。

 いつ集まったのか、周りには三人のパーティメンバーもいる。


「……フィクロストは俺達が倒す」

「あの淡水魚……絶対殺す」

「ウィズマって、敵にあだ名付けるの好きですよね」


 彼らは、人込みをかきわけてミナの前に躍り出た。

 『一回やられたんだろ?』『大丈夫か?』などと、懐疑的な声も聞こえてくるが、それを跳ね除ける威風が、彼らにはあった。


「ご協力、感謝します。あなた方は、先に前線組と合流しておいて下さい」

「分かった」


 勇者一行を先に行かせ、ミナは説明を再開した。


「既に軍は配置に付いてます。皆さんには、軍の包囲網を突破した敵を討伐する役目をお願いしたいです」

「報酬は?」

「討伐した魔物の報酬の1.5倍を出しましょう」

「「「おおおおおおおおおおおお!」」」


 破格の報酬に、歓声が上がる。

 しかしそれは、この状況がどれだけ切羽詰まっているかを暗示していた。


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