外伝1-1『朝食』
『外伝』のネタは第一部と第二部の間の空白の1年を舞台にしています。
本編との整合性が取れてない可能性もある『後付』なのでその辺は気にしたら負けです。
なお(手抜きのため)地の文が通常以上に残念な可能性が大きいです。
けれども苦情は受け付けません。
「マスター、おはようございます。朝になりました」
朝、いつも起こしに来るパティではなくダナーが起こしに来た。
こういう時は何かがあったということなのだろう。
「おはよう、ダナー。ところで今日はどうした?パティは?」
「はい、そのことでお話があります。パティ氏が倒れました」
「何!?大丈夫なのか?」
「心配の必要はありません。2,3日寝ていれば元気になるでしょう。今後は週1で休日を与えることを推奨します」
「そうか、だいたい分かった。とりあえず忍を起こしてきてくれないか?なるべく穏便な方法で」
「イエス、ボス」
▽
「ふわぁ~、どうしたのかな?まだボクの起床時間じゃないような……?」
9時過ぎにもかかわらず、まだ寝ておくつもりだったらしい。
「パティが風邪で倒れたそうだ。2,3日は療養のために寝込む必要があるそうだ」
「はぁ……それで?ボクはパティの看病でもすれば良いの?」
「いや、違う。食事がない」
「な、なんだってーーー!!!!それは死活問題じゃないか!!」
「そういうわけだ。この2,3日、最低でも2日分の料理である約6回分は俺たち3人で作らなければいけない。ミドリに任せるわけにはいかないしな。でだ、お前は何か作れたっけ?」
「おにぎりすら作れません!」
「本当にお前って残念な奴だな」
「最近の女子はスーパーやコンビニの惣菜のおかげで料理する必要がないから料理下手の子が多いんだよ?」
「そりゃそうかも知れんが……」
「今は男女平等の時代。『女だから』という考えは通用しない」
「キメ顔だが、男ってのは女の手料理を食べたいものだと思うが?一般論で」
「そんなこと言われても出来ないものは出来ないのである!!」
「そうだろうな……ところで、料理ができる男がモテるってのは本当なのか?」
「う~ん、なんとも言えないね。時と場合に寄ると思う」
「どういう意味だ?」
「それなりってことさ。下手なのが好印象にならないのは当然として、上手過ぎるのも好印象にはならないんだよ」
「『上手過ぎて』ってなんでだ?」
「やっぱり劣等感じゃないかな?綺麗事言っても男に負けるのが癪なんじゃない?『男子、厨房に入るべからず』って言う言葉があるくらいだし厨房は女性の領域だと考えるんじゃない?」
「うわぁ……。女ってそんなもんなのか……」
「ボクは違うから分からないけど、理想としては共同作業的なのなんじゃ?妻が味噌汁をよそいながら、夫がテーブルを布巾で拭いたりって。だいたい仕事から帰ってきた夫が妻に向かって『誰のおかげでメシが食えてるんだと思ってるんだ!!』って怒鳴るから妻が怒って家を出るんじゃないかな?妻も家事で忙しいんだから」
「専業主婦って忙しいのかね?昼間にドラマ見る暇があるのに対して、サラリーマンは理不尽に上司に嫌味を言われたりするのに」
「偏見じゃない?」
「んなこたないだろ。母親の後姿なら俺だって見てる」
「あぁ……確かにママなんかはパパに比べてそんなに忙しくなさそうかも」
「家事のさしすせそである『裁縫、躾、炊事、洗濯、掃除』の内、洗濯と掃除以外はいくらでもサボれるからな。オマケに今の時代は掃除道具も進化し続けてるしさ。洗濯も昔に比べれば洗濯機の性能も鰻上り。けれども経済は数年間良くなる傾向なんて無いし、パワハラやセクハラ、人件費削減によるサービス残業にリストラ、税金値上げとサラリーマンには厳しくなる一方でアホな行き遅れが『夫の年収は600万以上』と調子に乗って晩婚化は加速していき、結果は超高齢社会になる。はぁ……逆たましたい」
「この世界に来たからもう良いじゃん?日本のことは」
日本に帰るつもりはもうないと……。
「とりあえずメシだ。食料庫の保存食をそのまま食べるって選択肢もあるが……」
「やだよ、干した肉や野菜をそのままって人間としてどうよ?そんな野生児みたいなのが居る?ボクはもっと料理っぽいのが良いよ!」
「お前は極限状態になったらその辺の木すら食べそうなんだけどな……で?じゃあどうする?」
「というよりもミコトはどうなのさ?料理」
「最後に作ったのは…………シリアルだったな」
「袋から出して牛乳を入れるだけじゃないか……それならボクだってインスタントラーメンを作ったよ」
「まぁ、男なんてこんなもんさ。1人暮らしになっても自炊しない奴なんて大勢居るだろ」
「昨今の男子の料理事情なんてどうでも良いって」
「だろうな。てわけでダナー、任せる。こんな時のお前だ」
「期待してもらえて光栄なのですが、残念ながら私には味覚に関する知識が乏しいのです」
「……つまり?」
「マスター達が満足できるような料理は出せないのです」
マジかよ……。
「じゃあさ、古代人、ダナーが過ごしてた当時の人類はどうやって食事してたの?」
「栄養食ですが?」
「栄養食?」
「あれだろ?カロリー○イトやウ○ダーinゼリーみたいなもんだろ?」
「あぁ、はいはい。ならそれ作ってよ」
「はい、ではこれ」
「なんだ?そのポケットから取り出した飴玉みたいなそれは?用意してたのか?」
「ただのレーションですが?非常時のために常に携帯しております」
さも当然に俺達の文化圏外の代物を提供されてもな……まぁ良い、食べてみるか
「ボクも」
もちゃもちゃもちゃ。
「……何だろうか?この妙な違和感は……」
「あぁ~、たぶんこれはあれだね。『本物そっくりのカレー味の飴があったらこんな味がするんだろうなぁ』って味だね」
「確かに、その説明がぴったりだな。……うぇっぷ、意外に満腹感もあるんだな」
「はい、満腹状態の維持と栄養を摂取することが食事の一番の目的だと当時は考えられていましたから」
「お前の時代って人類ってのは味覚が退化してたのか?」
「おそらく皆様よりは味覚に関しては劣っていたと思われます。因みにこれのカロリーは500です」
「高!?」
「そうなの?」
「お前はそういうの気にしろよ。太るぞ?」
「善処するよ。で?500って多いの?」
「一般の成人の目安が1800~2200程度だと言えば分かるか?」
「ぅげ!これ1つで約4分の1なの!?」
「これの世話にはなりたくないな……朝食はこれで良いとして昼食だ……」




