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都市開発スキルで楽々異世界街作り!  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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81/87

出発前に 81

「近づくことは許可できぬ」


 一言注意され、アッサグは足を止めてフロンスを見やり、次にこちらへ視線を戻した。


「……それでは、ここからでも良いので質問をしても良いでしょうか? 今回、城塞都市バシムの地下に驚くべき広大な地下室ができたと聞いております。この地下室とは、どのように作られたのでしょうか? 以前から造られていたのだとしたら、どれくらいの期間で作られたのでしょう? いえね、このような素晴らしい土地の活用方法があるのならば、それこそ素晴らしい商売になるのではないか、と思いましてね?」


 アッサグは笑みを深め、そんなことを口にする。その不躾な様子に、フロンスだけでなくセーレやリリーまで眉根を寄せた。


「無礼者めが! 今すぐ消えよ! 今後、この街の出入りを禁ずる!」


 フロンスが激昂した。普段の穏やかな雰囲気から一変し、周囲に緊張感が走る。だが、それでもアッサグは引き下がらなかった。


「これは失礼しました! 処罰をしていただいても構いませんので、どうか、森の賢者様とお話をさせてください! ほんの少しでも良いのです!」


 食い下がるアッサグに、フロンスの眉が危険な角度まで上がった。おお、恐い。


 だが、せっかくだから会話をしておこう。恐らく、それでセルディカ神聖国への侵攻は遅れるはずだ。


 そう思い、口を開いた。


「……可哀想なので、少し話をしてあげましょうか」


 そう告げると、フロンスが驚いて振り返る。リリーやセーレも同様だ。


「おお! 流石は賢者様! 寛大なお心遣いに感謝します!」


 アッサグがそんなことを言って笑う。その様子にフロンス達が眉根を寄せ、ミドが不安そうに呟く。


「だ、大丈夫でしょうか?」


 その質問に、片手を振って応えておいた。そして、アッサグに向き直る。


「……セルディカ神聖国の王家からの依頼ですね。いくつかの街に地下要塞を作って欲しいと要望があったので、一、二ヶ月くらいかけて作っていますよ。もちろん、それ以外にも要望があれば援助をすることがあるかもしれません。そういうことで、商売にするつもりはありませんね」


 そう答えると、アッサグはこちらの回答を反芻するように黙って考え込んだ。それを見て、フロンスが今度こそと前に出て、アッサグの肩を掴んで引きずっていく。


「質問は終わりだ! 去るが良い!」


「あ、ちょ、ちょっと待っ……」


 アッサグは慌てて何か言おうとしていたが、そのままフロンスに通りの端に連れていかれ、すぐに他の騎士達に連行されていった。


 俺は周囲の様子を確認し、浅く頷く。


「そ、ソータ様? あのような怪しい者と会話などせずとも……」


「そうです! あれは恐らく、ただの行商人ではありません!」


 リリーとセーレが眉を八の字にして訴えてくるが、承知の上である。


「知っているよ。アッサグさんが連れていかれた時、周りで見ていた人の中から何人かがそっと何処かに消えたからね。多分、全員帝国の関係者じゃないかな?」


 そう答えると、フロンスが戻ってきて眉根を寄せた。


「お気づきでしたか」


 その言葉に頷き、不安そうなリリー達にも聞こえるように答える。


「本当は目立ちたくないけど、これで帝国側も安易に攻めてこなくなるんじゃないかな?」


 それだけ答えると、リリー達はそれぞれ反応を示した。素直に感心するリリーやセーレに対して、フロンスや騎士達は複雑な表情である。


「確かに、帝国の侵攻を遅らせることができると思います」


「しかし、今度は帝国にソータ様が狙われる恐れが……」


 リリーとセーレにそう言われて、片手を振って苦笑した。


「多分、大丈夫だよ。俺たちの本当の家は死の森の中だしね。セルディカ神聖国の援助をしたら帰るから」


 笑いながらそう答えると、リリーはとても寂しそうに眉根を寄せた。しかし、すぐに表情を切り替える。


「……そうですよね。いえ、ソータ様の助力があれば、我々は絶対に生活を安定させることができると思います。そうしたら、また伺ってもよろしいでしょうか?」


「大丈夫だよ。気軽に遊びにきてね」


 笑いながらリリーに答える。それに、リリーは嬉しそうに微笑んだ。





 二、三時間した頃、フォルとラウムが来て準備が整ったとの報告を受けた。ちょうど午後になったことだし、出発するかと提案する。


「え? 今から出発ですか? しかし、旅路の途中にある町や村はあまり大きくないので、ソータ様が満足できるようなおもてなしができないかもしれません」


「いや、それは求めてないから大丈夫だよ」


 よく分からない心配をされたので、丁重に断っておく。そうこうしていると、セーレが地図を持ってこちらに来た。


「城塞都市バシムはこちらになります。ここから南西に向かうとコバの村があります。急げば、およそ三日ほどで到着すると思っております。また、その後は一週間ほどかけてウイルクの町に行く予定です」


「ふむふむ……王都へは何日くらいかな?」


 フォルの日程を聞き、一つ質問をする。それにフォルは地図を確認しながら答える。


「……予定通りに行けば、最後にゼンドの町を経由し、王都に到着となります。その間、一週間ずつと見込んでおりますので、バシムを出て、合計三週間と少しで王都となります」


 フォルのその言葉を聞き、ホッとして頷く。


「了解。それじゃあ、その計画通りに行こうか。道中、寝泊りは大丈夫だからね。食料だけしっかり運んでおこうか」


 そう告げると、皆は真剣な顔で頷いた。こちらの意見は通り、すぐに出発となる。どうやら騎士団の保存食を融通してくれたらしく、村までは十分な食料を持っていくことができた。


 ただ、思ったより人員は多かった。


 リリーやフォル、ラウムだけでなく、フロンスとその部下である騎士団から二十名が一緒に移動することとなったのだ。


「多いなぁ」


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