村の改造 65
若干パニック状態になったリリー達を宥めて落ち着かせ、カラビアの下へ連れていく。玄関が開き、着替えが終わったカラビアとミドが揃って立っていた。
その姿を見て、思わず拍手をしたくなる。ミドとカラビアの服は頑張って選んだのだが、我ながら良く似合っていると思った。カラビアの服は白っぽいワンピースに水色の上着を羽織ったような衣装だ。ヨーロッパの民族衣装のような雰囲気である。とても良い。ミドもシュッとした衣装の為、こうなってくると俺の服が一番貧相な感じになってしまうが、それは仕方ないだろう。
美女と美少年が素敵な服を着た方が皆も喜ぶというものだ。
「うん。二人とも良く似合ってるね」
そう言って笑うと、ミドとカラビアは揃って照れてしまった。可愛らしい。そんな二人へ手のひらを向けて、リリー達に振り返る。
「あちらが同居している女性です。名前はカラビア。うちはこの三人で暮らしています」
そう紹介すると、リリー達は背筋を伸ばして一礼した。
「セルディカ神聖国から参りました。リリー・アン・セルディカと申します。カラビア様、よろしくお願いいたします」
「リリー様の従者をしております。フォル・カロルと申します」
「同じく! リリー様の護衛をしているラウム・オティスである! 宜しく頼みますぞ!」
三人が丁寧に挨拶をすると、カラビアは目を白黒させながら聞いていた。カラビアの初めての外部の人との会話を感慨深く見つめつつ、ミドに声を掛ける。
「ちょっと家を作ってからマルサスさんを探してみるね。多分、近くにいる気がするし」
「あ、わ、分かりました。その間、リリーさん達は……」
「どうしようかな。緊張しちゃうかもしれないし、とりあえず、リリーさん達は外へ連れて行こうか」
ミドと軽く打ち合わせをして、にこにこするリリー達に声を掛けた。
「それじゃあ、リリーさん達の仮の住まいを準備しましょう」
「え? 良いのですか?」
「それは助かりますが……」
家を建てる旨を伝えたところ、リリー達が恐縮しながらも喜ぶ。いや、家を建てるのはCPあまり使わないからね。むしろ、道路や送電線、上下水道を伸ばしていく方がCPの消費が激しいのだ。COCの場合、道路と電気、水、廃棄物処理場などを作っておけば、設定した区画は勝手に家や店が増えていく。そんな仕様の為、プレイヤーが区画の整理の為に家や店を予め設定していく場合でも、CPの消費はあまり多くないのだ。
なので、あまり気にせずにリリー達に家を建てることができる。
「大丈夫ですよ。大したことではないので」
そう言って先に外へ行くと、リリー達は真剣な顔で付いてきた。そして、タブレットを取り出す。気が付けば地図はかなり広くなっているので、現在地の青い丸の地点を拡大し、我が家の目の前の道路をそのまま使い、家を建てることにした。道路の反対側だ。
もう何度も聞いた地響きと、足を伝わる振動。
「よし、出来たかな?」
そう言って確認に向かう。階段を下りていき、住民登録をして扉を開けた。後でリリー達の登録もしないとね。
家はこれまで通り、地下の一般住宅だ。一軒家を選ぶ場合、地下はこれだけしかないので仕方がない。魔獣対策ができたら庭付き一軒家も夢ではないが、今は安全第一だ。
「……うん。電気も水道も大丈夫そうだ。それじゃ、リリーさん達はここを使ってください」
そう言って、振り返ると、驚き過ぎて瞳孔が開きかかっているリリー達の姿があった。
「……何度見ても信じられません」
「ソータ様の奇跡のような魔術もそうですが、驚くべきはその膨大な魔力量です」
「……もしや、伝説に出てくるような竜が人間の姿をしておるのでは……」
三人の反応に苦笑しつつ、ラウムの背負う巨大な荷物を指差した。
「とりあえず、荷物を置いて、住民の登録を行いますね。そうしたら、好きに出入りできるようになるので」
リリー達の家から一人で出て、周りを確認する。思ったより時間が掛かってしまった。優先してやらねばならないことがある為、急ぎで目的の人物を探す。
きょろきょろと周囲を見ていると、ザガン族の村がある方向の森から大きな人影が姿を見せる。マルサスだ。やはり、傍で様子を窺っていたのだろう。
走ってそちらへ向かうと、マルサスが口を開いた。
「……カラビアは大丈夫か?」
「大丈夫そうだったよ。とりあえず、一日一回くらいのペースでリリー達と会話をさせてみようかな、と」
「……そうか」
答えると、マルサスは軽く頷く。妹を心配していたようだ。お兄ちゃんっぽいところをみせるマルサスに微笑みつつ、声を掛ける。
「それで、明日のことなんだけど、早朝からザガン族の村へ行けるかな?」
「……何かあるのか」
怪訝そうに眉根を寄せるマルサス。リリー達が来て、一気に警戒心が上がったような気がする。
「ドラゴン対策をする約束だったからね。もし可能なら、対応しようかな、と」
そう告げると、マルサスは目を見開き、こちらを見た。
「……もう、そんなことができるのか。もっと時間が掛かるものだと思っていたぞ」
「いや、思ったより時間がかかったよ。本当なら、十日くらいでできるつもりだったからね」
驚くマルサスに、苦笑しながら答えた。すると、マルサスは珍しく薄く微笑み、深く首肯する。
「……ありがたい。ならば、明日我が村へ連れていくとしよう」
それだけ言い残し、マルサスは村へと帰っていった。
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